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SNSをやめる人々:Anizine

ここ数日、同じような話ばかり聞く。昨日、今日の昼と複数の友人と話して、ついさっきも別の友人と話した。共通するテーマは「俺たちはこれからどう生きるか」だ。仕事が途切れず、内容や予算もダイナミックだった時代が終わり、今はそこまで忙しくはないし予算は緊縮の一途を辿っている。スタートから緊縮財政を強いられた今の若者と違って、我々の世代は無駄と思えるほど潤沢な予算で仕事をしてきた経験があるからこそ、その変化が気になるのかもしれない。

ある友人は先月からソーシャルメディアを一切やめてしまったという。理由は聞く前からある程度の想像がついたが、「自分以外の皆が毎日立派な仕事や生活をしているのを見るのが苦痛になったから」というものだった。本当はそんなことはない。皆、他人の家の芝生が立派に見えているだけで、それぞれが心の奥に抱えている問題は外に出てこないから、楽しそうに充実して見えるだけなのだ。その証拠にその本人が悲しげな顔で「収入が激減したよ」と言った金額は、まだ普通のサラリーマン平均の5倍くらいはあった。

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「ソーシャルメディアでは嘘をつくことができない」と常々思っている。コラムやブログのようなものならそのときだけ頑張って見栄を張ったりすることはできる。でも毎日更新される情報からはその人の生活のグルーヴみたいなものが否応なく漂ってきて他人に伝わってしまう。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。