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コメントなんていらない:Anizine(無料記事)

Twitterに、「私に言わせれば、東欧におけるNATOの勢力拡大は賛成しかねる」みたいなことを書いているおじさんがよくいて、そう書くのは勝手だが、誰かそれを読んでいるんだろうかと疑問に思う。こういった人は何かのニュースを見るとひとこと言いたくなる病気だ。黙っていられない病。

ネットでは多様な受け取り方をする人の存在を学べるから好きなんだけど、この手の人は何も新しいことを言わないし、面白いことを言わないし、鋭いことも言わないうえ、攻撃しなくてもいい相手を攻撃するし、誰かに突っ込まれると最終的には、「社会的な影響力のある人間が一般市民の弱者を攻撃するんですね」などと言う。

一般市民がNATOの方針に対して「私に言わせれば」と言いたくなる心情は理にかなっているのか。弱いという武器を使う人は一番卑怯である。何かが起きたときにそこを取り巻く野次馬のような人が嫌いだ。喧嘩をしている馬鹿同士はまだいい。お互いに痛みを感じたり血を流したりする手応えがあるから。でもその周りでスマホを構えているような人々は全員同時に骨折しろ、と思う。

誰かが何かをしているとき、それをプロレスのリングサイドみたいに解説しなくてもいい。頼まれてないんだから。出来事は自分から発生させるんだよ。テレビがつまんねえとか言うなら自分でYouTubeチャンネルでも始めればいい。それがテレビより面白いのなら人気が出るだろう。ちゃんとそうしている人もいて、彼らはもうテレビの悪口なんか言っていない。従来のメディアとは別のアウトプットを見つけたから、競争する敵ではないのだ。

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NATOに文句を言っていたおじさんも数百万人のフォロワーがいて、この人の意見を聞きたいと思ってもらえるように努力すればいいのだ。でもどこかで聞きかじったようなことばかり言っているから彼のフォロワーは5人だ。

俺は少し前に変な人から絡まれて、その人は明らかな捨てアカウントだったからフォロワーがゼロだった。ゼロってことは自分しか見ないメモ帳に書いているのと同じではないか。その逃げ腰のスタンスにもイラついたが、彼は「私はフォロワーの数を誇示するようなあなたとは違いますから」と言い返してきた。そんな屁理屈を言われたらどうしようもない。自分が勝手に見つけたトピックに勝手に噛みついて、反論されたら自分は弱者であると居直る。下から刺そうとする槍は扱いに困る。弱者であるというアピールでこちらがいじめているように見えてしまうからだ。そんなのあるか。

アスリートでも芸能人でも、努力して勝ち得たポジションに興味を持つ大勢のフォロワーがいて、自分もそのウゾー&ムゾーの一員であるのに「偉そうですね。何か偉いんですか」などと言う。

皆、YAHOOニュースに「俺に言わせれば」式のくだらないコメントなんかしてないで、自分のことだけやっていてくれ。

と、信号待ちの老人は言った。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。