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悪の視力。

2016年にFBに書いたもの。

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いつもと同じホテル。パソコンを立ち上げるとWiFiは記憶していたパスワードで何事もなかったようにネットに繋がる。

東京とParisの時間を見比べながら、何通かメールを送る。カメラとパソコンだけあればどこにいてもやることは同じだ。もし外国にいると自己申告しなければ、東京にいないことにすら気づかれないだろう。

若い頃、誰でもそうだろうけど沢木耕太郎さんの「深夜特急」を読んで、俺もこういう旅がしたいと思った。最初に買った単行本は、読み始めたばかりで公衆電話ボックスの中に置き忘れたことを憶えている。帰り道の書店ですぐに買い直したが、あれを拾って読んだ人も旅に出たいと思ってくれたらいいなあと感じた。

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どんな出来事もマイナスの部分は編集でカットして、いい部分だけを残せばいいのだと感じる。95点を取って、5点の失敗ばかり見つめるように生きているのはつまらない。

これを「悪の視力」と呼ぶ。悪い部分ばかり見るメガネを外して、いいことを見つめよう。俺はド近眼なのにメガネをしていないので、渋谷を歩いている無関係な群衆はほとんど見えていない。至近距離に来た好きな人の顔だけがハッキリ見える。それでいいのだと思っている。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。