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ミッドナイト・ツルッパゲ

リスナーの皆さんこんばんは。ロバート・ツルッパゲです。今日はランチでお寿司を食べたんですが、隣のお客さんが割とグルメ気取りで大将にあれこれ言っているのを聞いていられず、早々に退散しました。なぜ「これは今が旬だからね」などと、知った風なことを言いたがるんでしょう。大将は「まだ旬じゃないんですけど」と小さな声で言ってましたけど、客はただ美味しいと言って食べていればそれでいいと思います。さて、最初のお便りは「脱サラボーイ」さんからです。

ロバート、わんばんこ。「脱サラボーイ」です。ハガキを送るのは初めてです。私は去年までPR会社で戦略マーケティングをやっていたのですが、会社からリストラされまして、今は中野で占い師をやっております。ここ半年くらいはかなり人気が出てきたといいますか、予約のお客様が多くなってまいりました。しかし妻子を養うにはまだまだで、会社員時代の貯金を食い潰す速度がやっと遅くなった程度です。まだ子どもが5歳なのでこれから占い師としてガッツリ稼がないと、と思っています。そこでロバートにマイアミバイスをもらいたいのですが、占いを信じるような心の弱い人からいかにお金を巻き上げるか、いいアイデアはないでしょうか。

実のところ、私の占いはコールド・リーディングのような手法でして、未来が見えるとか、見えないものを感じるなどの神秘的なものではありません。消費心理学を応用した戦略マーケティングをしていた経験から客の心を読み、シュガーコーティングした気持ちのいい答えを返しているだけです。まあ占いというのはそういうものなのかもしれないとも思いますが、もっと効率よく稼ぐ方法はないかと悩みまして、主婦と学生アルバイトにマニュアルをパック提供してマネージメントを始めようと思っています。20分5000円などをもらって私ひとりがやっていてもラチがあきませんので、ゆくゆくは50人くらいのユニットをフランチャイズ化して全国展開できたらいいなと考えています。ロバートは占いとか、いきますか。

という「脱サラボーイ」さんからのお便りでした。つかぬことを伺いますが、脱サラボーイさんって中野ブロードウェイの4階の角でやっている方ですか。先日、友人の占い好きが見てもらったと言っていたのですが、たぶん脱サラボーイさんのことだと思います。彼が言うには「人間関係かお金か仕事、もしくは恋愛で悩んでいるでしょう」みたいに言われ、めちゃくちゃうさん臭いおじさんだった、と怒っていましたよ。誰でも悩みの種類なんてその中のどれかしかないでしょう。「未経験でも可。あなたも占い師をやりませんか。ただいま高給で募集中」というチラシが貼ってあったとも聞きました。完全に怪しいですね。マーケティングの仕事をしていたならそういうことをしてはいけないことくらい、わかるはずです。

私はまったく占いを信じていません。自分が実際にやっていることでしか自分の未来は作れないと思っているからです。そして私の運命の分岐点を私よりよく知っている「初対面の他人」がいるとも思えません。占いが好きな人に聞いてみるとだいたいの人が「いいことは信じて、悪いことは聞かなかったことにする」と言いますよね。そういった『需要と供給』の関係だけで済むのならそれでいいのですが、あまり商売全般をナメないほうがいいと思いますよ。最初はお客様と書いていたのが、後半は客と書いていますね。そこからも本心が見えています。免許も何もいらない仕事をするときは、まず信頼が大切です。お客さんにもその気持ちは伝わってしまいますから、効率よく稼ごうなどと言わないほうがいいんじゃないですか、というのが私のマイアミバイスです。

曲にいきましょう。Vaundyで『花占い』です。

(スタッフに)
友人というか、占ってもらったのは私なんだけどね


多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。