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男女の差:博士の普通の愛情(無料記事)
映画『夢売るふたり』を観た。
繁盛する居酒屋を経営している松たかこさんと阿部サダヲさんの夫婦は、ある日、火事で店を失ってしまう。なんとかして店を再建したいが資金はなし。
そこで夫である阿部サダヲさんが結婚詐欺をして開店資金を貯めるという、ある種、荒唐無稽なコメディに見える。途中までは。
監督の西川美和さんは、我々男性には想像もつかない女性を描く。どんな男性監督があんなにリアルなシーンを撮れるだろうか(いくつかあるのでゼヒご覧ください)。
リアルであるということは文字通り現実であり、ファンタジーじゃない。旦那さんの浮気をいつまで経っても忘れない怖さや、鵜飼いの鵜のように泳がせ、稼がせ、被害者である同性の哀しい人々にも容赦がない。案の定、旦那はターゲットの女性たちに同情を感じたりしてしまう。
ここに男女の愛情表現の差が出ているような気がした。
幸福な夫婦の間に起きた突発的な浮気という出来事。妻は全女性に呪いをかけるがごとく、関わる女性たちから金を巻き上げていく。その作業を通じて旦那に反省を促したり、愛情をつなぎ止めているようにも見える。旦那は徐々に妻を恐れるようになり、物語はコメディからホラーの様相にまで変化していく。松たかこさんの鬼気迫る演技は素晴らしい。
妻に言い寄るラーメン屋の店主、大堀こういちさんとのシーンがある。ここでの反応もしびれる。
男性の視点で描かれた都合のいいファンタジーに飽き足りない女性は、ぜひこれを観て欲しいと思った。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。