見出し画像

ふざけるなよ:Anizine

「身も蓋もない」と言う言葉があるけど、あれ、面白いよね。

そう言ってしまったら表現が露骨過ぎてどうしようもない(から、やめよう)という意味だけど、構成するパーツが「身と蓋」だと考えた場合、存在がないという面白さが立ち上がってくる。

「クルマのことをそんな風に言ってしまったら、ボディもシャーシもない」とか、「1960年代をそうまとめてしまっては、サイモンもガーファンクルもない」などと状況に応じて使い分けるのがいいのではないか。ではないかってこともないんだけど。

昨日、カフェで60代くらいのおじさんが家族に向かって「ふざけろ」と言っているのを聞いた。最近あまり聞かないけどけっこう好きな表現。ふざけたことを言われた人がふざけた人に対して「ふざけるな」という言い方と、「(いつまでもそうして)ふざけていろ」という否定と肯定が同じ内容を示すところにグッとくるのだ。

という話を友人にしたら、「You're kidding. と No kidding. みたいなものか」と言われて納得したことがある。冗談を言ってるんでしょう、と、冗談を言わないで、が同じ意味なのは「冗談」という存在そのものがややこしいからややこしいのだ。その説明もややこしいけど、それでいいのだ。

さてここからはまったく違う趣旨の話になりますので定期購読メンバー限定で。

ここから先は

341字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。