見出し画像

英語の勉強:Anizine

毎日最低4時間、英語を勉強している。おかげで全然映画を観ていない。

運動、語学、楽器の演奏などはとにかくひたすら基礎的な動きを繰り返すことしか上達の方法がないんだけど、その地味な作業に耐えられずに途中で挫折する人は多い。大事なのは上達よりも「挫折しない方法」を学ぶことだ。俺の場合、40代になってから写真を勉強して写真を撮るようになった経験が影響している。

写真で言うと、その前からデザインはやっていたのでどんな写真がいい写真なのかという答えは自分の中にあった。もちろんずっと優秀な写真家と仕事をしてきたし、現場にもいた。写真を学ぶ上で大事な、「何を撮ればいいか、どれをセレクトすればいいか、印刷に耐えうるクオリティを生むにはどう仕上げればいいか」については前職ですでに学び終えていた。あと写真家になるために必要なのは「撮影の技術と機材の知識」のみだから、5つの重要項目のふたつだけを集中して勉強すればいいことはわかっていた。

そこでありとあらゆる技術書を読み、考え得るすべての機材を実際に買って使い、海外のフォトグラファーのチュートリアルサイトでライティングや機材などの勉強をした。このときは仕事にも直結しているから信じられないくらい集中し、効率のいい勉強というのは存在しないんだけど、ほぼ最短距離で仕事ができるレベルの技術を身につけることができたと思っている。この経験はある意味での自信になったし、勉強のやり方もわかったので、英語にもこの方法が応用できるのは確認済みだった。

まずは針の穴くらいであろうと、理解していない部分があるとあとで困るので、馬鹿にせずに中学1年からの英文法すべてを数冊の参考書とYoutubeで徹底的に復習した。「なんとなく」で答えが出てしまう問題でも、なぜそうなるのかを説明できないといけない。ある先生が、「文法を理解したら、それを誰かに教えられるようになるまで繰り返すように」と言っていた。なるほどと思った。他人に教えるには、自分が完璧に理解できていないと不可能だからだ。

中学3年までの英文法を何度も繰り返し勉強していると、リスニングの能力も上がってくる。語順が想像しやすいし、構文を知っていると相手が次にどんなことを言うのかがたやすく推理できるからだ。

Youtubeでは教え方が巧い英文法の先生を数人選び、毎日端から端まで解説動画を見る。筋トレと同じで暇さえあれば見ている。風呂でもトイレでも見る。何度も見たはずの動画でも、「あ、ここでとても大事なことを言っているのに今までは気づかなかった」なんていう発見がよくある。それに気づくために何度も見る。映画で話しているスラング混じりの言葉を完全に理解するのはまだまだ無理だけど、会話のシーンではその人が話していることを聞き取るだけではなく、次に相手が言うだろうという台詞を推理して先に自分で答えてみる。実際の会話と同じタイミングだから難しいが、まったく同じことを映画の登場人物が言うと嬉しくなる。これはいつか脚本の勉強にも役立つ。

画像1

相手が話す全部の言葉が理解できていないと聞き取ることはできない。パーツ全部とそれを繋ぐ構文知識が揃っていないと正確な意図をくみ取ることができないのだ。どれだけネイティブの速度で話されたとしても「Good morning」「Michael Jackson」という言葉は誰でも耳に入ってくるはず。なぜかというと、すでに知っている言葉だからだ。つまり「知っている言葉の発音と意味」さえわかればリスニングはできる。ビジネスの英語なら、相手が何を求めていてこちらが何を答えればいいかはあらかじめわかるから、そんなのは誰にでもできる。「来週、ロンドンに商品を2000個発送します」みたいなことしか言わないはずだし、突然「シェイクスピアにおける悲劇のあり方」なんて話題にはならないからだ。「英語なんて単語さえ並べておけばしゃべれますよ」という人の日本語はそれなりだ。「最高、ウケる、マジで」と言うだけのボキャブラリーでも日本語が話せているとするのならそれでもいいけど。

俺が英語を勉強していると言うと、「いい英会話のサークルを教えましょうか」と親切に言ってくれる人がたくさんいるんだけど、そうではない。

ここから先は

109字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。