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犯人は誰だ:Anizine

金田持三さんが、自宅で何者かに殺されていた。

部屋が物色され、現金や宝飾品などが散らばっていたことから、警察は強盗殺人とみて現場検証を始める。新人の鑑識である山田がソファの下にあった血の着いたスマホを見つけた。バッテリが切れていたので電源ケーブルを探している。

その頃、ベテラン刑事の斉藤は現場周辺の監視カメラを確認していた。金田さんの自宅カメラはすべて作動していなかったからだ。たまたま近所の家に、金田さん宅が映っているカメラがあった。しかし角度が悪く、誰がドアを開けて家に入ったのかまではわからない。ただ前を通り過ぎただけかもしれない。そこに残されていた映像から、犯行時刻に近い30分の間に金田さん宅の前を通った4人がリストアップされた。

一人目は女性。金田さんの身の回りの世話をしている家政婦。
二人目はセールスマン風の男。何か大きな段ボールを抱えていた。
三人目は金田さんのゴルフ仲間。ゴルフバッグを持っていた。
四人目は息子。数分離れた家に住んでいる。

おそらく犯人はこの中の誰かだろう。

犯行に使われたのは鈍器のようなものらしく、後頭部にふたつの傷があった。凶器は部屋の中からは発見されていない。

山田が電源ケーブルを見つけ、スマホを見ていた。たぶん金田さんが犯人に殴られた後、メモを打ち込んでいる間にバッテリが切れたのだろうと推測される。

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「山田、なんて書いてあるんだ」

斉藤が聞くと、血だらけの画面を拭き取りながら山田が読み上げる。

「180、茶」

「それだけか」

「はい。それだけです」

斉藤は考えた。これは犯人の特徴を残したはず。セールスマン風の男は身長が180センチくらい、息子も同じくらいだ。家政婦とゴルフ仲間はどう見ても160センチほどで、もし180という数字が身長のことだとすればこの二人は除外される。

「茶」という文字。家政婦は上下茶色の服を着ていた。セールスマンは明るい色の茶髪だった。ゴルフ仲間のゴルフバッグは濃い茶色。息子も茶色のジャンパーを着ていた。

「山田、もう犯人はわかったよな」

と、斉藤は言う。

「え、斉藤さん、もうわかったんですか」

これはある外国人から教えてもらった話なんだけど、Anizineをお読みの賢明な定期購読メンバーならもうわかったはず。誰かひとりが正解をコメントすればわかると思うので、コメント欄に正解の書き込みをお待ちしています。

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。