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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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#レンズ

撮影機材選び:写真の部屋

火曜日から台北に行くんですが、毎回悩むのが仕事以外で行くときのカメラとレンズ選びです。仕事は撮るものが決まっていて目的があるので悩まないのに比べて、遊びで行くときはかなり悩みます。「こんな状況があるかもしれない」と多めに機材をチョイスするんですが、大量のレンズを見て「何やってんだろ。仕事じゃないんだから」と冷静になって一気に減らすことになります。 同じことを何十回しているんでしょうか。学ばないものですね。 ここでシミュレーションが始まります。街を散歩してスナップを撮るはず

エビデンスを見せて:写真の部屋

あるとき、たまたまパーティの会場で会ったカメラマンからこう言われたことがあります。 「ずっとあなたの写真を見ているが、最近のああいうスタイルはやめたほうがいいんじゃないか」 いかにサイコパスな私でも、神経締めをされる瞬間の鯛のようにピクピクッとなりました。まあ表情には出しませんけれど。すでに目の前にいるその人のことは目に入っておらず、一般論として「他人がしていることを批評したがる、任命されていないのに裁判長気質の人」についての考察を始めていました。 よく知りませんが、そ

ズームレンズ:写真の部屋

『写真の本』の中で、始めてカメラを買う人はズームレンズを使わない方がいい、というコスられ過ぎた話を書きました。多くの場所で言われていますが、その理由はいくつもあります。 まず、撮影しているときに構図の決定とは違う種類の「トリミング」をしてしまうことです。これをしているとファインダーの中で起きているもっと重要なことを見失うことがあります。次に「保険」です。特に10倍ズームなどは広角から望遠までの焦点域をカバーするので、どんな状況になってもこれさえあれば大丈夫だぜ、という安心感

リアルなカメラの話(後半重要):写真の部屋

正直に言うと、カメラという機材にはまるで思い入れがありません。フィルムの時はまだ用途の違いや個性がありましたから、そういう気持ちは理解できたのですが、今のデジタルカメラは完全に家電製品です。家電は最新のモノが最高の性能を持ちますから、新しいモノを使えばいい、それだけのことです。 どんな趣味でも機材の話をするのが好きな人がいます。そこに「伝説」を作り出し、同好の仲間と語るのが好きならそれは趣味の問題なのでノータッチです。クルマでも時計でもキャンプ道具でもそうですが、機能、性能

安っぽいレンズ:写真の部屋

重くて大きいレンズはスタジオで使い、ロケに持っていくのは軽くてコンパクトなものです。ですから同じ焦点距離のレンズは必ず2本以上所有しているのですが、あるときとても軽くて安いレンズを買ったとTwitterに書いたことがあります。すると知らない人から「そのレンズ、色収差と歪みで使い物にならないっすよ」とコメントが来た。 今、説明したように仕事で使う機材にはすべて意味があります。状況や仕上がりによって使い分けていますし、もちろんそのレンズに収差と歪みがあることくらいは教えてもらわ

カメラを選ぶ:写真の部屋

今書いている「写真の本」では、これからカメラを買おうと思っている人へのアドバイスにかなりのページを割きました。大事なのは論点の整理ですから、ここでは本に書いたこととは少し違う方法で。 まず、自分が何を撮りたいかを明確にする。 本当は撮影目的が決まらないとカメラもレンズも選べないのですが、初めてカメラを買う人に、それはほとんど無理と言っていいでしょう。撮りたいモノは撮っているうち日々変わっていくからです。趣味というのはどんなものでも同じですが、道具は使って初めてわかることが多