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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2023年4月の記事一覧

言葉というツール:すべての定期購読マガジン

いま、写真の本を書いているとお伝えしました。書いているうちに「これは写真以外にも通じる大事な内容だ」と感じたことは一旦横に置いて、もうひとつの本に書くべきこととして貯めています。こちらの本は言うなれば『ロバート・ツルッパゲとの対話』の続編というか、そういうやつです。 自分は言葉を最上位に位置づけているので、くだらない内容なのに、まるで純文学でも書くようにチマチマとしつこく書き直している毎日です。なぜ言葉が大事かと言えば、言葉はツールですから、たとえば腕時計を修理するには専用

写真の本を書いている:写真の部屋

お知らせしたとおり、写真の本を書いています。 それに反映させるべく「写真の部屋」の定期購読メンバーの皆様からの、写真に関する質問をコメント欄で受け付けようと思っています。noteのコメント機能は使いにくいので好きじゃないので、今後他のやり方も考えますが。 よろしくお願いいたします。

写真の本を書いている:写真の部屋

仕事なので当たり前ですが、起きている間はずっと写真のことを考えています。写真はカメラさえ持っていればいつでも撮ることができるので、眼が休む暇がないわけです。目の前にあるモノを撮るか撮らないか。そればかり考えています。どんな職業でも同じだとは思いますが「仕事をしている時間」にしか仕事をしていないと能力の向上速度は遅くなります。 さらに最近は写真の本を書いているので、撮ろうとする判断と同時に、それはなぜなのかを言葉にする作業が加わります。普段何気なくやっていることを人に伝えるた

公園で犬がパーン:写真の部屋

写真とは「他人が目撃した目を借りる」ことでもあります。撮った人だけが見た情景を、他人があとから見せてもらうことができる。追体験です。写真の価値の大部分はここにあって、だからこそ撮る人は見る人より多くの体験をしている必要があると言えます。エベレスト山頂やオーロラや砂漠など、誰もが簡単に見ることができない風景は人を驚かせます。こんな絶景があるのか、と。 そこで、自分が何を撮っているかを振り返ると。 近所の公園に可愛い犬がいたので撮った。もちろんそのパーソナルな衝動がエベレスト

ウェイトのセンターとは:写真の部屋

これは去年の6月にアイスランドで撮った写真です。 彼らと目が合った瞬間、「これは見開きで使えそうだな」と思って撮りました。アイスランドにはクライアントのブランドブック撮影のために行っていたのですが、撮っておくべきカットが事前にいくつか頭の中にありました。雄大な景色の中にいる羊、はどうしても見開きで使いたいと考えていたので、ここだと思ったのです。 そのときに考えておかなくてはいけないひとつが、「センターをどこに持っていくか」です。ただ一枚の写真をモニタやプリントで見せるだけ

写真は相槌:写真の部屋

写真は相槌と同じで、目の前にある人物や風景に対して「そうですか」「なるほど」「へえ」と思いながら撮ればいいわけです。 無理に難しく考えたりするとよくないことしか起こりません。周囲にいる会話が巧いと思う人の相槌を観察してみてください。ただ「へえ」というだけではなく、相手の話に対してどう感じたかを付け加えたり、もっと話が膨らむように反応しているはずです。 卒業式を終えた人たちがいる。それを見たピュアな気持ちで瞬時にシャッターを押す。比喩ですから風景は何も話しませんけど、人間と