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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2021年2月の記事一覧

花:写真の部屋(無料記事)

いただいた花を枯れても捨てずに残しておいた。田島一成さんの写真展で、枯れた花の写真を見ていたので、自分でも撮ろうと思ったからだ。俺はあまりみずみずしく咲いている花が好きじゃない。昔からドライフラワーや枯れススキなどばかり撮っている。 田島式の撮り方は、枯れた花に水滴をつけたりして、もう一度生命を甦らせているような印象があった。ライティングはソリッドで強い光。陳腐な言葉で表現してしまうとファッショナブルでセクシーな撮り方、というか。背景はフラットなごく薄いクリーム色。 俺が

トリュフ塩を使う:写真の部屋

仕事の場合、何でもない風景にほんの少しの引っかかりというか、特徴を足すことがある。 そこにあるモノをただ撮ることプラス、隠し味のような手間を加えることでよりよくなる。写真は「真実を写す」という訳語が当てはめられてしまったけど、Pictureはご存じの通り、絵と同じ単語だから、何もしない現実をそのまま写せばいいということではない。 この写真の例はムービーの現場で使われることが多いんだけど、カメラと被写体の中間に熱源を置いて空気を歪ませる方法。なぜムービーかと言うと、空気の揺

ダサい:Anizine・写真の部屋

日常的にかなりの頻度で「ダサい」と言ってしまうんだけど、結局のところ自分の判断基準はこれひとつしかないと思っている。 シンプルに考えていくと、「こうするのはダメだとわかってはいるけど、仕方なく目をつぶっている」みたいな多重構造には、巧妙な嘘や言い訳が含まれていることに気づく。こんな状況だから僕を赦して欲しい、というのは当然のことながら「ダサい行為」だと感じる。 このとき、状況の優劣は関係ないということにも留意して欲しい。問題は、自分が掲げる理想と、そのためにやっていること