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トリュフ塩を使う:写真の部屋

仕事の場合、何でもない風景にほんの少しの引っかかりというか、特徴を足すことがある。

そこにあるモノをただ撮ることプラス、隠し味のような手間を加えることでよりよくなる。写真は「真実を写す」という訳語が当てはめられてしまったけど、Pictureはご存じの通り、絵と同じ単語だから、何もしない現実をそのまま写せばいいということではない。

この写真の例はムービーの現場で使われることが多いんだけど、カメラと被写体の中間に熱源を置いて空気を歪ませる方法。なぜムービーかと言うと、空気の揺れる動きが止まらずに見える方が効果的だから。

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実際にはこれほどわざとらしくしてしまうと人物の顔が歪みすぎるから、もっと軽く使う。こういった技術は「モデルのいい表情を撮る」というようなわかりやすい部分が全部できるようになったとき、さらに仕上げで足していく調味料のようなもの。多くの方法を知っていればいるほど、その場面に最適なやり方がチョイスできる。

いつも同じ方法で同じように撮っていても慣れていくだけで何も進歩がないから、自分には撮れないだろうと思う写真がどうやって撮られているのか研究してみるのも役に立つ。

たとえば雑誌の最初から最後までペラペラめくってみて、グラビアから広告まで、全部自分で同じように撮れるかを検証してみる。レンズ、ライティング、ロケーション、ファッション、ヘアメイク、などが違う(初心者が気にするカメラ本体は、その中で一番関係がないこともわかる)。

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写真の部屋

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。