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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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#不倫

時代遅れの水着・後編:博士の普通の愛情

40代の女子会。 議題の中心は「野村さんの水着」で、ファミレスから自宅に戻る途中、もし自分ならどうするかを考えていました。私はアカウントだけはありますがごくたまに他人の投稿をのぞくくらいでほとんどやっておらず、実感がありません。 その日の夜、テレビ番組で見たようなふりをして、旦那にSNSについて聞いてみました。 「それは可能性が広がるんだから、何もしないよりはそういうことも増えるだろうね。問題はそこじゃなくて、深層心理として自分が『知らない世界を広げたい』と思っているか

不倫ボックス:博士の普通の愛情

「恋愛の話って、本当にバリエーションがないんだよ」 友人のタクロウはそう言ったが、教えてもらわなくてもそんなことくらい知っている。どんなに特殊で個人的と思われる恋愛の悩みも、無印良品の透明ボックスが4つくらいあれば、全部すっきり仕分けして整頓することができる。 タクロウはある女性との物語を聞かせてくれた。不倫だという。僕はもう「不倫」とテプラが貼られた透明ボックスの蓋を開けて待ち構えている。 ある日曜日の午後、タクロウは郊外のショッピングモールで取引先の女性と偶然会った

ミカの暗号:博士の普通の愛情

夕食の時、妻が家電量販店の大きな袋を指さして、ブック型のパソコンを買ったと言う。スマホを使い出したのもつい最近であるくらい、ネットには興味がなかったのに。 僕はネットでのマーケティングを仕事にしているので、テレビのニュースやバラエティ番組で出てくるネット用語を彼女に解説する役割だった。SNSはおろか、匿名掲示板での中傷などについてもどういうことなのか、最初から説明する必要があった。 それから、妻はパソコンで映画を観るようになった。僕のいくつかの映画配信サービスに妻もアクセ