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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2023年8月の記事一覧

時代遅れの水着:博士の普通の愛情

今日は女子会。と言っても参加する私たちの多くは40代後半なので「女子会」という名称を使わないで欲しいのですが、皆はあまり気にしていないようです。 「女性はいつまでも女子なんだから、いいのよ」 という図々しさのほうが名称よりも気になるのです。小学校のママ友として知り合った私たちは、こどもが中学に入ったあともずっと「女子会」を続けていました。以前は塾の話など具体的な議題がありましたが今はそれもないので、ただただおばさんが噂話をする井戸端会議になっています。今日もいつものファミ

不倫ボックス:博士の普通の愛情

「恋愛の話って、本当にバリエーションがないんだよ」 友人のタクロウはそう言ったが、教えてもらわなくてもそんなことくらい知っている。どんなに特殊で個人的と思われる恋愛の悩みも、無印良品の透明ボックスが4つくらいあれば、全部すっきり仕分けして整頓することができる。 タクロウはある女性との物語を聞かせてくれた。不倫だという。僕はもう「不倫」とテプラが貼られた透明ボックスの蓋を開けて待ち構えている。 ある日曜日の午後、タクロウは郊外のショッピングモールで取引先の女性と偶然会った

恋愛映画:博士の普通の愛情

毎日一本は映画を観ています。義務でも勉強でもなく、習慣で。 好きなのはサスペンスもので、このジャンルは圧倒的に韓国映画が優れているのでそればかりになってしまいます。韓国の映画がすごいのは不可能を可能にしているからかもしれません。忖度がないのです。こういう表現だと問題が起きるかもしれない、というリミッターがありません。暴力も憎悪も徹底的です。邦画をことさら悪く言うつもりはないのですが、俳優の事務所の意向や撮影許可の問題など、「可能な範囲の裏側」が透けて見えてしまい、現実に引き

恋愛と同じ:博士の普通の愛情

最近のブームは、何か知った風なことを言ったあとに、 「それって恋愛と同じですよね」 と、まとめることです。「人生と同じ」「政治と同じ」と、何でも使えるんですが、頭の悪い感じが出るので恋愛を使っています。あまり精密に論じられることがない「恋愛」ですが、それは「愛情」とは似て非なる物です。ここのところはとても大事なはずなのに混同して語られることが多いのです。 では、愛情と恋愛はどう違うのでしょうか。