喫茶店ジャーニー:博士の普通の愛情
1980年の終わり、僕はあるファミレスでアルバイトをしていたことがある。今だったら何かしら精神的な病名がついて薬が処方されていただろうけど、その頃は家族からただの「怠け者」としか思われていなかった。
何をするにも億劫で、一日中ずっと部屋に閉じこもってギターを弾いていた。ヴァン・ヘイレンやプリンスのCDに合わせて適当に弾く。ちゃんと習ったわけじゃないから楽譜は読めないし巧くもなく、プロになろうなどと思ったことは一度もなかった。ただ膝に楽器が載っている重さを感じ、耳から入ってく