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アニメーター志望におすすめのアニメ⑦:海がきこえる

アニメーター志望にお勧めのアニメとして、最後に紹介するのがスタジオジブリの『海がきこえる』です。

本作は最もマイナーなスタジオジブリ作品かもしれません。宮崎駿や高畑勲は制作に参加しておらず、劇場アニメではなく長編テレビアニメとして公開されたため、話題にもならなかったからです。

『海がきこえる』は氷室冴子による小説が原作で、1993年に90分間のスペシャルアニメが日本テレビで放送されました。制作スタッフはほとんどが若手で、監督は外部のアニメーターを起用。そのほかのジブリ作品とは一味違った作品に仕上がっています。

ジャンルは恋愛モノでして、作中に未成年の飲酒シーンや喫煙シーンがあることから、今後、金曜ロードショーで放送される可能性は低いです。そのため、DVDで視聴するか、VPNで海外のNetflixから視聴するのが一般的です。

『海がきこえる』の素晴らしいところは、圧倒的な画面構成力にあります。と言うのも、本作はクライマックスのシーンを除いて、基本的にFIXでしか構成されていません。パンやチルトはほとんど用いられておらず、辛うじてズームが用いられている程度です。

しかし、ほとんどFIXで構成されているにもかかわらず、映像に飽きることはありません。全てのカットが一枚絵として完成されているからでしょう。
かと言って、撮影や効果に頼ることはなく、純粋な手描きアニメで勝負しています。

そして、そこから到達するクライマックスのシーンの感動は何とも言えません。

本作は高校生と大学生の恋愛をベースにした作品で、思い出を思い出すこと自体が思い出になっている20代や30代の方々に刺さる作品となっています。

また、音楽も秀逸で、近年大流行中のLo-Fiの原点的な作品であるともに、チルな雰囲気を醸し出す劇伴が、一周回って現代的です。

スタジオジブリの若手スタッフによる意欲的な作品は是非とも視聴しておきたいところで、もっと言えば、スタジオジブリ作品は全部視聴してもいいでしょう。

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