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【ペット系サービス代表の小話】#8 動物の生体販売について

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毎回1000~1500字、2~3分で読めるくらいの文量です。

獣医師からは言いずらい、獣医師は教えてくれないコトを世の中に伝えていきたいな、なんて思っています。

今週のテーマは、【動物の生体販売について#1】です。

ペットショップでペットを購入した経験がある方もいらっしゃると思いますし、「ペットの生体販売は良くない」という意見をなんとなく耳にしたことがある人も結構多いと思います。

今日はそんな生体販売について問題点をいくつかお伝え致します。

◆ 流通死と殺処分について

ペットショップは販売する子犬と子猫のうち、一部はブリーダーから仕入れて、残りはペットオークションで仕入れます。

オークションを開催している業者はプリペットオークション・ペットパーク流通協会なんかが有名で、繁殖業者から生体を仕入れてペットショップなどの販売業者に流通させます。
出品される大半の子犬・子猫は生後8週程度で1匹ずつダンボールに収められてトラックや飛行機で会場に輸送されます。落札された個体は、またトラックや飛行機で落札業者により輸送されます。

特に子犬は生後8~16週目は母犬からもらった免疫抗体が下がってくる時期であることが知られていて、犬の一生の中でも最も病気にかかりやすい時期です。
このタイミングでペットオークションの輸送などの流通が行われてしまい、年間約12000頭の子犬が死亡しています。これを流通死と呼びます。

ちなみに、保健所で殺処分されている犬の数は年間約8000頭ですから、流通死の数がかなり多いことがわかります。

さらに、ペットショップは5000円~数万円程度で個体を仕入れて40万円程度で販売するわけですが、ショップにいる他の個体との相対評価で売れていくわけですから当然売れ残る個体は出てきます。
売れ残った個体は2割引➔5割引➔7割引と値下げされて、その間にもどんどん身体は大きくなり、もう売れなくなります。

売れ残った個体が健康なメスであれば繁殖業者に再度回されますが、そうでない場合は譲渡会に参加させられたり、実験動物として売却されたり、保健所で殺処分されたり、もっと悪徳な業者に売り渡されたりします。

保健所の殺処分頭数ががんがん減っていて毎年のように過去最低を記録していますが、これには理由があります。
ひとつは良いことで、譲渡の仕組みがどんどん改善されて取扱頭数が増えているからです。スマホの普及も相まって、遠方でも画像や動画を見て個体を選べるなど利便性も増しています。
ふたつめは悪いことで、保健所が業者からの保護受け入れを拒否するケースが増えています。つまり、譲渡でもダメ・保健所でも拒否された動物は別の業者によってひっそりと”処分”されます。生きていてもワクチン・場所代・餌代・世話工数などがかかる為です。
つまり、保健所が公表している殺処分頭数がゼロになったところで”本質的な解決”にはなっていないということです。

◆ ペットの社会化が妨げられている

動物行動学では、犬の生後8週は離乳期にあたり、それと同時に母犬や兄弟姉妹と共に社会性を学ぶ時期とされています。

社会性というのは、犬・老若男女の人間・人間の生活音・他の動物・外の音などに脳が慣れて、犬同士のコミュニケーションが図れるようになったり人間と安心して暮らせるようになる能力ことです。

ペットの生体販売における流通では、この時期に犬の生態に反した離乳を行ったり、精神的不安を与えたりしてしまいます。
この体験はその後の犬の性格形成や能力に大きく影響を及ぼすことが知られています。

ペットショップで動物を購入した飼い主さんから「全くなつかない」「吠えすぎる」「怯えすぎる」という悩み相談を受けて、しつけ教室を月1回くらいやる動物病院がたくさんありますが、離乳期に不安や恐怖を与えられた犬を後からしつけでリカバリーするのはかなり難しいという話も聞きます。

社会性の低いペットを飼っていると、本当に困るのは大きな天災が起こったときです。家族と共にどこかに避難しなければならない・全く知らない人たちと過ごさなければならない、そんなシチュエーションになったときにペットがパニックになって問題行動を起こす可能性が非常に高いからです。

動物を新しく迎えるときは、ペットショップで購入するよりか、ブリーダーや保護団体から社会性の身についているペットを譲り受けるのが望ましいと個人的には思います。

はい、今日はここまで♪

次回、【4月27日】は【動物の生体販売について#2】をテーマに掲げます。

お楽しみに!

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