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短編vol.4「グッモーニンMr.Tomorrow」

【登場人物】

鹿島ひかり  女性:25歳   フリーター
木下有里   女性:21歳   大学生

カルマ    男性:年齢不詳 ネットの住人


【プロローグ】

光り輝く世界で有里とひかりは見つめ合う。

有里   ねぇジョバンニ。
     そんな所で何をしているんだい?
ひかり  何って? 
     君はカンパネルラかい?
有里   (笑う)
     そうだよ。
     ジョバンニ。
     僕の顔を忘れたのかい?
ひかり  忘れるはずないだろう。
有里   なら早く乗りなよ。
     もう出発するよ。
ひかり  出発って?
有里   銀河鉄道だよ。
ひかり  銀河鉄道?
有里   みんなも連れてきたかったけど、
     出来なかったんだ。
ひかり  みんなって?
有里   ザネリ達。
ひかり  ザネリ……。
有里   はははは。
     ジョバンニは正直だな。
     どうする?
     僕と一緒に行くかい?
ひかり  もちろん行くよ!
有里   じゃあ手を出して!
ひかり  ありがとう。
     カンパネルラ。

汽車の警笛が鳴り響く。

【一幕 「2人の日記」 】

目覚まし時計のベルでひかりと有里は目覚める。
※ひかりと有里は別々の家。


ひかり  変な夢見たぁ。
     ああ! バイトに遅刻する。

有里   やばいやばい! 
     授業に遅れる!

ひかりはバイト先に向かって走る。
有里は大学に向かって走る。
ひかりと有里の変わらぬ日常が始まる。
――――――――――
ひかりと有里は日記を書く。

ひかり  10月2日・曇り。
     バイトに3日連続で遅刻をした。
     店長からは怒られた。
     首になってもおかしくない。
     はぁ……どうしよう。
     バイトを探すのかと思うと気が重い。
有里   10月3日・晴れ。
     ゼミ飲みに参加をした。
     正直馴染めない。
     何を言えば溶け込めるんだ。
ひかり  10月4日・曇り。
     お客からクレームが来た。
     こっちは絶対悪くない……悪くない。
     はぁ……悪くないのに。
     とりあえず頭下げなさいって。
有里   10月5日・雨。
     大学は休校。
     1日家で寝た。
     ここぞとばかりにLINEが鳴る。
     一体何が楽しいのやら。
ひかり  10月6日・雨。
     エリアマネージャーが店に視察に来た。
     店長だけが怒られればいいのに、
     どうして私も一緒なの?
     はぁ……関係無いよね。
有里   11月10日・晴れ。
     1週間ぶりにゼミに顔を出す。
     相変わらずで嫌気がさす。
     ここは勉強する所だろ?
     私のプライベートがどうして知りたい?
ひかり  11月15日・雨。
     色々あってバイトを変えることになった。
     はぁ……どうして。
     でもパソコンの前で打ち込むだけの仕事。
     人と絡まないのは楽で助かる。
ひかり&有里  11月20日。
        おもしろいチャットルームを見つけたので使ってみた。

【 第二幕 チャットルームの世界 】

スマホをいじるひかりと有里。
パソコンに向かって入力するカルマ。
※「」カギカッコの中はチャット上での会話。


カルマ   「アルビレオチャットルームへようこそ! 僕はカルマです」
ひかり   カルマ! 
      うわ……このチャット……3人でクローズされるんだ。 
      やばい……えっと。
      「はじめまして。ひかりと申します」
カルマ   「ひかりさんはじめまして。もう一人の方は? 」
有里    「こんにちは有里です」
ひかり   カルマに有里か……上手くやれるかな。
      「……よろしくお願いします」

3人は楽しくチャットルームで会話を続け笑っている。

――――――――――
ひかりは笑顔で日記を書く。

ひかり   11月22日・晴れ。
      すぐに飽きると思っていたチャットルーム。
      意外にしっくりきた。
      顔が見えないのが良いのかな?
      プライベートを詮索しないからか?
      とにかく……気軽に話せるのは楽でいい。
      リアルじゃないけど、
      久しぶりに会話を楽しめている。

――――――――――
3人はチャットルームで会話をしている。

カルマ   「へぇ……二人とも銀河鉄道の夜が好きなんだ」
有里    「小学校の頃。宮沢賢治をよく読んだわ」
ひかり   ふうん。
      有里さんて……年いくつぐらいなのかな。
      ……結構趣味が合うかも。
有里    「ひかりさんは読みましたか? 銀河鉄道の夜? 」
ひかり   え! ……レスしなきゃ。
      えっと……。
      「読みました読みました」
有里    「ジョバンニみたいな友達がいればな」
ひかり   ジョバンニ……ふふふ。
      「私はカンパネルラみたいな友達が欲しかったです」
カルマ   「いいねぇ。じゃあ……2人は星も好きなのかな? 
       天体観測とか? 」
有里    「好きよ!! 
       望遠鏡を抱えて展望台までよく行ったなぁ 」
ひかり   ……本当に似てる。
      私も好きだったな……よし。
      「同じく! 天体観測は小学校の時の趣味でした」


――――――――――
ひかりと有里は笑顔で日記を書く。


ひかり   11月25日・晴れ。
      実家の母親から望遠鏡を送ってもらう。
      ずっと物置小屋に置かれていた望遠鏡のレンズを覗く。
有里    覗くと……ここではないどこか遠くの星から、
      こっちを覗いていないか、
      いつも探していた。

ひかり&有里  どこか遠くへ行きたい。
        こことは違う世界に行きたい。
        でもレンズから目を離すと、
        平凡な自分が浮き上がってきて……。
        いつからだろう。
        レンズ越しに遠くを見るのを止めたのは。

ひかり   11月30日・雨。
      バイトがどんなに退屈でも、
      チャットルームが楽しくて仕方がない。
      3人がチャットルームに集まる夜の7時から10時が待ち遠しい。
      
――――――――――
3人はチャットルームで会話をしている。


カルマ   「ちょっと待ってよ。
       僕は男なんで……際どい会話は控えてもらえますか? 」
有里    「あ……忘れてた(笑)」
カルマ   「有里さん。僕の困った書き込みを見て笑っているんで
       しょう」
有里    「そうよ」
ひかり   はははは。
      相変わらずガンガン行くなぁ。
      よし! 私も突っ込んでみよう。
      「カルマって掴みどころないよね。
       ねぇ……普段は何しているの? 年はいくつなのかな? 」
カルマ   ……。
有理    ……。
ひかり   ……。
有里    「ひかり……それNGよ。
       個人のプライバシーに踏みいらないルールよ。忘れたの?」
ひかり   またやった。
      調子に乗るといつもこうだ……そうだよね……。
      自分だって聞かれたくないくせに。
      はぁ……またやっちゃった。  
      「……ごめんなさい。」

3人はチャットルームをログアウトする。

【 第3幕 すれ違う気持ち 】

チャットルームに1人でログインする有理。
誰も現れない……ログアウトをする。

――――――――――
有里は日記を書く。

有里    12月5日・曇り。
      チャットルームにひかりさんが顔を出さなくなった。
      あの時の書き込みが原因だろう。
      言い過ぎたのか……。
      もっと違う言葉で書き込むべきだった。
      ……またやってしまった。  
有里    12月7日・晴れ。
      今日もチャットルームにひかりさんは来なかった。
有里    12月8日・雨。
      大学を休んだ。
      今日もひかりさんは来なかった。
      カルマもずっといないし。
      ……退会しようか悩む。

有理はチャットルームを覗くが誰もいない。

――――――――――
ひかりは日記を書く。

ひかり   12月9日・雨。
      街がクリスマス一色に染まる。
      クリスマスって何が楽しいの?
      残業が増えるだけ。
      こんな時だけ私を頼って。
      はぁ……本当に最悪。
      チャットルームには5日もログイン出来ていない。
 
――――――――――
ひかりは勢いよく自分の家に帰る。

ひかり   やったぁ!
      残業回避できた!
      今夜こそみんなと話すわ。
      でも……ずっとログインしてなかったからな。
      気まずいな……よし……元気よく書き込もう。

ひかりはチャットルームにログインする。

ひかり   「久しぶりです!」
      ……あれ?
      誰もログインしてない。
      困ったなぁ。
      変なテンションのログが残っちゃうよ。
      どうしよう……落ちようかな。
      いやいやいや。
      有里さんやカルマさんと話したいし……待ってよう。

有里はチャットルームにひかりが来ているのに気づく。

有里    ……。

スマホを切ろうとするが……書き込む。

有里    「久しぶりじゃない! ひかり。何してたの? 」
ひかり   わあああ!
      良かった! 有里さんがレスしてくれた。
      「クリスマス残業って奴に振り回されてました。ごめんな
       さい!!」
有里    ……。
ひかり   なんか……空気重いな……レスを待っている時間が怖い。
有里    「そういうことね。オツです! 」
ひかり   良かった! レス来た!
有里    「世の中12月で浮かれすぎだっつうの(怒)」
ひかり   「私もそう思います(笑)」
有里    「1人で過ごしている奴もいるんだ! 考えろ! 」
ひかり   またしても鋭い。
      ……あれ? 
      「有里さん。私が独り者って確定していませんか? 」
有里    「違うの? 」
ひかり   「正解です(笑)」
      「カルマはまだかな?」
有里    「そうね」
ひかり   カルマ……どうしたんだろう。 
      いつも一番乗りなのに……。

有里&ひかり
      その日からカルマはチャットルームに現れなくなった。
      そして……カルマがいなくなった途端、
      私達はいつものように話せなくなって、
      気が付くと……チャットルームには誰も現れなくなった。

――――――――――
有里とひかりは日記を書く。

有里    12月26日・雨。
      ゼミの忘年会を適当な理由で断った。
      別に他にやる事がある訳じゃないけど、
      ただ……面倒くさい。
ひかり   12月27日・曇り。
      バイトを無断欠勤してしまった。
      はぁ……どうしたんだろう。
      やる気が出ない。 

――――――――――
夜空を見上げるひかりと有里。
スマホを見つめるが閉じる。

有里&ひかり  みんなと話さなくなってから、
        日々……日々…………退屈な日々が。
        都会の夜景を見つめながら、
        何故だかとても寂しい気持ちになる時がある。
        何もない自分。
        からっぽな自分。
        違う! 
        こんな私でも夢を目指して、
        やる気で満ち溢れてた時はあったんだ。
有里    望遠鏡のレンズを覗き込んだ先に広がる夜空のよう、
      自分を輝かせたかった。
ひかり   そんな自分になりたかったはずなのに。
有里&ひかり  なりたかったはずなのに!!


【 第四幕  カルマのメッセージ 】

有里とひかりは日記を書く。

ひかり   12月30日・曇り。
      一応……それなりに掃除をしてみた。
有里    12月30日・曇り。
      両親に大晦日帰らない言い訳をした。
      後はベットに潜り込むだけ。
ひかり   12月31日・晴れ・大晦日。
      1年の節目だからとか……訳が分からない言い訳をして、
      久しぶりにチャットルームを覗いてみた。
      ……そこにはカルマの入室のログとメッセージが残っていた。
有里&ひかり  ひかりと有里へ。 
        探してくれないかい? 
        ミスタートゥモローを。
        場所はね……ほうき星の先。 
ひかり   カルマが何を書きたかったのか分からなかったが、
      リンクに張られた写真を見ると、
      そこには見慣れた展望台が。
有里    ふと夜空を見上げると、
      季節はずれの流星群が一面に。
有里&ひかり  ほうき星!!
ひかり   私は気づくとコートを着て、
      夜の街を走っていた。
有里    考えるより先に体が動き、
      ほうき星の先に向かって走っていた。
ひかり   ほうき星の先に何があるの?
有里    分からない! 
      何があるか分からないけど。
ひかり   あの頃天体観測をしたドキドキを。
有里    レンズの先を覗き込んだワクワクを。
ひかり   寒さを忘れて全力で走っていると、
      忘れていたあの感情が戻ってくる。
有里    カルマのメッセージ。
      ミスタ―トゥモローがそこにいる。
ひかり   きっと有里も走っている
有里    多分ひかりも走っている。
有里&ひかり  絶対絶対絶対。
        絶対走っている。
        ほうき星の先に向かって、
        暗闇の中を一筋の光に向かって。
ひかり   小学生の頃。望遠鏡を抱えて遊びに行った展望台。
有里    12月の澄んだ空気の中で、
      夜と朝が混じったこの時間。
ひかり   毛布にくるまり夜空を見上げていたあの頃。
有里    そこがほうき星の先。
有里&ひかり  ほらね。
        思った通り……あなたがいた。


【 第五幕  出会い 】

有里とひかりは息を切らしながら、チャットルームを開いて書き込む。

「ここがほうき星の先」

初めて会ったのに昔からの友達のように笑いあう。

有里    はじめまして。木下有里です。
ひかり   はじめまして。鹿島ひかりです。
有里    必ず来ると思ってた。
ひかり   やっぱり……有里さんは鋭いですね。
有里    カルマは?
ひかり   分からないです。
      ただ……この展望台に私達を呼んだんだから、
      何処かにいるんじゃないのかな。
有里    ミスタートゥモロー。
ひかり   誰なの?
有里    知らないわ。
ひかり   それがカルマなのかな?
有里    どうだろう?
ひかり   (展望台を見上げて)……懐かしい。
有里    もしかして……昔……この展望台来てた?
ひかり   小学生の頃。
有里    すごい! 私もよ!
ひかり   銀河ステーション……銀河ステーション。
      いつかジョバンニみたいにここで夜空を眺めてたら、
      銀河鉄道が来るんじゃないかって。
有里    銀河鉄道に乗ってカルマが現れたりね。
ひかり   ふふふ。
      そしたら3人で乗ろうよ。
      銀河鉄道に。
有里    ねぇ……展望台登ってみない?
ひかり   うん。

ひかりと有里は展望台の階段をのぼり、重い鉄扉を開ける。

ひかり   綺麗。
有里    ……寒い。
ひかり   はい。
     (毛布を渡す)
有里    準備ばっちしね!
ひかり   天体観測の必需品よ。

2人は毛布にくるまり夜空を眺めている。

ひかり   ねぇ……有里さん。
有里    ちょっと待って。
      多分……私……年下よね。
      呼び捨てでいいよ。
ひかり   ああ……そういうこと言っちゃう?
有里    私……大学3年生。
ひかり   ……若いわね。
有里    まぁまぁ……細かいことは気にしないの。
      ……ひかり。
ひかり   そうね……有里。

2人で夜景を眺める。寒いので2人はくっつく。

ひかり   有里。
      あのさ……NG質問していい?
有里    ……。
ひかり   ごめん……冗談。
有里    いいよ。
ひかり   本当。
有里    今夜だけ。
ひかり   あのさ……今……楽しい?
有里    何? 
      それがNG質問なの?
ひかり   だって……個人の事は聞かないって約束だったから……。
有里    そうだけど……その質問はね。
ひかり   ごめんなさい。
有里    そうじゃなくって……今はね……楽しくないわ。
ひかり   ……。    
有里    ひかりといる今は楽しいけどね。
      困ったもんでね、
      大学では何をしても楽しくないの。
      ゼミにも……サークルにも馴染めなくてね。
ひかり   やりたい事ないの?
有里    別に無いわけじゃないけどね。 
      大学で教わる事でもないからね。
ひかり   ふうん。
有里    ひかりはないの?
      夢とか。
ひかり   夢……ね。
有里    当ててあげようか?
      夢があって東京に上京。
      実家から出てきて5年から10年のバイト暮らし。
ひかり   本当鋭すぎ。
      ……まあね……やる気に溢れて東京に上京したけど、
      気づいたらバイト三昧になっちゃって。
      別にね……夢を諦めた訳じゃないけど、
      何か自分に都合の良い言い訳作っちゃってね。
      バイトして気を紛らわして、
      多分……その先を見たく無くなっちゃったのかな。
有里    ふーん……分かるなぁ、
ひかり   有里はどうして大学に馴染めないの?
有里    うーん……そうだな。
      その場だけ楽しんでいる連中と一線引いちゃったんだよね。
      私はあなた達とは違うって。
ひかり   有里は引きそう。
有里    そこなんだよね。
      ……これでも夢に向かって頑張っていた時期もあったんだけどな。
ひかり   何? 夢って?
有里    NG質問よ。
ひかり   何よ……散々人の事聞いといて。
有里    ふふふ……だって……諦めた夢の話なんてしても詰まらないで
      しょう。
ひかり   ……そうね。

2人で夜空を見上げる。
朝と夜の狭間の時間……空の先が明るくなる。

有里    ねぇ……ひかり。
ひかり   何?
有里    カルマが言っていた……ミスタートゥモローって見つけた気が
      した。
ひかり   え……どこ?
有里    あそこ。
ひかり   ああ……なるほど。
有里    ひかり……今年はもう一度頑張ってみようかなって思ったで
      しょう。
ひかり   さすがね……鋭い。
      良く分かったわね。
有里    だって……私も思ったから。
ひかり   有里。
      あなたみたいな人と早く会いたかったわ。
有里    ひかり。
      私も同じよ。
有里&ひかり  カルマ!
        見つけたよ。
        ミスタートゥモロー

ミスタートゥモロー(朝日)は2人を温かく包み込む。

【 最終幕  銀河鉄道の夜 】

半年後。ひかりは日記を書いている。

ひかり   7月7日・晴れ。
      久しぶりに夜空を見上げたら、
      天の川がとても奇麗だった。
      有里と一緒に見たあの夜空を思い出した。
      あれから半年が経った。
      あの時あの星空に宣言したように、
      私……鹿島ひかりはもう一度夢に向かって挑戦することに
      しました。

――――――――――
ひかりはオーディション会場にいた。

「それでは今から新作劇場アニメ銀河鉄道のオーディションを開催
 します。」

ひかり   鹿島ひかりです。
      よろしくお願いします。
有里    木下有里です。
      精一杯頑張ります。

2人は半年ぶりに出会う。

ひかり   有里。
有里    久しぶりね……ひかり。
ひかり   あなたの夢って。
有里    多分同じだと思ったわ。
ひかり   相変わらず鋭いね。
      共にがんばりましょう。
有里    大丈夫よ。
      私達には強い味方が付いてるわよ。
有里&ひかり  ミスタートゥモロー。

ー―――――――――――
マイクが3本並んでいる。
マイクの前に立つひかりと有里。


有里    ねぇジョバンニ。
      そんな所で何をしているんだい?
ひかり   何って? 
      君はカンパネルラかい?
有里    (笑う)
      そうだよ。
      ジョバンニ。
      僕の顔を忘れたのかい?
ひかり   忘れるはずないだろう。
有里    なら早く乗りなよ。
      もう出発するよ。
ひかり   出発って?
有里    銀河鉄道だよ。
ひかり   銀河鉄道?
カルマ   さぁ……早くお乗りください。

ひかりの中からカルマが現れてマイクの前に立つ。

ひかり   あなたは。
カルマ   車掌のカルマと申します。
      銀河鉄道が出発しますよ。
      次の停車駅は白鳥ステーションになります。
ひかり   乗っていいんですか?
カルマ   もちろん。
      銀河ステーションに訪れた人は誰でも。
有里    みんなも走ってきたんだけど、
      間に合わなかったんだ。
ひかり   みんな?
有里    ザネリ達だよ。
ひかり   ザネリ……。
有里    はははは。
      ジョバンニは正直だな。
ひかり   大丈夫だよ。
      銀河鉄道にはカルマと僕しか乗ってないから。
カルマ   出発の時刻です?
      どうされますか? 
      ジョバンニ様?
ひかり   カルマ……僕も連れてって!
有里    ジョバンニ。
      さぁ……早く手を出して!
ひかり   ありがとう。カンパネルラ。

汽車の警笛が鳴り響く。

カルマ   ご乗車ありがとうございます。
      ジョバンニ様、カンパネルラ様。
      これが銀河鉄道大銀河の旅の片道切符となります。
ひかり   片道切符?
有里    怖い……大丈夫?
ひかり   うん!
      大丈夫だよ。
      カルマとカンパネルラが一緒なら。 
      さぁ、行こう!
有里&ひかり  ほうき星を 探しに!

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