あにまるえしっくす

動物倫理を解説します。

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最近の記事

ビーガンという生き方

「ビーガン」という言葉も、ここ1〜2年で大変有名になりました。しかしながら、言葉とイメージばかりが先行し、正確な理解がどれほど普及しているかは甚だ疑問です。今回は、一冊の書籍、マーク・ホーソーン『ビーガンという生き方』を通し、ビーガンのその実践の姿を紹介します。ビーガン、ビーガニズムの正しい理解の一助となれば幸いです。それは決して「より厳格なベジタリアン」でもなければ、「過激な動物愛護」でもありません。 ビーガニズムとは何か。日常生活で、あらゆる動物製品の消費を拒否する立場

    • 「「女」の境界線を引き直す」――どこまでも「女性」に寄り添った視点で

      『現代思想 3月臨時増刊号』に掲載された千田有紀「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」を読みました。2月20日にゆな氏がブログに当該論文への批判を掲載し、2月22日には千田氏がnoteにてそれに対する再批判、「「女」の境界線を引き直す意味ー『現代思想』論文の誤読の要約が流通している件について」と題する記事を掲載しました。再びゆな氏がこれに対する応答を更新しています。 千田有紀「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」(『現代思想3

      • 事実とか価値とか

        『講座 あにまるえしっくす』第0回「倫理学を始めよう!」では、健全な倫理的判断は妥当な「理由」を必要とし、そして妥当な理由は3つの条件を備えていなければならないと解説しました。3つの条件とは ①普遍的な視点を備えていること ②一貫性を備えていること ③正確な事実に基づき、かつ、事実と価値を区別していること なのでした。今回は第3の条件のキーワードである「事実」と「価値」を中心に、本編で解説できなかったことを少しだけ補足します。 1.事実判断と価値判断第0回では事実判断と

        • 'Treat like cases alike.'の原則

          『講座 あにまるえしっくす』をいつもご愛読ありがとうございます。第0回「倫理学を始めよう!」では、健全な倫理的判断は妥当な「理由」を必要とし、そして妥当な理由は3つの条件を備えていなければならないと解説しました。3つの条件とは ①普遍的な視点を備えていること ②一貫性を備えていること ③正確な事実に基づき、かつ、事実と価値を区別していること なのでした。今回はこの第2の条件である「一貫性を備えていること」についてより詳しい説明を試みます。 Treat like case

        ビーガンという生き方

          動物倫理のブックガイド

          1 倫理学の全体像1-1 概説的なやつ ①ジェームズ・レイチェルズ『現実をみつめる道徳哲学 安楽死からフェミニズムまで』古牧徳生、次田憲和(訳)、晃洋書房、2003年 ②ジェームズ・レイチェルズ、スチュアート・レイチェルズ『新版 現実をみつめる道徳哲学』次田憲和(訳)、晃洋書房、2017年 ③伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』名古屋大学出版会、2008年 ④品川哲彦『倫理学の話』ナカニシヤ出版、2015年 ①、③、④のいずれも、倫理学を初めて学ぶ人におすすめできるテキスト

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