はじめての保護犬猫セミナー〜里親を考えているあなたへ〜【イベントレポート】
2021年12月12日(日)、公益社団法人アニマル・ドネーション(以下、アニドネ)主催でオンラインイベントを行いました。題して「はじめての保護犬猫セミナー〜里親を考えているあなたへ〜」。
ここ数年、保護犬猫の認知は上がっているものの、実際里親になるための知識を得る機会は少なく、ハードルが高く感じる方はいるのではないでしょうか。
本セミナーでは、保護犬猫を飼いたい方に向けて「保護犬猫とは何か?」といった初歩的なことから、実際に飼うために大切なところまで、アニドネが培ってきた知見を幅広くお伝えしました。
ここからは、当日のセミナーの様子をお伝えいたします!
🐶オープニング
当日は50名ほどの方にご参加いただきました。なかには海外からの参加の方も。愛犬、愛猫と一緒にご参加いただいた方もいて、ほっこりした空気感でスタート!
まずは、アニマル・ドネーション代表の西平より主催団体の説明がありました。
アニドネは、動物のための団体に寄付できる「日本初」オンライン寄付サイトです。普段は、動物福祉に関わる情報を提供したり、団体の活動継続をサポートしたりしています。
また、団体だけでなく、一般の方にも動物福祉をもっと知ってもらいたいという想いで、AWGs(Animal Welfare Goals)立ち上げました。動物のために解決したい13のゴールを掲げています。
「動物福祉の課題は非常に多岐に渡っており、私たちが犬猫をどれだけ理解するかが重要です」
今回はこのAWGsを元に、里親になるために必要な保護犬猫への理解を深めます。ここからは、以下の3つのトークテーマに沿って進めていきます。
1. 出会いたい
〜保護犬・保護猫たちを知ろう〜
2. いきいきと暮らしたい
〜保護犬・保護猫を迎えるにあたって必要なことを知ろう〜
3. 愛されたい
〜実際に犬や猫と暮らし始めたら、こんなことに気を配ろう〜
1.出会いたい〜保護犬・保護猫たちを知ろう〜
ここからはアニマル・ドネーションでリサーチの業務をしている粂(くめ)がスピーカーを務めます。まずは、保護犬・保護猫とは何か、といった基本的な内容をお伝えしました。
🐕🦺そもそも保護犬・保護猫って?
保護犬・保護猫とは、飼い主のいない行き場を失った子達のことです。原因はさまざまですが、人間の身勝手な都合によるものも多々あります。
引き取り手のいない犬猫は、最終的に殺処分されてしまいます。犬猫合わせると、年間およそ3万頭だそう。殺処分数は年々減っているものの、行政が引き取りを断るケースもあり、保護団体への負担がかかっているのが現状です。
🐕🦺保護犬・保護猫はどこで出会える?
保護犬猫を迎えたいと思ったら、行政愛護センター、保護団体、保護犬猫専用のマッチングサイトがあります。
センターや保護団体は全国各地にあり、団体によって活動方針もさまざま。カフェでの譲渡会やしつけ教室を行うなど、明るい雰囲気のところもあるんだとか。実際に足を運んでみると良いでしょう。
当日すぐ自宅に連れて帰ることができるペットショップとは異なり、保護犬猫は里親になるまでに審査や面談などの段取りがあり、実に慎重です。
譲渡条件は厳しいと感じるかもしれませんが、「自分たちなら大丈夫!」と胸を張って言えるように、準備をしていってほしいです。
🐕🦺個性豊かな保護犬猫たち
保護団体から迎える場合は、年齢、犬種、環境もさまざま。ある程度長い期間、シェルターや預かりさん宅で過ごしているので、その子が持つ特性や個性をよく分かっています。保護団体の方で名前をつけていることもあるそうです!
ここで保護犬猫と里親さんの出会いをご紹介✨
犬を飼いたい高齢者と引き取り手の少ない高齢犬、旅好きな方と一度も散歩に行ったことがない犬を繋いだりなど、保護団体ではその人にあった犬猫をマッチングしてくれます。
また、ペットショップでは兄弟はバラバラになってしまうところを、保護団体では一緒に飼えることもあります。
保護団体だからこその素敵な出会いがあるかもしれません。
🐕🦺変化する犬猫たち
里親に引き取られた子達は、表情、見た目、性格にも変化が出ているんです!「こんなに変わる?」「お顔が全然違いますね!」「幸せが溢れ出ている!」と皆さんも驚きの様子。
保護犬猫の個性や可愛らしさを知ることで、里親になることへの興味が深まっていきました!
2.いきいきと暮らしたい〜保護犬・保護猫を迎えるにあたって必要なことを知ろう〜
続いて、保護犬・保護猫が心地良く過ごせるために、里親にとって必要なことをお話ししました。
🐕🦺国際的な動物の福祉基準とは?
動物福祉について、日本は世界で遅れを取っているのが現状。動物の定義を比べると、ヨーロッパ諸国では「動物はものではない」「動物は人間と同じく感覚ある存在」と定められている国があるのに対して、日本ではまだ「命あるもの」と捉えられていて、まだ課題がある状態です。
🐕🦺犬猫に快適な生活の場を
動物が心地良いと感じるための一つとして「動物が動物らしく暮らせる住環境を整えること」が大切になります。
そのほか、動物先進国ドイツのペットショップや、アニドネスタッフが愛猫のためにリフォームした家を紹介し、犬猫のために徹底的に配慮された環境を学びました。
🐕🦺本能的欲求を満たそう
犬猫の心地良さを考える上で、犬猫の習性や本能を理解する必要もあります。
よく小型犬は散歩が必要ないと言われますが、そんなことはありません。日の光を浴びることで体内のビタミンを維持したり、匂いを嗅ぐことで脳を刺激したりなど、健康維持にも繋がります。
また、習性や本能は犬種・猫種によっても異なります。ドイツのブリーディング施設では、ダックスフンドの特性を活かし、穴を掘れるスペースを用意しています。
また、問題行動と捉えがちな「吠える」「噛み付く」といった行為は、運動不足やコミュニケーション不足が原因ということもあり、犬の特性を理解できていないが故に、起こってしまうと言います。
犬猫の特性や個性を理解することで、犬猫と人間ともに幸せなペットライフをおくれるのではないでしょうか。
3.愛されたい〜実際に犬や猫と暮らし始めたら、こんなことに気を配ろう〜
最後は、保護団体からヒアリングした内容をもとに、里親になるために確認しておくべきことをお伝えしました。
保護団体にとって里親に一番求めることは、保護犬猫にきちんと寄り添えるかどうか。過去に寂しい思いをした気持ちを理解し、慣れるまでに時間がかかっても根気よく見守っていけるかが重要だそうです。
また、困った時には抱え込まず、不安な気持ちを正直に話してほしいとのことです。里親さんは命のリレーのアンカーであり、一生涯かけて犬猫が里親さんの元で過ごせるよう、保護団体さんは協力します。
里親になるために必要なことを話したあとは、実際里親さんが保護犬猫を迎え入れたエピソードを紹介しました。
・子猫の時はお世話が大変なので、働きながら猫を飼うのは難しいと思っていたけれど、保護団体さんから成猫を勧めてもらいました。
・ペットショップで身元の知らない子を飼うよりも、保護団体さんは一旦丁寧にケアをしてくれているので安心でした。
・散歩の時に「うちの子は保護犬なんです」と話すと、「幸せになって良かったね!」と言われて嬉しい気持ちになります。
犬や猫と触れ合うことは、私たちにとって精神的にも肉体的にも良い影響をもたらし、人生をもっと豊かにしてくれます。実際にデータとしても証明されており、少年院、司法の付き添い犬など、社会での活躍も注目されています。
最後はスピーカーの粂からの熱いメッセージで締めくくります。
「犬や猫と一緒にいるとミラクルがたくさん起こると信じています。ですが犬や猫が幸せな状態でないとミラクルは起こりません。まずは、私たちが保護犬猫を幸せにするぞ、という気持ちで向き合いましょう」
「まずは保護犬・保護猫について知ることが大切です。1つ1つに対し、本当に犬猫たちのためになるのかを考えてみることで、保護犬猫の環境や日本の動物福祉に興味を持ってくださったら嬉しいです」
🐶さいごに
1時間のセミナーを終えて、記念撮影を行いました📸
(アニドネの頭文字Aのポーズをしています!)
オンライン開催でしたが、常にチャットが盛り上がっている様子で、温かいコメントもたくさん寄せられていました。Twitterでもたくさんの感想をいただいています✨
保護犬・保護猫のことを知り、自分には何ができるのか考えさせられたセミナー。里親になることはもちろん、他にもできることはあります。
今日学んだことを誰かに話す、気になる保護団体に寄付をする、得意分野を生かしてボランティア活動するなど、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。