絵本 クヌギ森のオバケランチ その2 動物絵本|どうぶつ出版社 2023年5月26日 13:04 「あの時、みんながボクに注目してくれて、とてもうれしかったなー」 「また、みんなと一緒になにかしたいなー」 そう言うと、セミのオバケはカブトムシの周りをウロウロして、離れる気配はありません。 「大丈夫?」テントウムシとゾウムシも心配そうにカブトムシを見つめています。 「このままじゃ、カブトムシはすっかり弱ってしまうね」 「どうかな、セミのオバケのために、もう一度、みんなで何かをしましょうか?」 「そうだねー」 と昆虫たちは話し合いました。 「ねーえ、セミのオバケちゃん、ボクたちと一緒に遊ぶかい?」 すると、セミのオバケはうれしそうに「うん、ボク、オバケランチごっこをしたいんだ!」 「こっち、こっちー」とセミのオバケは、クヌギ森の奥へどんどんと進んでいきます。 クワガタはカブトムシを背負って、みんなの後についていきました。 しばらく行くと、突然、カフェのような場所に着きました。 「いらっしゃいませー、オバケランチへようこそ!」 オバケのセミはすっかり、その気になって、昆虫たちをおもてなしするのでした。 「では、まず、カブトムシさんのために、元気が出るスープですね」 とセミのオバケはスープを持ってきました。 クワガタはカブトムシに、スープをひとすくいして、飲ませてあげました。 少し元気を取り戻したカブトムシは、クワガタに優しくされて、少し照れました。 「おまたせしましたー、お次はオムライス、クヌギ森の特製ミツ入りです」 たっぷりおおきなオムライスを見て、昆虫たちはお腹がグゥ~。 おいしそう! さあ、大変、昆虫たちは我先にと、オムライスに飛びつきます。 ムシャムシャ、モグモグ、おいしい、おいしい。 その様子を見て、セミのオバケはとてもうれしそう。 「はい、それではデザートのプリン、クヌギ森の特製ミツ入りですよー」 昆虫たちは、だれが真っ先に食べるのか、にらみ合っています。 「私が先に食べるのよ!」 「ボクだー!」 と、昆虫たちはケンカしながら、プリンを奪い合っています。 昆虫たちと仲良く過ごせて、満足したセミのオバケは、す~っと、みんなのそばを離れていきました。 それに気づかず、クワガタとカブトムシはプリンの取り合いのケンカを始めています。 その間、テントウムシとゾウムシは、プリンを美味しくいただきます。 元気100倍のカブトムシがクワガタを投げ飛ばしたところで、決着がついたようです。 でも、すっかり、プリンはなくなってしまったのですけどね。 ふと、プリンが乗っていたお皿を見ると、セミの抜け殻がひとつ、ポツンと落ちていました。 「あの時のセミだったんだね・・・」 みんなでセミの抜け殻を見つめ、あの夏を思い出したのでした。 すっかりお腹いっぱいになった昆虫たち、また、それぞれの寝床に帰っていきました。 いなくなってしまったセミ、気になりますか? 大丈夫、今年もたくさんのセミたちが、クヌギ森には生まれるのです。 おしまい #絵本 #ランチ #昆虫 #オバケ この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート