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アブストラクトゲームっぽさについて考える

あいさつ

皆さん、こんにちは。
アニマルウィップという団体で活動しているレグルスと申します。

アニマルウィップは2020年の夏からボードゲーム制作を行なっているサークルです。

今回はノリと勢いでいずれかのAdvent Calendarに何かしらの記事を投稿してみようと思い立ちました。普段からnoteに記事を投稿しているのですが、Advent Calendarへの参加は初です。

そして、選んだテーマはアブストラクトゲームっぽさです。
なんか色々考えているんだなぁと思って頂ければ十分です(笑)

そもそもアブストラクトゲームとは?
というのは主催の珍ぬさんにお任せするとして、この「っぽさ」がどこから来るのかを考えてみたいと思います。


【ウロボロスの傭兵】

私は【ウロボロスの傭兵】という「手札構成が同じところから始まるトリテ風アブストラクト系ゲーム」を作りました。

※トリテ……トリックテイキングゲーム
1枚ずつカードを出し合う「トリック」と呼ばれるミニゲームを繰り返すゲームジャンル

アブストラクト「系」である理由は、手札が非公開で、段々公開されていくからです。アブストラクトゲームですと言い張る自身は無かったのです……ゲームの終盤では全ての情報が公開されますが、序盤はランダム性が存在します(見えていないカードは6枚ずつで割とすぐ分かります)

このゲームを作った時、私は 2人でも遊べるトリテを作ろう‼︎ と思っていました。しかし、テストプレイなどでは「アブストラクトゲームっぽい」という感想を多く受けました。この「っぽさ」はどこから来るのでしょうか。
これを知っていればアブストラクトゲームらしいゲームを狙って作れるかもしれませんね。


ボードゲーマーの言うアブストラクト

ボードゲーマーが言うアブストラクトゲームは高度に抽象化されたシンプルなゲームでは無いことが多いと思います。

情報が公開されていて運要素が無いものを指すという人もいるでしょう。本当にそれだけですか?

例えばテラミスティカやガイアプロジェクトにはゲーム中で後から公開される秘匿情報が何もありません。
初期セットアップはランダムですが、あの重量級ゲームで全ての情報は最初に開示されます。
(1330は未プレイのため分かりませんが)ケイラスも全ての情報が公開されており、上級者に勝つことはとても大変です。
これらをプレイした時に、アブストラクトっぽいという感想を持つ人はそう多くはないでしょう。

それでは、何を意図して言っているのでしょうか。
一般的に、プレイ感が将棋に似ているとか、そういう類の感覚を総じてアブストラクトっぽいと表現している人が多いかと思います。

それでは、その将棋に似ているような感覚は何からもたらされるのでしょうか。


何からアブストラクトゲームっぽさを感じるか

私はアブストラクトっぽさの源泉を【他人へのコントロール力】だと思っています。一方的ではダメで、相互に強く影響を与え合って初めてこの感覚になると思います。

例えばテラミスティカでは自分手番の全ての行動が相手に影響をもたらすわけではありません。また、資源の管理という部分が主となっており、他人の行動への影響はあくまでサブ要素です。
たとえ全ての情報が公開されていても、他のプレイヤーにとって何が重要なのかを予測しきれないでしょう。そのため、アブストラクトっぽさをあまり感じないのだと思います。

一方バトルラインは運要素の強いカードゲームです。しかし、私の感覚としてはアブストラクトゲームに近いです。
それはおそらく、自分の行動の結果で相手の行動をある程度拘束、そして予測できるからです。

相手の選択肢を予測でき、更に制限をかけるものこそアブストラクトっぽいのだと私は思います。

じゃあマストフォローのトリテってアブストラクトですか……?
いいえ、それは予測精度がだいぶ落ちるでしょう。フォロー出来ない時は自由に出せる事が多いですしね……

切り札の強さが明確なトリテ、かつ全員がカウンティングする前提ならばアブストラクトっぽさを感じることもあります。
例えばSkatというゲームは手札を見た時点でゲーム展開をある程度予想できます。その代わりにビットがやたら複雑で、プレイ自体は確認作業に近いです。※個人の感覚です

それでは、他人の行動を完全にコントロール出来る場合はどうでしょうか。
もし相手の行動を全て自分で選べるならば、それは1人で遊んでいるのと変わりません。一般的にそれはパズルと呼ばれます。
逆に全員が自分の行動を全く選べないものは運ゲーだと言われます。

この辺りのゾーニングは明確ではない気もしますし、そのため定期的に話題になっているのだと思います。私は楽しければ何でもいいと思っていますが、やはり好みはありますからね……


まとめ

ここまでを踏まえて私の考えを軽くまとめると、以下の2点になります。
➀情報が全て公開されていてもアブストラクトっぽさを感じないこともある
②アブストラクトっぽさは他人への影響力が関係する

自分と他のプレイヤーに対する影響度と、その予測可能性
アブストラクトっぽさはそこからもたらされると思います。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
ふわっとした話ではありましたが、色々と考えるのは楽しいですね!

Advent Calendar 次は12/17(土)
lengthさん
(元)アブストラクト勢のある頓挫した試み
です~


執筆:レグルス

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