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共感疲労って、知ってる? in ZOOゼミ

こんばんは!
本日は2023年12月13日に実施させていただいたZOOゼミについて共有したいと思います。

※ZOOゼミとは…北里大学獣医学部の小倉匡俊先生が開く課外ゼミ。普段は動物園に関する話題についてざっくばらんとお話ししたり、映画を見たり、動物園でイベントを実施したりしています。今回は卒業生であるわたなべが、小倉先生にお願いしてお時間をいただきました。


さて、皆さんは「共感疲労」という言葉をご存じでしょうか?

共感疲労とは、他者への思いやりが深い看護師や介護現場の方が懸命な介護や看護の甲斐なく患者さんが亡くなった際にさらされる肉体的・精神的な疲労のことを指します。症状としては、疲労困憊や不眠、無気力、感情の麻痺、意識の散漫、孤立、引きこもり、悪夢を見るなどが挙げられます。最近は動物実験の業界内でも、この共感疲労が話題としてあがるようになってきました。

今回は、実験動物の管理業務に携わりながら産業カウンセラーの資格を取られ、業界内での共感疲労の普及啓発に尽力されている大西平治朗さんにお話していただきました。

最初に、普段の大西さんのお仕事や趣味などの自己紹介していただきました。次に、動物実験をしなくてはならない理由や薬が開発されることを願い、待っている患者さんがいることをエピソードを交えてお話ししてくださいました。

そして、ご自身の経験についてもお話しいただきました。薬ができる過程で動物実験は必要だということを、頭では理解できていても、たくさんの動物を犠牲にしなければならないことで辛く苦しい体験をされたとのことでした。

また、共感疲労が起こる仕組みを科学的にわかりやすくお話していただきました。心の疲労は、例えるなら骨折のようなもので、回復するまでしっかり休む必要があるそうです。また、疲労の蓄積や大きなショックを受けて鬱状態になったときは、その時に出てくる「悩み」ではなく、「鬱状態」に目を向けて解決することが大切であることを教えてくださいました。

大西さんのように動物実験に関わる方だけでなく、動物園の動物や畜産動物の飼育に携わっている方、そして動物関係のお仕事に就いていない方でも、共感疲労に陥る可能性はあるとのことでした。

ここまで聞いていただいた内容をふまえて、学生たちにはワークシートを使いながらグループワークをしていただきました。テーマは、「もしかしてあれは共感疲労だったのかもしれないなと思うエピソード」と「もし周りにつらそうな人がいた時、自分はどうするか」という内容でディスカッションしていただきました。

ZOOゼミで用いたワークシート
グループワークの様子
学生たちの感想は後ほどご紹介します

グループワークのあとは、アメリカの動物実験機関で行われている心のケアについて紹介してくださいました。共感疲労に限らず、心が疲れてしまうことは誰にでもあります。そんなときにできるセルフケアについても教えてくださいました。

動物関係の仕事と精神疾患は、なかなか繋がりを感じにくいかもしれません。しかし、「命と向き合う」という特性上、とても身近で、どんな人にも関わってくる問題です。心が弱かったり強かったりという問題でもありません。正しく理解して、適切にケアができるように、今回のお話が学生たちの頭の片隅に残るといいなと思いました。

このゼミが終わったあと、学生たちからはいろいろな感想をいただきました。

  • 自分が経験したものが共感疲労だったかもしれないと知り、少し気持ちが楽になった。自分だったらほっといて欲しいと感じるけど話を聞くという寄り添い方もあると知り考えを共有することが出来て良かった。

  • ラットを使って卒業研究をおこなっている友人が、ラットの体に変化が起きていく様子を見て心がつらくなってしまったり、実験のデータが取れなかったことで犠牲になるラットの数が増えてしまうことで逆にハイになってしまうような(今思い返せば自暴自棄と思われる)状況を見てきた。しかし、無責任な声かけを避けたく、ただ話を聴くことしかできなかった。しかし、その友人の吐口に少しでもなれたならよかったなと思う。

  • 実験動物に関して動物側に対して可哀想などという考えを持つことがほとんどだけど動物実験を扱う人にもストレスを持つことがわかった。動物実験は人や動物の未来のために必要だと思っていたけれどその分人に対してケアをすることが大切だとわかった。

  • 私は将来畜産関係の仕事に就きたいと思っているので就職する前に知れて良かったと思いました。周りに頼れる人を作り積極的に分かりやすいようにまわりの人に伝えたいと思いました。

今回のお話が学生たちの役に立つ時間になったなら、とてもうれしく思います。私たちも大変勉強になりました。

北里大学ZOOゼミの皆さん、大西平治朗さん、小倉匡俊先生、ありがとうございました!

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