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第7夜 クリスマスにコスメを贈るなら!知っておきたい動物実験と化粧品の今

12月18日はクリスマスシーズンということで、
クリスマスプレゼントから発想して、化粧品の動物実験について取り上げました。

1.クリスマスコフレから動物実験を考えよう

プレゼントで代表的なクリスマスコフレ
コフレとは、フランス語で宝石を入れる小箱のことです。化粧品を宝石に例えて名づけられています。
今回は、クリスマスコフレを切り口に動物実験について考えていきました。

2.化粧品と動物実験

化粧品の動物実験というと、残酷なイメージや実験に使われているウサギを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

そういったイメージが広まり始めた1980年代に、動物実験反対運動は盛んに行われるようになりました。
その後、世界中で動物実験を禁止する法律、代替法のためのガイドラインや学会などが作られるようになっていきました。

日本でも1989年に日本動物実験代替法学会が設立されています。また、動物愛護法でも、出来る限り動物以外で実験すること、数を少なくすること、苦痛を与えない方法にすること、回復の見込みのない状態に陥っている場合には出来る限り苦痛を与えずに処分すること等が定められています。

このような流れのなかで、近年では化粧品の動物実験は無くなる傾向にあります。

それには、どういった要因があるでしょうか?
参加者の方々には、クイズに答えていただく形で一緒に考えていただきました。

3.クイズに答えてみよう

下の三択から考えていただきました。
正解はどれだと思いますか?

正解は、「全部」です。
引っかけだと思われたかもしれませんが、実はこれらが化粧品の動物実験を減らす要因になっています。

しかし、新しい成分など、まだ安全性や効果が分からないものに関しては動物実験を行わなければなりません。

また、食べられる材料を使っている場合にも、別の問題があります。

それは、食用品と競合してしまうということです。競合すると、限られた生産量の中で取り合いが起こり、食用のほうでは価格が上がったり、化粧品のほうは安定して材料を確保できないという問題が起こります。

そして、代替法についても万能ではありません。

たとえば、目に炎症が起きないか試験を行うとします。動物の目に薬液を垂らして反応を見たのに、実際には鼻や喉で炎症が起きることもあります。

これは、体がすべて繋がっているからこそ起きる反応です。代替法は、現時点では体すべての機能を再現することはできていません。

そのため、代替法では成功したけれど、実際に生体に使ったら別のところで悪さをするかもしれないというリスクもあるのです。

そういった制約のなかで、いますぐ動物実験を減らすことはできなくても、必要のない動物実験はなくしていこうという努力がなされています。

4.私たちにできること

それでは、これらを知ったうえで、私たちには何ができるでしょうか?

1番にできることは「動物実験をしていないもの、動物や環境に優しい商品を買うこと」です。

そういったものが売れるとわかれば、作る側の会社も、優しいものを作らざるをえなくなります。買い物は投票、と言います。小さなことのように思えますが、これからは本当にいいもの、優しいものを選んで、世の中を変えることにつなげて行ってほしいと思います。

5.ワークショップをしました!

化粧品と動物実験の実態を共有したところで、冒頭のクリスマスプレゼントの話に立ち返って、参加者の方々とワークショップを行いました。

今回行ったのは、「クリスマスカードづくり」です。

このカードは、ご自由にお使いいただけます!

参加者の方々には、動物実験をしていない・環境に配慮した商品を作っている代表的な化粧品メーカー3社から出ているクリスマスコフレを紹介し、そのなかから1つ選んでいただきました。

そして、以下のようにメッセージカードを作っていただきました。

①贈る人を決める
②贈る商品を決める
③その商品のどこにこだわって選んだか、相手にどんな気持ちをもってその商品を選んだかを書く

参考例として、わたなべさんが1つ作り、それを聞いて参加者の方々にも作っていただきました。そして、作ったカードの発表もしていただきました。どれもすごく素敵でした!!

また、クリスマスにプレゼントをするときには、ぜひ作ったカードを添えてみてくださいとお伝えして、ワークは終わりました。

6.むすび

最近はコロナで動物実験への関心が高まっているように感じます。

サイエンスアゴラの動物実験編でもお伝えしましたが、実験動物を行っている人の多くが、動物が好きで、たくさん学んで、実験動物の職についていることが多いです。それは、科学の発展によってより多くの動物を守るためであったり、人間の医療のためと考えていたりと、様々です。

そして、動物実験を行っている多くの人が、動物実験を減らし、そしていつかはなくして行きたいと思っています。

皆さんが思っている以上に、メーカーにとって、消費者の考え方の変化や消費の傾向は大きなものです。身近にできて、小さいようで大きな力を持つ「お買い物」を通して、ぜひ動物そして環境を守り、可能な範囲内で、未来への投資を行っていきましょう!

7.次回の掲載予告

次回は
『第8夜 ユキヒョウと獣害』の内容を掲載します。

どうぞお楽しみに!

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【第7夜で使用した参考文献】

・JAVA ホームページ
・動物実験代替法への化粧品企業における取り組み(ファマルシア vol.44 №9 2008 板垣宏、萩野滋延
・日本における実験動物代替法の技術展開(日薬理誌  宮崎博之、吉山友二)
・LUSH ホームページ
・SABON ホームページ
・THE BODY SHOP ホームページ
・エシカミー ホームページ

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