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第12夜 イカやタコの仲間が持つ知能

今回は、海でお馴染みの生き物、イカタコが主役!
彼らが持つ知能から、私たちの食や動物福祉について考えてみました。

1.イカやタコって、なんなんだ?

イカやタコってどんな動物なのでしょうか?
彼らは生物学上では、「頭足類」という部類に入ります。
左右対称の体で、頭・胴・足の3つで構成されています。
人の目に近い「カメラ眼」を持ち、特徴的な吸盤は感覚器としての機能を持ちます。

そんなイカやタコですが、寿命が短く、タコで2~3年、イカでは1年前後しか生きられません。

2.参加者のみなさんに聞きました!好きなイカタコ料理は?

イカやタコの魅力は、不思議な見た目だけではありません。そのおいしさも、間違いなく魅力の1つでしょう。

そこで、参加者のみなさんに質問をしました!

「好きなイカタコ料理はなんですか?」

参加者のみなさんからは、いろいろな料理が挙げられました!
タコ焼き、イカ焼き、イカ刺し、などなど。
今回はイカの方が人気でした!

3.イカやタコって、こんな知能を持っているよ!

おいしさの話題で盛り上がったところで、イカタコたちの話に戻ります。

彼らはとても高い知能を持っていることが、最近の研究で明らかになりつつあります。

注目すべきは、その脳の大きさです。
体の大きさと比較して脳が大きく、無脊椎動物の中では巨大脳と言われていて、その比率だと、鳥類や哺乳類にも迫るくらいの大きさだそうです。

その大きさが直接的に関係しているかはわかりませんが、記憶力と学習能力をもち、個体同士のコミュニケーションそして、群れや他個体間での社会性があることもわかってきました。

ここからは、琉球大学の池田譲先生研究報告や、海外の報告のニュース記事を中心に紹介していきながら、こんなに頭がいいのか!と、皆さんにはっ!としてもらえたらと思います。

①イカは自分が分かっているかも

イカに鏡を見せたら、鏡に優しくタッチする行動をとりました。これは、敵にも仲間にもしない反応で、自分を認識している反応と考えられています。自分がわかる動物はごく限られているので、イカの知能の高さがうかがえます。

②タコは世界を目と吸盤で見る

https://web.archive.org/web/20200710023137id_/https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/69/2/69_69.1.10/_pdf

タコは目で見るだけでなく、触ることで情報を記憶していると考えられています。

③イカは仲間といろんなコミュニケーションを取っている

https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/69/2/69_69.1.12/_pdf

イカは体の半分の色を変えて求愛、もう半分を違う色にして敵に威嚇、なんてこともできます。
また、アオリイカは仲間と視覚的で複雑なコミュニケーションをとりながら、状況に応じて群れでの泳ぎ方、隊列を変えているようです。

④タコは「村」をつくる

タコは単独で行動すると考えられていましたが、どうやら餌が豊富な場所では、村やアパートのようなものを作って他の個体とコミュニケーションを取っているということが分かりました。

4.なんで、畜産動物と水産物への気持ちの入り方が違うのだろう?

イカやタコの高度なコミュニケーション等々、さまざまな知能を踏まえた上で、参加者のみなさんと一緒にお話しました!

たとえば、活けづくりについて、どう感じますか?
畜産動物でやったら大変なことですが、イカやタコなどの水産物だと、新鮮そう!と逆に喜ばれたりしますよね。

参加のみなさんからは、いけすのあるお店について感じることや複雑な心境をお話ししてくださいました。

5.水産物を調理するときも、配慮が必要なのかな?

では、イカやタコを食材として調理する際には、なにか配慮が要るのでしょうか?

イギリスでは、頭足類も痛みを感じる生き物として、生きたまま茹でることを推奨しないと発表しています。
こういった事例を紹介しながら、参加者のみなさんとお話しました。

6.むすび

最近の研究から、今まで下等で、痛みを感じたり知能はあまりないと考えられてきた動物が、実はそうではないかもしれないということがわかってきました。

いままでそれが分からなかったために、配慮不足で、知らぬ間に苦しませていたことも多かったでしょうし、今もそうでしょう。

私たちは、目まぐるしく発展する科学をどう受け止め、どう考えていけばよいのでしょうか?

今後はさらに常識に縛られず、いろんな角度で、多面的に物事を見ていくことが求められるかもしれませんね。

7.次回の掲載予告

次回は
『第13夜 サーカスのどうぶつたち 』の内容を掲載します。

どうぞお楽しみに!

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【参考文献】

アオリイカ群れのソーシャルネットワークにみるイカ類社会性の基盤

・生物学者が子供向けに解説するタコの魅力。その生態と知能、特殊スキル

頭足類学という夢路

タコにおける視覚・触覚にもとづく行動:タコは世界をクロスモーダルに知覚しているのか?

頭足類の巨大脳と行動が語るところ

頭足類の社会性と知性基盤

カラス、ハト、イカ、ベラーー鏡に映る自分がわからない「意外すぎる動物」とは?

活き造りや踊り食いは残酷か 日本の丼で海外で議論白熱 結論は生き物を……?

OIEの動物福祉規約「養殖魚の福祉」

イカやタコ、カニには痛みの感覚がある。英政府が認定、「生きたまま茹でるのは非人道的」との調査も

生きているアカザエビの煮沸は、提案された法律の下で英国で禁止される可能性があります

タコも「街」をつくることが判明──米研究チームが発見した「オクトランティス」の秘密

水産庁

全国いか加工業協働組合

イカ類の自己認識と社会性の発達に関する行動学的研究



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