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ノベルゲームを遊んでエロゲソングを聴こう【国士舘アニ研ブログ】

(記事見出し画像:Us:track『恋×シンアイ彼女』より)

こんにちは。鯖主です。
今回もノベルゲーム関連の話です。こんなタイトルですが曲紹介ではありません。なにか言葉にするなら「ジャンル紹介」でしょうか?今回はエロゲソングというジャンル丸ごと解説しちゃいます。

・そもそもエロゲソングとは

エロゲソングは名前の通りの「エロゲで使用されたボーカル曲」です。名前の通りではあるのですが、別にR18ではない作品の曲もノベルゲームであればエロゲソングとして分類されがちです。逆にノベルゲームでなくともR18作品の曲であればエロゲソングとして分類されることも多々あります。
とりあえず、本記事では「ノベルゲーム作品で使用されたボーカル曲」という扱いで進めていきます。

・特徴

分かりやすい特徴から触れると、まずは音楽ジャンルの広さが挙げられるでしょう。エロゲソングというジャンル自体は、いわゆる「音楽ジャンル」ではないので、ジャンルの言葉に対して『含まれる「音楽ジャンル」が広い』なんてことが言える、よく分からない状態になっています。
それはそれとして、音楽ジャンルの広さですが、本当になんでもあります。いわゆるアニソン的な電波曲から、爽やかバンド音楽から、今風なfuture bassから、エンディング曲に合うバラードから、洒落てる感じのジャズまで。似たような「音楽ジャンル」ではない音楽のジャンルとしてアニソンがありますが、エロゲソングはアニソンから萌えとか電波とかをいくらか引いて、その分バンド音楽を足したようなイメージがありますね。
そして、エロゲソングの音楽ジャンルの広さの理由として、ノベルゲームの作風の広さが影響しているような気がします。エロゲソングはその曲が使われる作品の影響を大きく受ける傾向にあるので、ノベルゲームの作風の広さと比例して曲のバリエーションも広い、と考えています。
そして、この記事で一番話したいことが、この「エロゲソングはその曲が使われる作品の影響を大きく受ける傾向にある」という特徴です。
結論から言えば、この特徴のおかげで多くのエロゲソングには曲に大なり小なり付加価値がもたらされています。もう少し具体的かつ簡単に言えば、曲に良い感じの思い出補正が付きやすかったりする、ということです。ノベルゲームで使用されるボーカル曲というのは、その歌詞と作品との結び付きが強い傾向があるために生まれた特徴ですね。
これをよく表したノベルゲームあるあるとして、シナリオライターがその作品に使われる曲の作詞もすることがそれなりに多い、というものがあります。つまりそういうことです(説明放棄)。

ここからは憶測の話になりますが、一般的な歌唱曲が使われる物語媒体と言うと、映画・アニメ・ドラマが挙げられると思います。それらの媒体の作品における歌唱曲というのは「その作品の曲」であると同時に、「その曲に携わったクリエイター(達)の曲」という側面があり、特にドラマではその傾向が強いように思えます。
逆にエロゲソングには「その作品の曲」という側面がより強く、それ故にエロゲソングはその曲が使われる作品の影響を大きく受ける傾向にあると考えるのです。ベクトルは違いますが、キャラソンなんかが近いかもしれません。あれは間違いなく「そのキャラクターの曲」ですからね。

・具体例

と、色々言ってみましたが正直あまり伝わらない気がするので、ここからは具体例をいくつか紹介します。当然ながらネタバレがあるのでプレイ予定の作品がある方はご注意下さい。めっちゃネタバレしてます。
以下、これ以降ネタバレを含む作品です。
・『恋×シンアイ彼女』
・『CROSS†CHANNEL』







では、最初に挙げた『恋×シンアイ彼女』より『GLORIOUS DAYS』から紹介しましょう。エンディング曲と見せかけて挿入歌です。

晴れた空は歌い出すんだ 時間を超えて
何度繰り返してもきっと 出会いたいから

『GLORIOUS DAYS』より

歌詞のどの部分もこの作品の物語を想起させるものとなっていますが、ひとつ挙げるならこの部分でしょうか。
この作品のTRUE(≒正史)では主人公とヒロインが別れと再会を繰り返します。そして、その物語の結末は2人が再会したのかどうかが不明瞭であるような描写で幕引きとなっています。
そこで、この曲とこの歌詞です。ただの挿入歌の歌詞を物語に持ち込むのは良くない気がしますが、実はこの曲、作中に出てきます。ついでに作曲(作詞ではないけど)はTRUEでのヒロイン。その上でのこの歌詞とこの幕引きです。挿入歌ひとつでこの物語の読み方に影響を与えられても不思議じゃないと思います。
この際、物語の結末云々は置いておきますが、作品との結びつきが強いエロゲソングの具体例のひとつとして参考になれば幸いです。


続いては『CROSS†CHANNEL』より『CROSSING』です。これは本当にエンディング曲。

世界と自身とを分かつ壁は 人を象り閉じ込める檻
そしていつかは寂しさから手を伸ばし 優しく傷つけあって

『CROSSING』より

先述したシナリオライターが作詞もやってる曲です。ちなみにこの作品のシナリオライターは田中ロミオだったりします。『人類は衰退しました』の著者、と言えば伝わりやすいでしょうか。
さて、そんな本作ですが主人公が所属している放送部の8人を除く全ての人類が滅亡したっぽい所から話が始まります。いわゆるポストアポカリプスってやつです。そこに当時(00年代)流行っていたセカイ系が乗っかったような導入となっています。そこからなんやかんやあって主人公ひとりが世界に取り残されて幕引き、というのが本作のTRUEにあたる物語のエンディングです。ここだけ聞くと、終末世界バッドエンド物語ですが、そうとも言い切れないのが本作の面白い部分。この記事は作品紹介記事ではないので色々端折りますが、物語の最後に流れるテキスト(下記引用)を読んでいただければ、きっと本作がただの終末世界バッドエンド物語ではないことが伝わると思います。

こちら、群青学院放送部
生きている人、いますか?
もしいるのであれば、聞いてください
今、あなたがどんな状況に置かれているのか、俺は知りません
絶望しているかもしれない
苦しい思いをしているかもしれない
あるいは……死の直前であるかも知れない
そんな、全部の人に、俺は言います
……生きてください
ただ、生きてください
居続けてくれませんか
これは単なる、俺のお願いです
もしこの声を聞いていてくれる人がいるのであれば、ひとりぼっちではないってことだから
聞いてる人が存在してくれるその瞬間、たとえ自覚がなくとも、俺と貴方の繋がりとなるはずだから
そう考えています
人は一人で生まれて、一人で死にます
誰と仲良くしても、本質的には一人です 通じ合っても、すべてを共有するわけじゃない
生きることは、寂しいことです
寂しさを、どう誤魔化すかは……大切なことです
そのために……他人がいるんじゃないかと思います
あなたには誰かとの思い出が、ありますか?
それは貴重なものです
決して忘れないようにしてください
孤独と向かい合った人の、唯一の支えだからです
理想は、近くにいてくれる誰か
けど今は、そんな当たり前さえ保証されない
けれど……俺はここにいます
あなたがそこにいるように

こちら、群青学院放送部
生きている人、いますか?
ではまた来週

『CROSS†CHANNEL』より

本作品はこの文章で締められており、すなわちエンディング曲である『CROSSING』はこのテキストの流れから始まるということになります。上記の文章を読んだうえで『CROSSING』の歌詞を見ていただければ、物語と楽曲との繋がりの強さがなんとなくでも理解してもらえるのではないでしょうか。
こういった思い出補正以上の価値が付いた曲と出会えるのはノベルゲームが好きな理由のひとつです。

ということで、エロゲソングというジャンルの紹介でした。歌詞だけではなく、曲自体も良い感じのものが多いので是非色々聴いてみて下さい。メドレー動画とかいっぱいあります。


最後に宣伝を挟みますが、11月2日から3日にかけて開催される弊学の学祭で部誌を販売するので、よければ是非お越しください。新宿から大体30分くらいのところです。(詳細はこちらから)
ちなみに店内BGMとしてエロゲソングを少し流す予定があったりします。


紹介した作品です。どちらもR18作品なので、閲覧・購入の際はご注意ください。

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