『採用基準』を読んだ
これを読んだので印象に残っていることを書く。
読み終わった感想としては
リーダーシップの何たるかを完全に理解した。
(ダニング・クルーガー効果)
という感じだった。
タイトルには採用基準とあるものの、マッキンゼーの採用基準は今の日本社会に求められているものと同じなのではないかと論理展開してリーダーシップの重要性について説いた本であり、マッキンゼーの採用基準についての話だけが主題ではない。
1 章ではマッキンゼーが求めている人材はリーダーシップを発揮する人であり、地頭だけが良い人でも、なんでもできる優等生でもないことを説明していた。
ここはよく誤解される採用基準といった話題だったが、個人的にはあまり誤解しているとは感じなかった。地頭の良さだけでなくコミュニケーション能力も必要だし、尖った人でも活躍の場が与えられるということを述べていて、そうですねと思った。
3 章ではリーダーシップとは何なのかについて述べていた。
特に印象的だったのはリーダーシップを持っている人はどんな人か?についての例え。
「大型船が沈没し、救命ボートに乗らなければならなくなった。あなたは子供を抱えており、誰かが漕ぐボートに乗らなければならない。」といったシュチュエーションで、誰のボートに乗るか?
おそらく漕ぎ手が、気の良い人であるか、一生懸命努力している人であるか、はあまり気にならず、自分達の命を助けてくれる確率が一番高い人が漕ぐボートに乗りたいと考えるはず。例えその人が無愛想で普段はとっつきづらい印象だったとしても。
なぜか?それは命がかかっているから。楽しくボートに乗る状況だったら気の良い人を選ぶが、命がかかっているのであれば確実に成果を出してくれる人を選ぶ。
こういった状況で選ばれる人(確実に成果を出す人)が、まさにリーダー、と述べられており腑に落ちた。
次の章ではリーダーがなすべき 4 つのタスクについて述べられていた。
ゴールを掲げる
先頭を走る
決める
伝える
先頭を走る、とはマラソンのペースメーカー的存在で、最初に行くのは必ずしも賢いとは言えないが誰かが行って、未知の不確実性と戦わなければならないということ。
これは相当意識しないと難しいと思ったので意識的にチャレンジしていきたい。
6 章では日本に足りないのはリーダーシップキャパシティと述べていたことが印象に残っている。
カリスマ的リーダーが一人で何かを変えることは現実的にはなく、たくさんのリーダーシップを持った人たちが変えていくことが大事だし欧米ではそういった教えが一般的だが、日本人はその認識が薄く、特別な人だけがリーダーシップを持つべきと考えているとの指摘。
キャパシティがあまりないのはその通りと感じるし、リーダーシップ自体あまり馴染みがない、特別感のある言葉になってしまっていると思う。
自分もこの本を読むまでは特にみんながリーダーシップを発揮していくべきだ、とは考えてもいなかった。ただ本を読んだら完全同意だったので、単に認知できていないことも大きい原因であるように感じる。
最後の章ではリーダーシップを持てば人生をコントロールできると締めている。
問題の解決にはリーダーシップ以外の能力が必要だけど、リーダーシップがある人は能力のある人を率いれば解決できる。一方、リーダーシップがない人が、リーダーシップのある人を参謀に立てて問題を解決するというのは概念上あり得ない。
リーダーシップを持つことで色々な選択肢が見えてきて、マッキンゼーで働き続けることへの依存もなくなり、本当に自分がやりたいことをしようと思えるようになるとのこと。
多分たいていの人は(本書の主張では、リーダーシップスキルが習熟されていないから)そこまでの自信を持てないのだろうなと思った。どこでもやっていける自信を持てないので、今の仕事を辞める勇気がなく、やんわりと仕事を続けている人はとてもたくさんいそう。そういったある種怠惰な感情で仕事を続けるよりも、リーダーシップスキルを磨いてやりたいことをやっていく人生は楽しそうだなと思った。
個人的にはリーダーシップがあるかは分からないが比較的どこでもやっていけると思っていて楽しく仕事をしているのであまり刺さらなかったが、大学生の時とかにこれを読んでいれば人生の選択が変わったかもと思ったので記載した。
全体的に読みやすく、納得感もあり、リーダーシップの何たるかを完全に理解できる良い本だった。読み終わって気づいたが 10 年以上前に発行された本だった。読んでいる間は全くそれに気づかず、とても普遍的な内容が書かれているように感じた。(日本の課題感についてもかなり触れられていたので、日本が 10 年間ほとんど成長していない可能性もある。)
学びになることは多かったと感じたが、いうは易し行うは難しの典型だと思うのでいくらか意識的にリーダーシップを磨けるよう行動を改めるようにしたい。
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