太陽と月が同時に存在するみたいな別れ
日テレの番組「嗚呼!!みんなの動物園」で猫のルナちゃんを預からせていただいていたのですが…
先日、無事に新しいご家庭に譲渡されました!
なんか…
まず、このあとの一言目、どの気持ちを書いたらいいか難しいです!
やっぱり一言目にくる言葉が一番強い感情だと思われるのではと考えるんですがそれが「寂しい」とか「嬉しい」とか色々の異種格闘技なのです。
ルナちゃんに対する自分からの角度がありすぎるということです!
今日は一言で言えそうにないのでいっぱい書こうと思います。
ルナちゃんはミヌエットの女の子です。
顔の真ん中でベージュとグレーに分かれていて、まるで太陽と月という相反する2つを同時に存在させているような神秘的で可愛いお顔です。
モフモフの毛、小さな手足で、体を揺らしてテチテチ歩いたかと思うと、F1を彷彿とさせる猛スピードで家の中を駆け回ります。見た目から想像もできないほどの走り屋でした。
あと、伝わったことはないのですが、耳下のグレーの毛が小泉純一郎さんぽくて可愛いです。
そんなルナちゃん…。
初めて我が家に来た夜は「にゃおーん、にゃおーん」という低く不安そうな声で鳴いていたのを覚えています。
鳴いているルナちゃんに近づいて何かしてあげたい気持ちと、でも今ルナちゃんにとって一番怖いのは私だというしっかりとした認識で己を律しました。
「初めて施設に来た時も3日ごはん食べなかったからね…」
施設の方がそう話していたので、こちらも気を遣います。
猫にとって新しい環境は大変なのです。大変だと、聞いていたのですが、全然すぐにごはんを食べました。来て20分くらいで食べました。あとトイレにもいきました。
頼もしかったです。
最初の頃は、トイレで用を足すとき、私のことをじっと見つめながらしてくれました。ルナちゃんにとって便意の沸く顔だったのかもしれません。出すに越したことないのでなんでも嬉しかったです。
そんな、もうここに住むことを決めたと言わんばかりの堂々たるルナちゃんに対して…
菊次郎はシワシワになってしまいました。
ここは本棚の上という家の中でMAXの高い場所から警戒している様子です。
やっぱり高いところから相手の全容を監視するというのは猫の世界でもそうなんだと勉強になりました。
人が江戸時代に作ったお城の櫓(やぐら)もそのやり口ですし、猫と人が独自のルートから同じ結論にたどり着いているってなんか面白いですね。
とにかく、そんな性格の違う2匹ですが、なんだかんだ仲良くやっていたようです。
私は実際に見ていないんですが…
番組で私のいない留守中の様子が放送されていました。そこではソファでくつろいでいた菊次郎が突然ニャーと鳴きだし、ルナちゃんを探していました。見つけると安心していて「菊次郎にも兄貴としての感情が生まれ初めているんだ…!」とその可愛すぎる物語に感動しました。
これは、昼過ぎまで起きない私を迎えにきた2匹です。もう私と長い菊次郎は「こいつは起きないよ」と諦めていますが、ルナちゃんはまだ私のことを信じてくれています。
「猫より寝てるのはさすがにまずいか…」
と、おかげさまで起きれた昼が多々ありました。
本当にありがとう。
これは帰宅後すぐ布団にいった私を迎えにきた2匹です。
ケインコスギさんの「ファイト一発!」ってCMでこういう絵ありましたよね。私の足を綱、手前を崖だと思ってもらったらそう見えないですか?
2匹との生活は、他にも色々ありました。
私が朝5時起きの日に合わせて、深夜、2匹で運動会を開催してくれた日もありました。
菊次郎は人の上を走っちゃいけないことを知っていましたが、知らないルナちゃんは、床を走っていた勢いそのままにお腹の上を駆け抜けてくれた日もありました。
あのときは改めて「人の臓器ってこんなに柔らかいんだ…」と知りました。
ルナちゃんは結構アクティブで、でも1人になりたいときはベッドの下に隠れて「まじ話しかけないでいいからね」と距離を置くような子でした。
菊次郎より猫って感じの猫でした。
ルナちゃんと菊次郎で、特に違って困ったのは猫じゃらしです。
ルナちゃんは猫じゃらしが大好きなのですが、菊次郎は全く猫じゃらしで遊ばないタイプだったため私が扱いに慣れていなかったのです。
菊次郎はうちに来たとき既に推定4,5才のしっかりとした大人で、私がねこじゃらしをどれだけ振ろうとも「それよりガイアの夜明けを見せてください」と言い出しそうな面持ちでした。猫じゃらしを振る自分が情けなくなるほどの大人でした。
だから猫じゃらしの扱いには自信もなかったし、猫飼いの憧れこと「猫と猫じゃらしで遊ぶ」をルナちゃんは叶えてくれて、下手くそな猫じゃらしにも食いついてきてくれて嬉しかったです。
食いついてきてくれたというか、ルナちゃんはとにかくもうめちゃくちゃに紐が好きでした。
家の中を歩いていたらルナちゃんがはしゃぎながらついてきて、なんだと思ったら、スカートの袖からほつれて出てきていた紐で遊んでいたこともありました。
ルナちゃんにとっては、世界に存在する全ての紐がキラキラして見えてるのかもしれません…
そう思うだけで、なんかもう尊すぎて瞳が潤んできます。
あと2匹の関係でへえ〜となったのはご飯のことです。
ルナちゃんと菊次郎、それぞれに離した場所にご飯を出しても少し食べたあと、お互い相手のごはんが気になるようでそっちを食べたりしていました。同じごはんなのにです。
「隣の芝生は青く見える」ということわざがありますが、猫に「人間の世界にはこんなことわざがあるんだよ」と伝えても「それめっちゃ腑に落ちるわ」と言ってくれそうです。
その習性が分かってからは、ルナちゃんと菊次郎のごはんを逆に出すなどして(量が違うので)それが上手く行ったときは自分に全能感を感じるなどしていました。
それから…!
ルナちゃんには色々なものを作りました。
こちらは「巨大シャケ化石発掘中爪とぎ」です。
猫が爪を研ぐときの動作を何かに見立てたいな…と思ったものの、既に「ピアノ型爪とぎ」や「DJ風爪とぎ」が世には出ていたので「巨大シャケ化石の発掘」にしました。
ルナちゃんは、私が何か作るとそれにすごく興味を示してくれます。
この爪とぎも作って5分くらいで「カリカリ…」と使った姿を見せてくれて、可愛くて、制作の苦労すべてが報われました。
こちらは、ルナちゃんに作った猫ベッドです。
右のやつはシャワー型の猫じゃらしです。
「そうだ!ベッドを作ってあげよう!」
と思った瞬間に猫足バスタブのお風呂がひらめき、絶対に似合うと思い作りました。お風呂からはルナちゃんと同じ色の足を生やしました。
おかげでベッドに入っても手足が出ているように見えます。おかげで?
これは作ってあげた温泉施設の畳の部屋でくつろぐルナちゃんです。
そんな感じで、色々作りました。
ああ!
あとルナちゃんを語るときに欠かせないのは「水」です。お水が大好きで、田中みな実さんくらい水を飲んでいました。
飲む前になぜか手でチョイチョイと水掻きをしてから飲むのがクセで、そのモフモフの小さな手でチョイチョイする様子はもう可愛いすぎて自分から電気が発生するんじゃないかくらいの可愛さでした。
ここまで書いてみて、なんかあれです。
ルナちゃんとのことを忘れてしまわないようメモができた安心感と、書いたこと全てが改めて過去であるという事実が押し寄せますね。
ちょっとセンチメンタルのセンチメくらいまできそうになりますが、番組で来てくださった小林幸子さんの言葉が宝物です。ルナちゃんは新しいご家庭でみんなを笑顔にするのです。
でも、本当に本当に素敵なご家庭と巡り合わせていただきました。
譲渡させていただく方に電話で結果をお伝えしたとき、それはもうむちゃくちゃに喜んでくださいました。もう声を潤ませるほど喜んでくださってそのときにやっと「ルナちゃんには素敵な未来が待っているんだ…大丈夫だ…!」とお別れの決意がハッキリとできました。
ハッキリとできたつもりだったのですが、番組を見たら「じゃあね」「またね」とか言いながら全く帰らない私がいてまじ恥ずかったです。
ルナちゃんを「これが最後…これが最後…」と触るのですが踏ん切りがつかず、またそのモフモフの感触が何度も涙腺を叩きましたが未来のご家庭の前で絶対に泣かないぞと決めていたので耐え、その瞬間は強い感情がいくつもグルグルと心の中を回っていました。そこに洗濯物いれたら洗えるほどでした。
番組を見ながらはやく帰れ!はやく帰れ!と願いましたがこれはもう仕方ないと言わせてください…
でも、ルナちゃんとの別れはなんかすごく心が不思議な感じでした。
それでこれはなんなんだとなっていたんですが、私が気付いたのが、この種類のお別れが私の人生において初めてなのかもということです。
学生時代、クラスメイトとの別れは卒業式を経てもまたどこかで会える可能性を残していたし…
もうこの世界では2度と会えないというような別れは、もう上がってこれないんじゃないかと思うような悲しくて縦に長い穴に落ちたり…
ルナちゃんとはお別れたけど、もう会えないけど、どこかで幸せに生きているんだという、そんな別れは初めてで、だから寂しいとか嬉しいとか反対の感情があって、お別れなのに笑っていいんだっていう、なんか熱いのに冷たいみたいな、冬に水着で温水プール入るみたいな、そんな初めての気持ちなのです。
まとまるかなと思ったけどまとまりませんでした。
こういうときもう「ありがとう!」と言うしかないですね。
ルナちゃんありがとう!
そんな感じで今日は終わりです。
では、ここまで読んでくれた方に感謝の気持ちを込めて私からお礼のひとりごとです。
鈴カステラって1回買うとブームきますよね。
よい一週間を。
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