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アナログ画材で変える頭の使い方

こんにちは、イラストレーター/コンセプトデザイナーの神保です。
久々のnoteになってしまいましたが、今回はアナログ画材について。

ゲーム会社でもなかなか見なくなったアナログ画材、使い方によってはメリットもまだまだあるなと思っているので、記事にしてみました!

僕がアナログ画材を手放せない理由

最近はゲーム会社での仕事はほとんどデジタルで、イラストレーターでもアナログ画材に触れたことが無いという方も多いです。僕はちょうど間の世代で、学生時代の前半はアナログ、後半はデジタルでより現場に近い作業の仕方を学びました。

会社には立派な液タブを用意してもらって仕事をしてますが、自分で準備してアナログ画材を使うこともあります

僕は「画材を変えること=頭の使い方を変えること」だと思っていて、こういう頭の使い方をしたいからこの画材を使おうという風に使い分けています。

自分の思考の範囲から出るための太マーカー

デザインする時はまずサムネイルから始めることも多いです。サムネイルっていうのは例えば↓のようなもの。

サムネイルの例

この作業で大事にしたいのは一旦頭を空にすること。
アイデアを紙に落とすだけではなく、出てきた形からもアイデアを得ること(狙ってない歪みが出てもそれを活かしたり)。なので普段の思考範囲から出るために、ツールに制限をかけます。
つまりコントロールしにくいタイプのアナログ画材を使います。

例えばマッキーのような太いマーカー。太さのおかげで狙った形に描けないことも多いんですが、そこが狙い目だと思ってます。思いがけずに描いてしまった出っ張りや歪みが、「あれ、これ耳尖ってるように見えるな、結構ありかも!」となったりします。自分の頭では出てこなかった発想をもらえるのが、コントロールしにくい画材の利点だなと思います。

お世話になっているマッキー

それと、太くて自由が効かない画材は細かいこと(ディテールを描いたり)ができないので大きな形を取ることだけに集中できるというメリットもあります。僕はマッキーを使い始めてからサムネイルの作業がすごくやりやすくなりました。

上手く描きたい病に効く鉛筆

鉛筆もよく使います。鉛筆っていつでも消せて、押してる強さで明度がコントロールできて、持ち運びやすくて、、、ホントに便利な画材だなと思います。そのお陰か、気を抜いて描きたい時によく使います。

気を抜いて描きたい時というのは、上手く描きたい病にハマった時です。笑 いいキャラやプロップをデザインするのと、上手い絵を描くのは全く違います。それでもやっぱり上手い絵を描きたいという願望はあって、そちらが勝ってしまう時もあります。そんな時は、大抵良いデザインのことは頭から抜け落ちて、絵の技法のことを考えてしまいがちで、、。

そういった時は鉛筆を使います。鉛筆のお尻の方を持って、ギリギリ狙ったところに鉛筆を落とせるくらい(綺麗な線は引けないくらい)の持ち方で描きます。そもそも綺麗に描くことができないようにすることで、強制的に上手く描けない状態→うまさを気にできない状態を作ってしまいます

愛用してる鉛筆

これを鉛筆でやるっていうのが大事で、ペンなど消せない画材で描くと僕はかしこまって丁寧に描いてしまいがちです。いつでも消せる、いつでも使えるって気楽さも相まって、頭から「上手く描きたい」を消せるんだなと思います。

明るい色への意識を高める筆ペン

業務では使いませんが、普段の練習で筆ペンを使って学んだこともあります。

筆ペンを使うと白い紙に黒い墨で塗っていくことになるので、明るくする部分は塗らずに残しておかなければいけません(一回暗い色を置いちゃうと上から明るい色を重ねることができない)。僕はデジタルでは中間色の単色でキャンバスを埋めてから塗り始めることが多いので、白を残す(塗らない)という塗り方に結構苦労しました。普段は中間色の上で塗りながら決めていくので、頭の使い方(最初に決めることの優先順位)が結構違います。なのでこれを続けると画面における明るい色の扱いが正確になり、思い通りに明暗をコントロールできるようになりました。

白い部分は紙の色を残してる

デジタルでもできるけど、、、

今まで書いてきた「シルエットだけにこだわること」や「明るさに意識を持つこと」って、ちゃんと気をつければデジタルでもできるじゃんって思う人もいると思います。機能的にはもちろん出来ると思います。

でも絵を描いてる最中って情報量が多すぎて、気をつけようと思ったことも抜けちゃったりしますよね。なのでアナログ画材が持つ「縛り」を使って強制するのは効果的だと思います。

まとめ

アナログ画材は不便なところも確かにありますが、うまく使えばアナログが持つ縛りが「頭の使い方」を変えてくれるといういい面もあります。

そして面白いのが、どう変わるのかが人によって全然違う、ということ。ある友人は鉛筆だと何度も消せるから余計ちゃんと描かなきゃって言うプレッシャーを感じると言っていました(僕とは真逆)。何が自分に合うか、どう頭の使い方が変わるかは試してみないとわからないので、気軽に色々使ってみるのが良さそうですね。まずは普段の落書きから、アナログ画材を使ってみてはいかがでしょうか!

おまけ

そういえば、去年アナログでスケッチしたものをまとめた記事もあるので、そちらもぜひ読んでみてください。

ひたすらスケッチした一年

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