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スマホ関連グッズとサプライチェーンの崩壊

いつもご愛読ありがとうございます。環境問題からものづくりまでこの場で書かせてもらっています。それぞれの記事は単独で成立しているのですが、やはり弊社の事業にはすべてが関係していることなので、思いつく度にあちらの話題、こちらの話題とさまざまになってしまいます。ご了承のほどよろしくお願いいたします。今回は主にサプライチェーンの問題です。

荷物を運ぶ大型コンテナ船

スマホ関連グッズは中国製ばかり

弊社かオリジナルスマホケースの販売をスタートさせた2015年頃は、まだ元気のいい日本の企業様から純日本製のスマホケースが販売されていました。それこそ、アルミから削り出したバンパーケースなどが販売されていましたが、何しろ次々に新機種が発売される業界のため、商品の移り変わりも目まぐるしく、製造のために投入した資金を回収する前に次のケースが発売されるという状況。そのため、体力的に難しくなった企業様から次々と撤退するといった状況となり、現在ではほぼ純日本製のスマホケースが見られなくなりました。もちろん私の知っている限りなので、「ウチではまだ作っているゾ」といった企業様がいらっしゃるかも知れません。ごめんなさい。。。

ほぼ現在では、一部韓国でも製造していますが、ほぼ中国製のスマホケースにとって変わっています。その理由は、

  • 製造原価が安くおさえられること

  • スマホの製造自体が中国であるため、本体のデータが入手しやすい

  • さすが世界の工場、流通網が整っている

以上の項目に集約されると思います。特に、iPhoneを筆頭に中国でスマホの組み立てを行っているメーカーが大きいことはかなり大きな要因だと感じます。

中国深センの夜景

スマホケースの需要が一番高いのは、新機種の発売時期となります。やはり新しく機種変したときには、予めスマホケースもご用意される方が多いと感じます。つまり、新機種発売時には、スマホケースも販売していなければなりません。となると、新機種の発売前(2〜3ヶ月前)にスマホ本体の詳細なデータが必要になります。本体の形状、サイズ、ボタンの位置など。。。それこそ0.1mm単位の情報をもとに、スマホケースのデータを作成し、金型を作り、ケースの製造となっています。

この発売前にスマホ本体のデータを入手しなければ、ケースを製造することはできません。もちろん、純正ケースの製造を請け負っている会社なら、メーカーからその情報は入ってくるでしょうが、その他無蔵の製造会社にはなかなかその情報すら入ってきません。もちろん弊社にもその情報は寸前まで入って来ないのです。

よって、できるだけ信頼のおける金型製造会社と提携し、そこの情報を頼りにスマホケースを製造してもらったり、アリババなどから出品されているケースをいち早く見つけて仕入れるといった作業を繰り返しています。

中国のバイヤーさんから届く新製品情報

生活雑貨はほぼアジア製に変わっている

これは、スマホケースや関連グッズに限ったことではなく、現在ではさまざまな商品が中国製になっています。一番始めはアパレル関係の商品でした。2000年代からどんどん中国製のTシャツなどが増えていき、あっという間にほぼ中国製に変わっていったのは、皆様のご承知の通り。やはり工業製品って、最初は手作業から始まり、徐々に機会化され、どんどん高度化していくのですね。中国の発展をみていると、まさにその動きになっていますし、かつては日本も同様の発展を遂げました。

2000年代の中国製は、「やすかろう、悪かろう」と言われていましたが、どんどん改善され、今では遜色ないというか、個人的には日本よりも高度になっていると感じています。これはアパレル製品から、ちょっとした小物、プラスチック製品から家電製品までほぼ中国製で溢れかえっています。

また、中国の会社はものすごくタフなので、皆さんがECサイトから購入する商品は、日本の会社からではなく、中国の会社から直接送ってくるといった状態の商品も増えています。特にamazonで販売されている商品はその傾向が強く、発送日数がかかってしまう商品は、ほぼ中国で製造販売されている商品であり、中国から直接日本に発送される商品だと思ってください。

私など、日本でECサイトを運営し、消費税や税金も収めているので、amazonに出店している中国の会社の税金などはどうなっているだろうと考えてしまいます。やはり日本で商売するのであれば、他社と同様に納税してほしいと個人的には考えています。

100円ショップ

とにかく100円ショップから、ちょっとしたショップ、ECサイトで販売される商品などはほとんどが中国製、タイ製、ベトナム製などアジア諸国が産地に変わってしまいました。

なぜ、このような状態になったのかといえば、日本での製造では利益が取れないからです。どうしても人件費、地価など製造原価が高いため、必然的にアジア諸国に製造拠点が移っていきました。もとは半導体も日本の専売特許だったのに、今では中国、韓国、台湾に追い抜かれています。これは歴史の流れとしてどうしても起こってしまう事だと認識しています。

コロナ禍でサプライチェーンが崩壊

ところが、2020年3月に異変が起こりました。中国の武漢でコロナウイルスが確認され、1ヶ月ほどロックダウンしたのです。これにより、弊社も4〜5月は、在庫を切らしてしまうといった自体が発生しました。また、中国国内では、しばらく工場に人が戻って来ないため製造ができないといった状況にもなりました。そして、徐々に世界は変わっていきます。暗黒の2年間の始まりでした。

コロナ禍の風景

皆様のご経験通り、コロナ禍によってさまざまな事柄が変わっていきました。世界はフラットだと言われ、グローバル社会まっしぐらだった感覚は、「いや、フラットだと思ったけど凸凹だった」と様変わり。あらゆる製品が鎖のようにつながっている会社と会社のシステムによって成り立っている。創造すれば分かることですが、やはり現実に、身近にその事柄を感じた出来事です。

そしてこの2年でますますサプライチェーンはおかしくなりました。また、ウクライナ戦争に端を発した、地政学的リスクを感じる企業が、徐々に中国から手を引き始めたのです。弊社も今年に入って、金型の製造拠点を中国からベトナムへ移動しました。弊社ごときでもそのように考えるのですから、大企業になればなおさらのことだと思います。

2022年6月現在、サプライチェーンの混乱によって物が入らないといった現象が増えています。一番は中国の上海のロックダウンの影響ですが、やはりウクライナ問題やそれ以前のコロナ禍による操業の遅延などが、影響していることは否めません。これはしばらく続くと覚悟しているこの頃です。

脱中国は加速するのか?

私の個人的な考えでは、ますます脱中国は進むが、脱中国をしたくてもできない分野が多いので、遅々として進まないといった状態になると思います。前述したように、経済発展は、手工業から工業化、高度化へと進む過程で時間が必要なのです。中国も20年以上かけてここまでの高度化を達成しました。中国は地政学リスクがあるから他の国で製造しようと思っても技術的にできないことも多い。そのようなジレンマを抱えながら進んでいかなければいけません。かのアップルでさえ、iPhoneの製造を中国からインドへ移したくても、徐々にしか移行できないのが現状です。やはり5〜10年といった時間をかけながらゆっくりと脱中国が進むのだと思います。

その反面、今年に入って急激な円安に見舞われている日本をみると、「もしかすると昭和の時代に戻るのでは?」といったことも考えています。望む望まずもあるでしょうが、今のところは円安から逃れる術があまりません。その円安を逆手にとったビジネスを考える必要性を感じます。

脱中国とともに、再び日本が製造大国になる日が来るかも知れません。中国と日々情報交換をしている弊社は、そんなことも考えながら中国から仕入れたスマホケースに、オリジナルデザインをプリントしお届けしているこの頃です。


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