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点と点をつないで~BUCK-TICK妄想深読み

BUCK-TICKのギタリスト・今井寿氏(以下、今井さん)の暗号みたいな不思議な歌詞やまっすぐな言葉は、心を撃ち抜き、目を開かせて、思いがけない景色を見せる。
ばらばらだった情報が、今井さんの使う言葉(単語)をきっかけにパズルみたいにかちりとはまって、そうだったんだ!って勝手に納得する。
今井さんの言葉は、ふいに点と点をつなげる魔法の呪文みたいだと思う。

たとえば或いはアナーキー収録のこの3曲。
「ONCE UPON A TIME」、「NOT FOUND」、「Devil’N Angel」

天使の家へ帰りたいよ なんて無茶を言う
***
Baby, don't you cry
Welcome to the real world

Devil’N Angel(作詞・作曲:今井寿)
※太字は引用者による。以下同じ。

存在してない
そう 最初からいない

NOT FOUND

世界中がまるで 約束したように愛し合う
未来の神話が 流れる時間(とき)を超えて始まる

ONCE UPON A TIME

以下、太字の単語がつながって思ったこと。
このアルバムのツアーであるオサカナさんと運命的な出会いをして「絶対地上で会おうって約束してきたよね!」「目印はあの黒い5人組(BUCK-TICK)って決めてきたよね!」と盛り上がったのも懐かしい思い出。

***

生まれる前の約束とか、生まれる前に楽しみにしてたこととか。
生まれ落ちる瞬間に全部忘れちゃうから、不安で「自分探し」なんてもんにはまったり、誰かに言われた”使命”や”役割”を果たすことで欠乏感を埋めようしたり、自分じゃない何者かになろうと頑張ってみたりする。
なのに、頑張るほどうまくいかなくて、焦って、落ち込んで、じたばたしてはドツボにはまる。

そのうえ、肉体を伴った”現実世界”って、結構過酷で刺激が強いし重いから、時々生まれる前にいた天使の家に帰りたくなる。
だけど、それもひっくるめて全部計画どおりなんだよね。

壮大な時の流れの中で、ひとりひとりの命のきらめきが、世界中のあちこちで巡り合って、ちいさな物語がうまれる。時を越えて繋がって、未来の神話が紡がれていく。わたしたちは、壮大な神話の一部。

人生が生まれる前の約束を果たす旅ならば、その道中で起きるのはすべて体験したくてたまらなかったこと。
思い出そうが、忘れたままだろうが、どっちだっていいではないか。
どうせ探さなくちゃならないものなんて、最初からないんだもの。
記憶の奥底に、DNAに刻まれているんだもの。

根拠なく湧き上がる自信や確信。
理由もなく惹かれるもの。
不意にこみ上げる涙。
考える前に勝手に動く体。
そんな内側から湧き上がる衝動が、旅の道標。

外側ばかり探しても見つからない。
誰かが在り処を教えてくれたりもしない。

生まれて、生きて、経験すること全部計画どおり。
ならば、湧き上がるものを信じて、進んで、楽しんだ者勝ちだ。

***

ヘッダーの写真はタロットの「The Hanged Man」
楽しそうにぶら下がって、周りの人たちとは違う視点で世界を見ている姿が今井さんみたいだ。

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