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[No.3]20年、フリーライターやってます~フリーライターとなるまで~その2~試練の初オファー

ペーパードライバーの私が何を血迷ったか車雑誌に飛び込み営業に行き、撃沈。

その後、相も変わらず子育てに奮闘する専業主婦暮らしを続ける私のもとに、編集部から一本の電話がかかってきました。

「ちょっとお願いしたい企画があるんだけど」

売り込みに行ったときに同席していた編集者の声でした。

その企画とは……。

自分の車で鈴鹿サーキットまで行き、サーキットをぐるぐる走って、その体験談を書くというもの。いわば素人耐久レース突撃ルポ。「車、ダメになってしまうかもしれないけど……」ってそんなー。

私は子どもの通院や送迎で仕方なく運転を始めたものの、車が怖くて仕方がありません。こんな私がそんなレポート、できるはずがない!!

何か困難な課題が与えられたときは、即座に「はい!やります!」と答えなさい、やり方は後から考えればいい。

だれが言ったか、カッコよくて好きなセリフなのですが、そのとき即座に出てきた言葉は、「む、無理です」でした。

以来、その編集部からは一度も連絡はありません。

あのとき、無理にでも「やります!」と返事をしていたら、人生は変わっていたのでしょうか。
 
その後、ここまで極端ではないですが、ちょっと今の私の能力では無理かも、と思うような仕事の依頼が来たことは何度かあります。でも、腹を決めて引き受けてみると、なんとかできてしまうものです。

そうやって「半年前の私だったらこんなことできなかったよな」と思うような仕事を一つひとつ積み重ねてきました。単行本の編集も、講師の仕事も、自分がやれるとは想像だにしていませんでしたが、今は普通にこなしている自分に驚きます。

仕事が自分を育ててくれたのです。

そう考えると、どんな仕事でも断らずやってみるというのは正しい選択だと思います。

でも、あの素人耐久レースは、今考えても無理だったかな……。
 
あとから思えば、私はあの編集者に試されたのかもしれません。「このおばちゃん、どのくらい本気なのか」と。

「働きたいです、私何でもやります!」「専業主婦だってやる気もあるし、能力もあります!」と言う主婦はたくさんいます。自分が仕事をするようになってからも、そういう人に何人か会いました。

何かその人の自立のきっかけになればと、仕事をお願いしたこともあります。でも、「子どもが熱を出して……」「自分の能力ではやっぱり無理でした」などなどの理由で、土壇場になって投げ出す人も多く、私はだんだん慎重になりました(もちろんちゃんとやり遂げる人もたくさんいますよ!)。

それを考えると、試されてもまあ仕方がなかったかな。

さて、車雑誌での売り込みに敗れた私が、次に売り込みに訪れたのは、あるファッション誌の編集部でした。

(2015年01月09日「いしぷろ日記」より転載)

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