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顔タイプ診断で本当の望みに気づけた

顔タイプ診断を受けた。

顔タイプ診断と言ってもプロと対面の大層なものではなく、スマホアプリで写真を取るだけで、あっという間にAIが解析しますよ、というもの。

「AI解析中」の文字を眺めているあいだ、あなたはクールビューティ!ハンサムな顔でモードな着こなしが得意です。とか出るんだろうとおもった。

男顔だと思いこむ理由はたくさんあった。角張ったエラとか、むかし叔母にもらったフリル付きの花柄ワンピースが、可哀想なくらい似合わなかったこととか、アルバイトしていた居酒屋で、年寄りの客に「おめぇ、男か?」とろれつの回らない口で吐かれたこととか。真っ赤な顔をして目が胡乱だった。アルバイトは数日後にやめた。

スマホの画面が変わった。結果は「エレガント」ー女性的な曲線のある、大人っぽい顔立ち。

驚いた。同時に、このAI診断結果を支持するたくさんの証拠に思いを巡らせて急速に納得していった。たしかに、親には丸顔丸顔と呪文のように何度も唱えられるし、無地のベージュTシャツで撮った写真はなんだか野暮ったいし、しまむらの花柄ブラウスがすごく褒められた。

たかだかスマホの診断なのになぜかとても嬉しかった。

エレガントタイプは、大きな柄にはっきりとしたカラーの、フェミニンなスタイルが大得意。そんなものは似合わないと諦めていたのに、急にそれを身にまとう権利を得たような気持ちだ。

かくして早速、タカシマヤで「お嬢様スカート」を買い付けた。

思えば今までお嬢様系のスタイルなんて、そんなもの着てどこへ行くんだ、とひがんでいた。本当は羨ましいのに、手に入らないから蔑んで、欲しいと思わないようにする。無意識なのが恐ろしい。

よくよく心の声をきかないとわからない。己が欲望は。本当に小さな囁きも聞き逃さないようにしないと。でなければ自分で幸せを隠したことにも気づかないで、一生欲しくもないものを追っかけて、死んじゃう。


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