紙を2枚食べて無重力になった話
僕がTwitterで書いた文章を転載します
この記事は合法のLSDを摂取した時の話です
違法行為ではありませんが推奨できません本記事はハームリダクション目的の創作としてお楽しみください
「面白いなこれ」
合法の紙を舌下に投入して飲み込んでから2時間少し経った頃
日常の枠が崩壊していた。
部屋のあらゆるものが形を失って、溶けたり膨張や収縮を繰り返し形を変えている。自分がどんな姿だったのか忘れているようだ。
水風船が割れて中から液体があふれ出しているかのように、輪郭を失った部屋のモノたちが溶け出して混ざり合おうとしている。
その動きは生きている水彩画のようにゆっくりと色や形が混ざり合い流動的で柔らかく変容していくものだった。
視界の隅には平然と今の心情を表した少女漫画のようなキラキラとしたエフェクトや
ゲームのアイコンが浮かぶようになっているし、壁や天井は、まるで息をしているかのように波打ち、部屋全体が生命体として脈動しているように感じた
「キショいな」
自分は虫や植物が嫌いなので、幻覚で脈打ったり生命を感じるものを見ると気持ち悪さを感じてしまう。
しばらく部屋を見回してから、ちょっとトイレに行こうかなとベッドから立ち上がって一歩。
浮遊感を感じた
「あれ浮かんでる」重力が消えている。
「浮いてる・すげえ・・」
足を踏み出すと、いつもの一歩とは異なり、前進することなく、宙に浮かび上がっていた。身体の動きが遅く、まるで水中を移動しているかのような抵抗を感じた。
触覚も平衡感覚も視覚も当てにならない幻覚の世界で歩くということは無重力空間で行動することに近しいのか、と効き目で雑に解釈してから、なんとか移動するために自室内で宇宙遊泳を試みる。
今は部屋全体がインターステラーのあの四次元空間みたいになっている。掌を壁につけると、その反動だけで自身がゆっくりと後ろに浮かんでいった。
壁や家具の角に手をかけ、推進力を得るように部屋の中を移動した。ドアに近づくにつれ、部屋の上部には見慣れない影や微細な光の粒子が舞っており、天の川が広がっているようで綺麗だった。
部屋を出るとトイレへの廊下は宇宙船の中みたいになっていて、それを壁伝いにトイレに入る。トイレに着くとそこはゲームのセーブポイントみたいにセーフゾーンとして安心できる空間に思えた。
少しトイレにいくつもりが無重力下での大冒険になっていたが、帰りもあの大冒険をするのかと考えると怖くなって、それから少しだけトイレに引きこもった。
帰りは心を落ち着けると月面を歩くようにして少しだけ浮かびながらゆっくりと帰ることができた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?