見出し画像

鬱病になって未遂してシャブ中になった part.2

私は、家に一冊も本が無い家庭で育った。
家族や親族には、教養を持った者は一人もおらず、だからもちろん大学を卒業した者もいない。
彼らは高校か中学卒だったかが、叩き上げの実力で生計を立てていた。
そのため家は貧しくはなかったが、家族全員がタバコを吸い、病院に連れて行ってくれる知能もなく喘息に悩まされる日々。
咳が酷くなると、頭が悪い家族からの理解を得られず、うるさいと殴られる。

勉強の方法や進むべき方向を教わることはなかった。
そのため、中学校までの成績は、下から数えたほうが早いような状態。
中学を卒業し地元企業で役員を務める親族のコネを頼りに私立の高校に入学した。
そして、2年生からは特進クラスに配属され、本格的に勉強に取り組むようになった。
すると、あっさりと学内一桁の成績を収めることができた。
そこで初めて勉強を覚えた。

子供のころから、祖母や先生方は常に私に「やればできる」と言い続けていた。
その言葉の意味を真に理解していないまま、私は何も挑戦することなく日々を過ごしていた。
でもこの経験でそれを理解した。
もう少しできるだろうと思い指定校推薦の枠を勝ち取った。
家族に無断で大学への進学を決意。
高校時代の授業料はほぼ無料だったが、親は大学費用を出すのを渋り、奨学金を借りて学費を賄うこととなった。そして大学に入って調子に乗って首が回らなくなり、首を括ろうとした。

奨学金から引き出した授業料を手元に持ち、一週間分のホテルの予約を取って未遂をした。

逝けると思っていたが、前夜に開けたシャブリのワインクーラーをうっかり倒してしまっていた。
それが雨漏りして救助された。

意識が朦朧とする中で救助してくれたホテルマンと夢の話をした。
彼がオーストリアでの留学経験について熱く語ってくれたのを聞きながら、自分も同じような経験をしてみたいと、心の中で思ったように記憶している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?