見出し画像

【彼と彼女のものがたり】side O

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《軋轢》〜side O〜

仮面や鎧は

自分を守る為のものであり、

絶対に必要不可欠なものだ、と

思っていた。


「本音と建前」があるのは
当然で、
大人とはそういうものだ、と
決めつけていたんじゃないだろうか?


鎧や仮面も

いずれは
表面が錆びたり、
穴が空いたり、
傷もつく。

それでも、また
スキマを埋めて、修復しながら
自分を守る。


いくつもの仮面を持つことが
幅を広げることなんだろう。。



そんな風に思ってきた。



颯太との関わりの中で

(果たして、
本当に
そうなんだろうか。。??)

と薫は疑問を
抱くようになってきていた。



これまでの自分にとっての
「当たり前」を疑ってみることは
かなり勇気がいった。


職場での〇〇であるべき
家族の中での〇〇であるべき
友人関係での〇〇であるべき
etc...


なんで、
そう思っていたんだろうか、、、?

「自分が」そうしたいと
思っていたんだろうか、、、?



シラミつぶしの如く
ひとつひとつと
向き合っていくことで
何かしら見つかるような気がしていた。



自分を守る為だと思っていたものを
取り払うのは

それを身に付けた分と
同等の時間がかかるように感じて
気が遠くなった。







職場のスタッフやお客様との軋轢や摩擦は

かなりダメージがあったが、

避けて通るのはちがう、と
薫は考えていた。


本当に自分がそうしたいと
思っていたかどうかは
別としても。



そうやってきたのは

まぎれもなく「私自身」なのだ。




(職場自体
変えた方が
いいのかもしれない、、)

(美容師自体
辞める選択もある、、)


丸投げするのは容易いが。


だからこそ、
自分の土台でもあるこの場所で
「本来の自分」を出していく必要がある
と思っていたのだ。



これまで自分が演じてきた
代償は
大きかった。


「膿」
だと薫は思っていた。


(辞めるにしても。
逆算すれば
一年はかかる。。

それならば、

多少のリスクはあるけど
ここで自分を変えればいい。。)




(膿出しだな。)



薫は会社に
自分の方向転換を申し出た。





サロンワークでも
アロマの話を
自分からするようになって
2カ月程経っていた。


(スクールで知識は入ってきても
実践は現場でやるしかない)

そう簡単に
理解してもらえないことは
承知の上だ。



薫は
「練習みたいなもの」だ、と
思っていた。


自分がやりたいことを
公開プレゼンし続けるような
日々を過ごしていた。


次第に、
周囲に向けて
アファメーションしているような
感覚になっていった。





「おつかれさま。
ごはん、どう?」

アロマ資格試験の翌日
颯太から連絡があった。



「元気そうで良かったよ。
もっと死んでるかなぁって
思ってたけど。」

「ああいう
緊張感も悪くないかもって。
惰性にいたら
気付けなかったなぁ。。。」


「やることやったら、
あとは待てばいいよ。
とりあえず、
食べよ?」

「、、、なんか
お父さんみたい、、 笑」

「立派なおっさんですからねー」

(颯太は不思議だ。
父親みたいな時もあれば
弟みたいになる時もある。。)


薫は
やっとひと段落だ、、、

颯太の顔を見て安堵していた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?