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【彼と彼女のものがたり】side Y

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《軋轢》〜side Y〜

「惰性にいたら
気付けなかったなぁ。。」



子供みたいにくるくる変化する

愛らしい表情で

自分の話をする薫に

図星をつかれた気がしていた。



(俺は
惰性で生きてきたのかもしれない)



(好きなものに対しては
異様なまでの集中力があるわりに、

その他は
まるっきりダメ人間だ。。。)



「それなりに」
やってはきたつもりだった。


でも、

今の俺のままで

本当に

誰かを幸せになど

できる自信は……

…なかった。







「いやぁさぁ。。

やっと決着しそうでねぇ。。

正直ホッとしてる。」


「親権は俺だけどね」




マサやんとは
アマチュア時代からの付き合いだ。

お互いケツの青い時からの
紆余曲折を知っている仲間の一人だった。


昔からのファンとのデキ婚で
側からすれば
「幸せな家庭」に見えていた。



噂話で
、、、どうやらそうでもない、と
知ったのは4、5年前のことだ。


良くも悪くも、
こういう話題は
本人の意図とは全く違う形で広まるのは
どの業界でも同じかもしれない。


俺が干渉するのも、
されるのも避ける理由だ。


久しぶりに現場で一緒になったマサやんは
やつれていた。

「長かったみたいだな。。
でも、まぁいい方向に向かってるなら
何よりだよ」

ポンっと背中を叩いてやるしかなかった。





50年も生きていれば、
何かしら抱えているのが当たり前だ。

後、何年生きられるかは
誰にもわからない。


(どう生きたいか、しかないなぁ)


そのまんま惰性でいくのか。。
それともシフトしていくのか。。。



80年ある、として。

流れに任せるのも
決して悪くはないだろう。


けれど。


本当に好きな人と
本当に好きなことをして
生きていくのもアリだ。


薫を見ていると、

「そんな選択もあるんじゃない??」

と言われているような感覚を覚えるのだ。



いわゆる【成功者】だという
自負もありながら

それを全て手放すことは
自分にできるのだろうか、、、??


手放したところで、
また
孤立してしまうのではないか、、??

そんな恐さも過ぎる。


(自信があるようで、
ほんとは自信なんか
ないんだ)

(気付かぬうちに
フリが上手くなっただけなんだ)


軋轢は
自分と他者にあるんじゃない。。


自分の中と外に

それがあることを

颯太は感じはじめていた。

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