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シュトレンのシーズンになりました。

こどもの時分はスパイシーでモソッとしたシュトレンが苦手でした。保存の効くお菓子が生菓子より貴重だとは思えず、味がわかりやすく、その日に食べなければならない生菓子ばかりを愛でていました。

イメージを覆されたのは故・安藤明マイスター(ユーハイム)のお手製を食べてから。イースト生地なのに口溶けが良くて、スパイスとフルーツが甘く彩っていました。焼き上がったシュトレンを、たっぷりと溶かしたバターにドボンと浸けて「バターにどぶ漬けね、ほんと贅沢やね」と言われ、ああそうか、冷蔵庫がなく、バターもスパイスも砂糖もフルーツもアーモンドも貴重だった時代に、それらを大量に使うシュトレンがいかに貴重で贅沢なお菓子だったのかと理解したのです。

ヨーロッパのお菓子にはキリスト教会との関係が深いものがありますが、シュトレンもその一つ。クリスマスを待つアドヴェントの4週間のあいだに、少しずつスライスして食べるそうです。シュトーレン、と書かれることもあるけれど、ドイツ菓子の本を編んだ時には発音としてはシュトレンが正確だと教わりました。

シュトレンがおいしいと思うようになりました。舌も大人になったのだと思います。さて、今年はどのお店でシュトレンを買いましょうか。

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