ツバメのために
戻りながら作った6月のプレイリスト。ガールズバンド特集、72曲4時間半超。
ガールズロック愛好者の嫁氏がおすすめしてくれた55枚からチョイス&プラスα。MVやライブ音源多め。
いつものようにこちらに曲目詳細あり〼
AnemoniaAnemoni presents “ツバメのために” issue (Jun 16 2024) YouTube Ver.
こちらは音源からコンパイルしたもののみ。YouTube Ver.と聴き比べてみるのもいいかもしれない。長いリストなのでシャッフルでもぜんぜんよきです。
AnemoniaAnemoni presents “ツバメのために” issue (Jun 16 2024) Spotify Ver.
【いくつかの補助線】
フラジャイル
イルネス
東京
椎名林檎とチャットモンチーのあいだ
クラムボンと相対性理論のあいだ
少年ナイフとおとぼけビ~バ~のあいだ
ミドリとSu凸ko D凹koiのあいだ
「けいおん!」と「ぼっち・ざ・ろっく!」のあいだ
「化物語」と「Angel Beats!」のあいだ
+ + +
リストの冒頭曲は結束バンド「転がる岩、君に朝が降る」。
アジカンのカバー。
まず断言しておく。「結束バンド」というバンドは存在しない。
『ぼっち・ざ・ろっく!』というアニメのなかで、仮想の女の子たちが組んでいるバンドだ。
仮想な存在なんだから、彼女たちが演奏しているわけじゃない。
どっかのおっさんたちが、ギターやベースを弾き、太鼓を叩いている。
アジカンの曲を、おっさんバンドが演奏して、声優を生業としている女性たちが、「出来れば世界を僕は塗り変えたい」と歌っている。「僕は」という一人称で歌っている。
+ + +
ガールズバンドとはなんなのだろうか。
今回のプレイリストは、厳密にはガールズバンドと言えなさそうなバンド、そもそもバンドですらないユニット(?)もある。Pが男性のアルバムはもっと多い。
そもそも音楽業界/ロック業界は、男性たちがどうしても権力を持ちがちで(ベテランバンドマンやシンガーとしてだけではない。ロックレーベル代表やプロデューサー、オーガナイザー、ハコやスタジオのオーナーとして)、ロックの定義すらも彼らが独占している(ように見える)。このなかで、彼女たちのスピリッツとフラジャイルネスがどう立ち現れているのか。
+ + +
男性のロックが常に権威主義的で抑圧的だとか、そんな話をしたいわけでもない。社会学やらフェミニズムの視点やらでガールズロックを批判的に解釈しなおしたいと思ってるわけじゃない。
でもごく単純に、ロックレーベルの代表は男性ばかりだ。大きいところも小さいところも全部そうだ。女性が代表の邦ロック系レーベルを、オレは知らない。たまたまなんだろうか。[P-Vine]、[Lastrum]、[Bayon Production]、[kakubarhythm]、[Magniph]、[Rallye]。名前をよく見かけるインディレーベルはみな代表は男性だ。
ガールズバンドのライブとなると、ハコに集まるのは男性が多い。気持ちはわからなくはない。が、嫁氏はライブで何回も痴漢に遭っている。数人の女子で行って固まって楽しんでいてもそんな目に遭う。ライブのあと、憤慨しながらビールを抱えて帰ってきたりする。硬質ゴム製のメリケンサックを購入してたのも知っている(さすがに使ってはないだろうけども)。
音楽と直接関係ないなんて言われるかもしれないが、そういう場で彼女たちは歌っている。おっさんたちに囲まれて、たまにはなんだか違うと感じる曲も書かないといけないことがあったりするんだろうかとか、解散やメンバー脱退のニュースを読むと少し思ったりする。
+ + +
ああ、この息苦しさ。
どこにも存在していない「結束バンド」のアルバムを聴きながらここ数日仕事をしていた。
いつもの「生きる杖」というやつだ。
「転がる岩、君に朝が降る」は何度も繰り返し聴いていた。
もう一度確認のために書いておく。
アジカンの曲を、おっさんバンドが演奏して、声優を生業としている女性たちが、「出来れば世界を僕は塗り変えたい」と歌っている。「僕は」という一人称で歌っている。
こんな「まがいもの」に心を支えられてしまうということ。
いや、たぶん、
「まがいもの」であるから支えることが出来るということ。
どこに行ったところで「ここ」でしかないここで、明らかにニセモノのガールズロックを聴き、それをロックだと恥ずかしげもなく提示すること(でも、じゃあ「ほんとのガールズロック」なんてどこにあるんだ。誰か教えてくれ)。そして、ここまで書いた独り言の、どうしようもない気色悪さ、いかがわしさ。
+ + +
だけど、
これはロックの唯一の根だ。確実なことだ。いっさいの前提なく、間違いないことだ。この根を、真顔で真剣に歌うこと、歌い願うこと。
ガールズロックを聴きながらただひとつ間違いないであろうと感じること。それは、彼女たちは、いつも、ときには誰よりも強く、そのへんのおっさんたちよりも強く、願っているだろうということだ。
+ + +
タイトルの「ツバメさん」は嫁氏の友人。
高校生のころから、社会人になっても、やっぱりアマバンでベースを弾いていた。たまにライブで歌ってたけれど、ベースはクソうまいのに歌はへたくそだった。オレも含めてみんなでよく飲んで騒いで遊んだ。「あんちゃん、あんちゃん」とよく懐いてくれた女子だった。オレだけよく怒られた。「ポミ(嫁さんのあだ名)を泣かすな」と何回か頭をはたかれた。
彼女が亡くなってもう10年。
入れ替わりのようにこちらへやってきた娘姫は、毎日元気にやってる。
娘も、数年後にはバンドを組んだりしてそうな気がする。
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