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相続しようとしたら知らないままでは終わらなかった話②

父が再婚だったらしいと知った翌日。

1週間の忌引休暇の間にやれることはやってしまおう。まずは銀行だ。窓口の人が丁寧に説明してくれ、戸籍謄本は生まれた時までさかのぼれと言う。すでに年金停止用に取った戸籍謄本を見せると「〇〇市より転籍」とあり、これではだめだと言う。その町は行かれない距離ではないけど面倒だな、と思ったその時だ。

「ごくまれになんですけどね。本当にめったにはないんですけど、ご家族も知らなかった相続人がいたりすることもあるので。」

その瞬間に背筋が冷たくなるのがわかった。話もそこそこに銀行を出て、歩きながら「相続 離婚 前妻」と検索する。「前妻に相続権はありません」と出てほっとしたのも一瞬で、すぐ次の文章に目が止まった。

「離婚していても子供には相続権があります」

昨日は足立さんから父は再婚と聞いたが、子供がいたとは言ってなかった。母の友人もそんなことは言ってなかった。でも。もしかしたら、もしかしたら、子供がいたりして。

こうなると確認せずにはいられない。役所が閉まるまでに行けるだろうか。とりあえず電車に飛び乗ってからルート検索をした。銀行ではあんなに面倒だと思ったのに、いてもたってもいられなくなった時の行動力たるや自分でも驚く。

じりじりしながら、ネットで調べまくる。どのページを見ても書いてある事は同じだったし、何ならトラブル事例の紹介ばかりが目についた。

実家にいた時の父の様子を必死に思い出す。離婚した前の奥さんとの間に子供がいたら、養育費を払っていたり、休日は会いに行っていたはずだ。そんなそぶりはみじんもなかった。

そうだよ。そもそも再婚すら怪しく思えてくる。子供どころか籍も入れてなかったかもしれない。

甘かった。

#相続
#家族

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