見出し画像

夏の読書記録『はりきりダレル』(いもうと)

あねへ。


連日、日本列島猛暑が続いているね。
札幌は一昨日からぐっと涼しくなりました。また上がるらしいけど。それにしても北海道も随分と暑くなった。私たちが子どもの頃は、真夏日なんて数日しかなかったもの。ない年すらあったよね?

今年は一斉休校の影響で、夏休みも短めと聞きました。
それでもやはり青少年読書感想文コンクールはあるのだなと、図書館のポスターで知りました。
小学生のときは、読書感想文は全くの自由課題で、提出するのはクラスでほぼ私だけだった。中学生高校生のときは、いくつかの作文コンクールから選んで1つ書けばよくて、同級生たちは「枚数の少ないもの」「参加賞のあるもの」を優先的に選んでいたな。


子どもを読書嫌いにさせる筆頭のように言われる「読書感想文」、確かに原稿用紙3枚から5枚書き上げて完成させるのはたいへんなことだと思う。作文を書く大人のためのマニュアル本がたくさんあるほどなのに、子どもにはい、書いてごらん、って何の指導もなく言われても、書けないものなのではないだろうか。
作文の得意でない子どもにだって、何かしら抱えている感想や思いはきっとあって、それを形にするのに慣れていなかったり、表現する言葉をまだ持っていないのかもしれない。

そして自分で本を選んで書きたいというときには、「この(こんな)本で書くの?」なんて言葉はかけないで欲しい。子どもにも、本にも。「対象年齢」なんてどうでもいい。その本は、原稿用紙に文字を書きつけさせるほどの感情を起こさせたんだ。本が生まれてきて、そんなに嬉しいことってあるだろうか?本にとって「おもしろかった」「好き」以上の賛辞なんて、きっとない。

好きな本に出会えること、それについて語るのは楽しいことだと、もし読書感想文がそんな体験になれたら、こんなに嬉しいことはない。「好きなもの」があるのは、嬉しい。それだけでいい。好きな本のない子は、きっと自主的に本屋の扉を開かない。漫画もいいし、好きなアイドルの載った雑誌もいい。新刊を探しに行った本屋で、ちょっと気になる本が見つかったら、とても素敵なことだと思う。「好きなもの」はきっといつか、新しい「好きなもの」に繋げてくれる。


さて今年の夏、札幌市の図書館には感謝しかない。

画像1

ばばーん。読むことのできないままだった『はりきりダレル』シリーズを、ついに読みました。

寄宿学校「マロリータワーズ学園」に通うことになった少女ダレルの日々と成長を、1学年を1冊ずつ、6年生で卒業するまでを描いたシリーズ。制服がかわいい。田村セツコの絵は本当にかわいい。


ダレルは明るくて努力家、正義感が強くて、「かんしゃくもち」の少女。直したいとは思っているけれど、たまらず癇癪を起こして同級生をばちーん!と叩いたり、嫌がらせ首謀者の誤解を受けたり、クラスをうまくまとめられず、級長を降りたりもする。それでもダレルはいつでも素直な少女で、自分が悪いと思えばすぐに向き合って直接謝罪をすることができる、真っ直ぐな女の子。自らの行動に向き合い、過ちがあれば認められる、健やかな強さは、ダレルの最大の美点。
彼女と共に成長する、周囲の少女たちの物語もまた豊かだ。並外れた賢さを持ちながらそれ故に他者を見下しがちだったアリシア、突然できた妹に戸惑い本来の優しさを見失うサリー、才能を持ちながらそれを磨く努力を嫌ったジューン、グウェンダリンはギリギリまで自分の行動に責任をとること、誰かの気持ちを慮ることを学ばないし、キャスリーンは、自分の行動が「親切の押し売り」に過ぎないということに気づけたのかどうか。愛情のかけ方を間違ったままの父親を持ち、大事件を起こしてしまうジョーは今後どうしていくのだろう……。それぞれに、それぞれの課題と問題と向き合いながら、それぞれの成長がある。

またダレルの両親は彼女がつまづいてもそれを咎めずに優しく見守る人たちだけれど、娘をベタベタの愛情で甘やかし、全て嘘で塗り固めた「優秀な私」の話を丸ごと信じてしまう、つまり本当の彼女を見ようとしないグウェンダリンの母親、「面白ければ何をしてもいいのだ」と娘に規範も礼儀も教えなかったジョーの父親をみていると、「親」についても考えずにはいられない。


院長先生が繰り返し言うのは、「あなたが学園のために何ができるか」。今はピンとこないかもしれないな……所属する団体、家や学校、国の名誉を守る、誇りを高めるために自分はどうするか、という考え方。部活で全国大会に出るのも、個人で模試のいい成績を取るのも、仲間や自分のためではあるけれど、それ以上の大きな組織についてはあまり想像することがない、気がする。私だけ?みんな考えていたのだろうか?でも何を目的にしようとも、そのために重ねた努力が全部自分の力になることは、間違いない。そして、誰かのために、という思いは時として自分自身が持つ以上の力を発揮するということも。
泣いたり怒ったり意地悪したり仲間外れをしたり、仲直りしたり歩み寄ったりして、いつの間にか大人になっていく、あっという間の6年間。ダレルはさらに自分には何ができるかを知るために、大学に進学するのです。


面白かった。しかしマロリータワーズ学園もクレア学院(同作家の作品『おちゃめなふたご』の学校)も先生にいたずらを仕掛け過ぎ!あとクレア学院に比べて「真夜中のパーティー」をしないのね、ダレルたち。真夜中のパーティーへの憧れについてはぜひまた書きます。

長くなっちゃったので、次回は「大どろぼうとおばけのカレーライス」をお届けします。


追伸。
男の子はなぜ電車が好きなのだろう。おとうとも好きだったね。
私、新幹線の知識が全くないので「こまち」を画像検索してみました。
ふふふふふ。
確かに顔が赤いのね。真正面から見たら、すごく、赤!
丁寧に顔を赤く塗った方も、おそらく印象通りにグリグリと色を載せた方も、なるほど。かわいい。はーかわいいなあ。
長男の宿題は終わったかな?謙虚に!という父の叱る声、私もずいぶん聞きました。

画像2


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?