見出し画像

ガチスパ問題(ガチスパ、ライトスパー・ラフスパー)(全文無料)

今日も今日とて柔術が楽しい。日常で汗をかくのはべたべたして嫌いですが、運動してがっつりと汗をかくのは割と好きです。全身の水分を入れ替えるくらいの気持ちでたっぷり汗かいてしっかりと水分補給をすると体調もメンタルもいい気がします。

定期的にツイッター(X)やスタンドFM等で話題になる「ガチスパ」「ライトスパー」「ラフスパー」について自分なりの考えをまとめてみました。

1.ガチスパ(本気=力いっぱいなのか?)

文字通りガチのスパー。本気のスパーという意味です。個人的には悪いものだとは思いません。というか全部ガチスパでいいと思っています。ただ、ガチスパでも出力の段階があります。

出力高め:試合ぐらいの強度で、力は全力動きも早く極めも強い。勝敗、ポイントにこだわる。練習の強度もケガのリスクも緊張感も高め。一生懸命やる。
出力低め:力は普通に使うが、突発的な動きや危険な動きはややセーブする、ポイントも意識するが技術の試し合いを重視。ケガには気を付ける。もちろん一生懸命やる

試合前の練習や選手は出力高めのガチスパも必要なのかと思います。スタイルや性格、体の強さやケガ等で出力は変わります。常に全力を出すのがガチスパではなく、強くなるために一生懸命スパーするのがガチスパだと思っているので、みんなケガだけ気を付けて一生懸命やりましょう!

ガムシャラのスパー≠ガチスパ

 ガムシャラのスパーはダメではないですが、負けないようにポイントを1ポイントもやらないように常に全力でやるのは新しい技術を身に着ける機会を失います。例えば、ハーフが得意な人がデラヒーバを覚える時、スパーで何回もパスされるでしょう。新しい技を試すときは弱くなるものです。でも負けるのが嫌といってずっとハーフしかやらないとデラヒーバは覚えられません。
 ガムシャラのスパーをしているとずっと自分の得意な形しかやらないのでなかなか成長できず、練習相手も同じ展開ばかりだといい練習になりません。
 普段は60~80%くらいの出力で、技を試したり頭を使ったりするキャパを残して、たまに強度の高いスパーをするのがいいと思います。

2.ライトスパー(ケガや初心者相手や体格差があるとき以外は不要?)

 これが一番難しい。ライトスパーって何なんでしょうか?軽めのスパーという意味だとは思うのですが、めちゃくちゃ難しいです。
 スパーをするメリットとして「相手の本気のリアルなリアクションの中で技を試せる」というのがあるので(というかそれがスパーの一番の目的?)、ちゃんとリアクションを取らない人とスパーしても自分の技術の向上につながらないと思います。ただ、相手の意図を汲み取れて、想像力があって、リアルに近いリアクションをとれる上級者ならば練習になるでしょう。しかし難易度が高いし、それならもう普通にスパーすればいいでしょうってなるわけで。
 あえてライトにやる必要があるのは、キッズや女子、何階級も下の相手ぐらいだと思います。(それすらも必要ないかも)。そのような場合は想像力を駆使して、「同じ体重ならこの技はかかるかな」とリアルに近いリアクションをとると自分の練習にも相手の練習にもなる気がします。またガタイのいい初心者にライトにやる必要はないと思っています。特に体重が重かったり力のある白帯相手に下手にライトスパーをすると逆にケガをしてしまいます。
 関節等に不安のあるマスター世代の方やケガが完治してない方もゆっくり動きを確かめながらやることはあると思います。そのほか、推奨はされませんがスパーの1本目をアップ代わりにライトスパーする人もいるでしょう。ちゃんとアップをして一本目からしっかりとスパーするのがベストですが、仕事で忙しく時間がない人などは仕方ない部分もあると思います。ただ、そのアップ代わりのライトスパーに付き合う相手に感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
 ライトスパーについて、SNSやブログ、ラジオ等で「ライトスパーはしない」と言っている選手の方は結構います。自分が知っているだけでも金古一朗先生、岩崎正寛先生、加古拓渡先生などはおっしゃっていました。
 
 余談ですが、「『ライトスパーでお願いします』という人ほど不意打ちガチスパを仕掛ける人多い説」はよく聞きます笑

3.ラフスパー(相手に悪いだけでなく、自分がうまくならない)

 「ラフスパー」は加古拓渡先生がラジオで話していて、スパーの説明にとても便利な概念なので使わせていただきます。
 ライトスパーしないでみんな一生懸命ガチスパすればいい、というのはここまで書いた通りなのですが、ガチスパとは別にラフスパーというものを定義するとそれは避けた方がいいと思います。

・ラフスパー①荒いスパー


 例えば、ガン極めのアームロックやヒールフック、体重差のある相手に全力の担ぎパス、フェイスロックや肘グリグリ系の痛め技、ガードリテンションでの蹴るような動き、頭や肘がガンガン当たる、飛びつきクローズドなどです。ルール上は反則ではないですが、これらの動きをするラフスパーは避けた方がいいでしょう。
 避けた方がいい理由としては
①相手のケガのリスクが高い
②自分のケガのリスクが高い
←荒い動きで自爆したり、相手もラフな動きを返してくる可能性がある
③練習相手に避けられる→結果的に自分の練習もできなくなる
④荒い動きで精度の高い動きが身につかない恐れがある

などです。

 まれに荒い動きによって試合が有利に運ぶこともあるかもしれませんが、練習でラフスパーをしても自分の成長にはつながらず、自分と相手のケガのリスクが上がるのでメリットがありません。一流選手たちがラフスパーをしていないことから考えても、荒い動きをすることが強さにつながることはあまりないと思います。
 また、ラフスパーをしてくる相手に対してどうするのか、については
①直接本人へ言う、もしくは指導者に伝えて指導者から伝えてもらう
②スパーを断る
③技術で相手を上回ってコントロールする

というのがいいと思います。こっちもラフにやり返すのはケガのリスクが上がるしメリットがありません。選手ならばラフにくる相手をコントロールするのはいい練習になると思います(リスクがあるので非推奨。特に上の階級の相手ならば避けた方がいいかも)

・ラフスパー②力任せのスパー、体格差のある相手(階級下、女子、子ども)とのスパー

 「力を使わないで~」「力を抜いて~」というけど柔術はフィジカルとパワーも大事なので力を使わないことがいいこととは言えないです。ということを前提として。
 それでも力任せだと相手のケガのリスクが上がります。 また、正しい技術や正しいシチュエーションや精度が身につかず、柔術の上達につながらない可能性があります。「同じカテゴリーの相手に通用するか?」と考えて通用しないならその技は力任せで精度が低いと言われてもしょうがないでしょう。有効な組手や崩しやタイミング、力の入れ方を身に着けるために必要以上の力は使わない方が上達につながります。
 逆に上の階級の人とやる時は、自分の身体の強さやテクニックを考慮してやるか考えましょう。いい練習にはなりますが、リスクも高いので断るのもアリです。

4.ラフスパーにならないために

 ガチスパのつもりがラフスパーになってしまうこともあります。そうならないために意識することをまとめます。

ゆっくり動く

 これはALMA FIGHT GYM HOMIES代表の細川顕先生が言ってました。
 「力を抜け」は難しいです。ふにゃふにゃのライトスパーもどきみたいになります。しかし、ゆっくり動くという意識だと突発的な動きによるケガのリスクを減らせるし、丁寧に動くし、本気でやっているのでリアルなリアクションになります。この意識はケガをしないようにガチスパする上でとても有効だと思います。体重差のある相手でもこれを意識するとお互いのケガを防げます。

女子、キッズには男性から声をかけない

 ジムのルールや雰囲気、クラスの人数次第ですが、女子・キッズから声をかけられたならばラフスパーにはなっていないでしょう。自分より軽い相手にはガードを多めの方がケガのリスクを減らせる気がします。軽い相手に体重掛けるとケガしやすいので

スパーリング相手を指導者が指定する

 これもジムによりますが、ケガを防ぐには有効だと思います。

苦手な技や新しい技、反対側の技を試す

 完成度が低い技をトライすることで下帯の相手でも、いい攻防ができることが多く、お互いの練習になります。一方的に得意な技でボコしても強くなりません

5.まとめ

 荒い動きや危険な動きは避け、ケガに気を付けて一生懸命に集中して普通にスパーをしましょう。ライトスパーは基本的に必要ありません。

 基本的にガチスパですが、相手によって出力は変えましょう

・自分よりはるかに強い
 →無理に勝ちにいくとただやられて終わるので成長につながらない。正しいアタックと正しいリアクションを意識して動き、それに対してどう相手が動いてきたか、やられた形を覚えておく。
・自分よりはるかに重い
 →無理に勝ちにいくとただやられて終わる、ケガのリスクが上がる。ディフェンスをしっかりと。タップ早めに。
・自分よりやや強い、同じくらいの強さ
 →出力高めのガチスパで自分の技の完成度を試す。
・自分より弱い
 →苦手な技や新しい技、反対側の技を試す。テクニック重視
・自分よりはるかに軽い(女子・キッズなど)
 →ゆっくり動く。ボトム多めに、テクニック重視

 ながながと書いてしまいましたが、自分が強くなることや自分の練習になることを考えていくと自然とラフスパーは減り適切な出力のガチスパをするようになるのではないでしょうか。同じジムの仲間と一緒に強くなるためにも考えて一生懸命スパーしていきましょう。

2023/8/4 アンディ

追伸 言葉の定義について

 ライトスパーはやらなくていい、という論調で書きましたが、人によっては「出力を抑えたガチスパ」を「ライトスパー」としたり、「ガムシャラで力いっぱいやるスパー」や「ラフスパー」を「ガチスパ」という人もいるのでややこしいですが、今回の記事の中では
ガチスパ=一生懸命やるスパー
ライトスパー=力を抜くスパー
ラフスパー=危険なスパー

と定義させていただきました。

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?