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「ない」から得られる価値を考える|ご当地楽検討プロジェクト体験④

情報をシャワーのように浴びまくり、なんとか企画提案を完成させた前回のオハナシ。


数日後、開いたメールにはこんなメッセージが。

ご当地楽の検討メンバーに選出させていただきましたことを、
ご連絡いたします。

検討メンバーに選出された!

正直、「嬉しい」の反面、ここがスタート地点だ、と言い聞かせる自分。
ここからさらに情報収集し、よりワクワクできるようなご当地文化体験を練り上げていかねば…と身が引き締まる思いでした。

そこからはさらにさまざまな書籍や動画などをチェックし、ついに、視察当日を迎えました。

アイヌ文化に直にふれてみて

今回のプロジェクトメンバーは私男性1名と女性3名(うち1名は企画開発担当者)のチーム。
新千歳空港で初顔合わせとなりました。

初めはドキドキでしたが、レンタカーで界 ポロトに移動する間に、自然と打ち解けていました。
だって、雪がすごいし、途中で鹿の大群が現れたり、とにかく窓の外を見れば話題に事欠かないのでw

まずは建設中の界 ポロトを見学。
客室の意匠など、ゲストの使い心地や、スタッフとして清掃のオペレーションなど、気づいたことをお伝え。

それから向かったのが、すぐ隣にあるウポポイです。
ホールでアイヌ舞踏を見学したり、アイヌ衣装などが展示された博物館でじっくりアイヌ文化に浸りました。

アイヌ文様の施された着物

ちょうど、北海道を訪問していた代表の星野佳路を交えて、界 ポロトのご当地楽について意見交換をしました。

夕食には白老牛のステーキで白老の食を堪能。
その後、宿泊先へ移動して、落ち着いてミーティングの時間を設けることとなりました。

深夜まで続く議論

議論は深夜まで続きました。
さすが、意欲を持って参加しているメンバーです。
今自分が思っている理想の企画案だけでなく、今日吸収した情報から出てきたアイデアをとにかく出し合い、深く考え、練り上げる。

ここ数年、これだけの熱量を持って仕事をしたことはあっただろうか?
と思うくらい、外は雪景色でしたが、その部屋の中は熱気で満ちていました。

その中で、私がどうしても取り入れたかった考えがありました。
それは、ないものから得られるものに目をむけるということ。

アイヌ文化を調べるうちに気づいたことです。
彼らは、文化や歴史の伝承を、文字を使わずに行っているのです。
それは、語りであったり、歌であったり、踊りであったり、刺繍であったり。
さまざまな形で、直接的に文化を伝えていく。
文字というのは世代を超えて伝えることができる便利なものではあるけれど、受け取り方次第では本質とは違うものが伝わってしまう危険がある。

直接的な伝承は、細かいニュアンスまで対面で伝えていくもので、非言語的な情報を含めて伝わっていく。

そんなコミュニケーションによって、長年伝承をしてきたアイヌ文化からインスピレーションを得られたらいいのでは?

そう訴えたのだ。
メンバーはみんな納得してくれた。
何か、抽象的すぎるかな、と思っていたのだけど、メンバーみんなが同じ方法へ歩んでいる感覚がして、とても嬉しかった。

住職さんとの出会い

日が明けた翌日。
天気はとても良く清々しい朝。
青々とした空と道路脇に積み上げられた真っ白な雪が対照的だった。

この日もさまざまな場所へ移動して取材を行った。
途中、何気なく立ち寄った神社で嬉しい出会いがあった。

社務所で対応してくれたおじさまが宮司さんだった。
僕はなんとなくピンときて、アイヌ文化に興味があるということを率直に伝えてみた。
すると、コーヒーでも出すからゆっくり話していきなよ、と応接間に通していただいたのだ。

小さな頃からアイヌの方々と共に暮らしてきた宮司さん。
昨今のアイヌの方々に関する貴重なお話しを聞くことができた。

・伊達家入植の歴史
・数十年前と現在のアイヌの生活の違い
・アイヌの方々が自分たちの文化をどのように感じているか

など、歴史を目の当たりにしてきた宮司さんだからこそみてきたものを包み隠さず伺うことができたのだ。
外から来て、まだアイヌ文化の触りしか知らない僕たちが、リアルなお話しを聞けた。
その事実だけで、メンバーみんなの気持ちがさらに引き締まっていった気がする。


地域の魅力を伝えたいという純粋な思い

現地訪問後、メンバーそれぞれで持ち帰った情報と更なるリサーチを進め、2回ほどテレビ会議を行った。
軸は変わらず、ないものから得られるもの
文字の代わりに発達したさまざまな文化。
同じような体験を感じていただくには、、、
と出てきたのが、「嗅覚」という切り口だった。

普段私たちは、視覚から得る情報が非常に大きい。
その視覚からの情報ではなく、嗅覚にフォーカスしてみたらどうだろう?

今までのご当地楽にない発想だと思う。
でも、これは確実に界 ポロトを楽しめるアクティビティーになる。
と、メンバー全員に確信があった。
企画会議における提案内容は、私個人のものではないので割愛するが、嗅覚を切り口にさまざまな提案を行った。

ここまでが私のご当地楽検討プロジェクトの体験談。
そこまでに、とっても多くの時間を費やし、現地に足を運び、議論しましたた。
でもその全てが「人に地域の魅力を伝えたい」という純粋な思いだった。
だからこそ、全くもって苦しくなかったし、その全ての瞬間が幸せな時間だったと胸を張っていえます。

このようなプロジェクトの機会をいただけたことを感謝するとともに、このFlat & Matureカルチャーがさらに進化していくことを願っています。


なお、プロジェクトメンバーが提案した企画から、最終的に以下のような素敵なご当地楽が誕生しました。
いつか、北海道に訪問して、私も体験してみたいと思っています!


『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。


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