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美味しくなかったら全額返金するおいしさ保証戦略。想定外の展開が…

本日は私の大好物、マーケティングのお話し。

「ひと口食べて満足できなければ全額返金です」
そう、高々と宣言し、自信を持った「おいしさ保証付きカレー」なるものが存在する。
提供しているのは、星野リゾートが運営するスキーゲレンデ「ネコママウンテン」のレストラン。


満足できなければ返金
と聞いて、変な言いがかりで返金が相次ぐのでは?
なんて性悪説よりな考えをしてしまう方も多いのではないだろうか。

返金と売り上げのバランスが大切だ

その問いに模範解答を示してくれる本をたまたま手に取った。
数年前にマーケティングの本を読み漁っていた頃に購入し、本棚に眠っていたのがこちら。

マーケターのバイブル「ハイパワーマーケティング」
マーケティングを学びたい方には、基本から応用までまさに教科書といえる一冊。
今や、かなりのプレミア価格がついていてびっくりした。

その中で主張されていたのが、
リスクなし以上の保証を提供する
という内容だった。

クライアントが購入を決めた際に追加のもの(特典)を提供する。
返金保証も提供するがクライアントが返金を申し出たとしてもその特典は返品不要にする。

返金を申し出たとしても、返品不要にする…
どんな効果が生まれるのだろうか?
と考えてみる。

お客様にとっては、万が一問題があっても、リスクなく商品を購入できるという安心感が生まれるだろう。
どうやらこの安心感によって、売り上げが伸びるという考え方のようだ。
実際、3%の返金の代償として、2-3倍の売り上げに伸びることがあるとのこと。

まさに、おいしさ保証付きカレーにはそのような安心感による売り上げ向上の効果があったのではないだろうか?

生まれたのは安心感だけではなかった!?

しかしながら、実際にこの戦略を実行してみた結果、得られたのは安心感だけではなかった。

こちらの書籍に当時の様子が詳しくレポートされている。

<以下要約>
当時、代表の星野佳路は反発を押し切ってこの施策の導入を進めた。
現場の責任者は覚悟を決めて、何度も試食を繰り返し、味を高めた。
2003年12月からついにおいしさ保証を始めた。

初日、2日目と返金の申し出はなかった。
しかし3日目に返金の依頼があった。
理由を尋ねると、「ご飯がべとべとだ」と説明された。
確かめると、炊飯器の老朽化でご飯がしっかり炊けていなかった。

危機感を持ったスタッフは、大慌てで新しい業務用炊飯器を注文した。

この中で注目をしたいのが、責任者とスタッフの行動。
腹を決めて、品質の改善に取り組んだ責任者。
危機感を持って、備品購入を急いだスタッフ。

共通しているのは、提供するサービスへの責任感。
下手なものを出したら、返金をする必要に迫られるがゆえに、いかに良い品質を保つかというインセンティブが働いたのだ。


ちなみに…
「売上が伸びる上に、サービスの品質が上がっていく」
とは、かなり理想的な戦略に思えてくるが、全てのサービスに当てはまるわけではなさそうだ。

これはあくまで顧客満足度やブランドイメージが低いケースには有用だということ。
満足度が高いサービスに適用したところで、売上が伸びるわけではなさそうなのだ。

それにしても、マーケティングはとても面白いなぁ、と改めて思わせてくれた、星野リゾートの「おいしさ保証」戦略。
参考になればと思い、紹介させていただきました。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。


▼参考文献▼


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