見出し画像

【逗子・葉山 海街珈琲祭vol.4】「FATCAT COFFEE」は、生活の一部に「軽く」寄り添うコーヒーショップを目指す

逗子駅よりさらに落ち着いた趣のある、東逗子駅の商店街を歩いていく。ほどなくして見えてくるのが、元々は鉄のプレス工場だった天高で窓の広い空間の、開放感があるコーヒー店。親子連れからおじいちゃんおばあちゃん、さらにはベースの海軍の方まで、多様な方の暮らしの憩い場となっている。

このお店の名前は「FATCAT COFFEE」。店主の徳山さん宅で暮らすネコがイメージキャラクターだ。そのネコが太っているから、FATCAT。朝から賑わうこのお店で、凛として朗らかな徳山さんが、迎えてくれた。

画像1

ニューヨークで見つけた、ベーカリーをつくるという夢の形


「多彩な人たちがゆっくり暮らす、この街の程よい距離感が好きで」

逗子や葉山にはどこかアメリカ文化を思わせる、おおらかで個が目立たない居心地の良さがあって、そんな今の暮らしを気に入っているという。大分出身で、ハーフというだけで田舎町で目立ってしまった経験が、この街での息のしやすさをより強く感じさせてくれる。

ニューヨークでもそうだったように、すっぴんでも街を歩けるような気軽さがあり、全て自転車で生活圏が完結するのも、この小さな街の良いところだ。

画像11


「コーヒーもそうですけど、お菓子づくりが大好きで、ゆくゆくはベーカーリーとしてやっていきたいんです」

19歳から10年間ニューヨークで過ごし、ファッションデザイナーとして働く日々。つくったものへの反応が直接的には得られなかった仕事の傍らで、その場で食べてもらい幸せそうな顔を見られるお菓子づくりに心惹かれるように。趣味として研究を重ねながら当時の会社でも売る活動を続けるうちに、自分のお店を持ちたい想いが膨らんだ。

「ずっと都会にいても疲れてしまうので、次のライフステージとして田舎度もちょうど良く、都会にもすぐに出られるこの街が気に入りました」

子どもができたことをきっかけに、東逗子に暮らしを移しお店を開いたのが2年前。4割ほどがアメリカのベースの方々で、エスプレッソやラテを飲んで挨拶を交わすというのが、「FATCAT COFFEE」の日常の風景。今では東逗子の無くてはならない景色として、街の人たちの憩いの場所となっている。

画像8


「内装はブルックリンのイメージで、自分で壁を塗ったりデザインをつくりました」

色数が少なくクールな佇まいで、光が抜ける空間。シンプルで飾らない、徳山さんの人柄がそのまま現れたようなお店。自分のスタイルを、内装デザインやコーヒー、お菓子づくりで一貫して表現を続けている。

画像4

喫茶店ではなく、コーヒーショップとして街の居場所にして欲しい

「生活の一部に「軽く」なれる、そんなコーヒーショップになりたいと思っています」
喫茶店のようにゆっくり長い時間くつろいでもらうよりは、暮らしの中でふらっと来てお菓子を食べたり、コーヒーを持ち帰ったり、生活の一部に「軽く」なることができるお店を目指しているという。

この「軽さ」を意識しているからこそ、「FATCAT COFFEE」にはいつでも気軽に来ることができるし、毎日でも時々でも、朝でもお昼でも、それぞれが思い思いに暮らしに取り入れることができる。暮らしと近くて、同じくらいに暮らしと適度な距離がある、そんなコーヒー店。

画像7


「それがニューヨークで好きだった、私にとってのコーヒーショップの形だから」

徳山さん自身の辿ってきた背景が、この干渉しすぎない適度で心地よい距離感を体現することにつながっているように感じさせてくれる。きっと「FATCAT COFFEE」と接する時間を心地よいと思わない人はいない気がする。やはりそれは、押し付けがましくなくて、暮らしの中に「 軽く」入り込んでくれる、気軽さを常に持っていてくれるから。ロゴのネコのように付かず離れず、そんな距離感がとても嬉しいコーヒー店。

だからこそ自然に、「FATCAT COFFEE」は街の風景に溶け込んでいて、徳山さんが逗子にいてくれる限り、きっとたくさんの人の暮らしと寄り添う場になるはず。

こだわりの焼き菓子に合う、コーヒーの理想の味。

画像9


「そしてゆくゆくはベーカリーとしての夢も実現したいなって。そのためのお菓子づくりでもあるんです」

毎日でも食べたくなる焼き菓子は、日々厨房でこんがりふわりと焼かれ、「FATCAT COFFEE」の名物となっている。海街珈琲祭でもご用意いただけるので、この貴重な機会にぜひ食べてみて欲しい。私たちも、はじめて「FATCAT COFFEE」のお菓子を食べて以来のファンで、徳山さんがつくる焼き菓子には街のたくさんの人たちを虜にする魅力に溢れている。

しっかり甘くて、香りもジューシーで、他のお菓子やさんでもなかなか出会うことが難しい美味しさ。もっと家の近くに「FATCAT COFFEE」があったらよかったのに。きっと毎日のように通っていた。

画像3


「クセの少ない飲みやすいコーヒーを目指してます、ニューヨークで出会ったお菓子と合う味わいを舌が覚えているので」

そんなお菓子に合わせるコーヒーの、焙煎をお願いしているのは逗子にある「プフランツェン」。40種類くらいの豆を飲み比べて特徴を押さえ、目指している味に向けて細かく調整を重ねた。完成したオリジナルブレンドは、マンデリンベースで酸味が少ないのが特徴。もちろんコーヒーだけ飲んでも美味しいのだが、お菓子と一緒に食べるとお互いを引き立てあうような、絶妙なバランスが計算されている。

画像6


思えばアンドサタデーの活動をはじめて少し後くらいに、東逗子に素敵なコーヒー店ができたと人づてに聞いた。早速遊びに行ってみると、まさにこういうコーヒー店を街に求めてた、と思わせてくれた佇まいとコーヒー、お菓子の美味しさを感じさせてくれたのを今でも覚えている。

「FATCAT COFFEE」が逗子の街にあることは、私たちの誇りでもある。ぜひこれからも美味しいコーヒーとケーキ、そしてベーカリーで街に彩りを与えていただきたいと、土下座してでもお願いしたい。

画像9

FATCAT COFFEE
住所:神奈川県逗子市沼間1-2-13
営業時間:10:00am - 16:00pm (~18:00 weekends)
Closed on Wednesday
>Instagramページはこちら

FATCAT COFFEEの絵も描いていただいた、林靖博(Rainy)さんのイラスト展示ブースもお楽しみに!

今回の海街珈琲祭では、台湾人アーティストの林靖博(Rainy)とのコラボ企画で、出店全店舗のイラストを描いていただいています。
11月16日には原画の展示もありますので、ぜひお楽しみしていただけますと幸いです!

ファットキャット


取材 / 写真 / 文 : 庄司賢吾・真帆(アンドサタデー 珈琲と編集と)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?