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絵本「モナのとり」

だれにでも、
くろい とりが ついているのかも知れません。

このくろい とりは、
不安や
心配事や
心細さを
象徴する存在です。

モナのとりの正体は、
権利がないことから発生する様々な不安です。

とても美しい母国で戦争が起こったために、別の国に避難してきたのです。よそ者であるモナの家族には、その国で暮らす基本的な権利がないのです。

たとえば、
自由に職業を選ぶこと。
自由に住む場所を選ぶこと。

最低限の生活をすることはできます。

でも、
夜になると、不安が募って、大きな羽をひろげたそのくろいとりに押しつぶされそうに感じるのです。
自分は、まわりの人たちとは違うのだということを忘れさせないために、そのくろい とりは、いつでもどこにでもついてくるのです。

とてもカラフルで穏やかな絵が、表向きの穏やかな生活を象徴しているだけに、足元の心許なさが際立ちます。

記憶もほとんどない、戦争が行われている生まれ故郷に、
突然、無理矢理、送り返されるかもしれない恐怖感。

そんな思いをしている方々が、この日本にもたくさんいます。

一日も早く、そのくろい とりたちが、彼らの側から飛び立ちますように!
そう願わずにはいられなくなります。

もちろん、モナのような境遇の人たちだけではなく、誰にでも大なり小なり不安はあります。そんな不安に飲み込まれてしまわないよう、最後にモナは言います。

、、、そう、みんな、うまくいく、、、

「モナのとり」 作 サンドラ・ポワロ=シェリフ  訳 水橋はな

モナのように、この言葉を唱えて、くろい とりを
はやく飛び立たせましょう!

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