くによし組『壁背負う人々』についての話。

今日は、くによし組『壁背負う人々』小屋入り日でした。最近は出演する作品のことをnoteに書いていて(というか最近は演劇をしているときしかnoteを書いていない)、自分の生活の中で演劇のことを考えている時間が、その他のいろいろなことよりも多いのかな?と思ったりしています。
『壁背負う人々』は「壁教」という宗教団体に所属する人々が出てくる4つの短編です。それぞれのお話について、安藤が感じたことみたいなものをちょろちょろ書きたいなと思って書き始めましたが、なんかネタバレ祭りになってしまったので一回全部消しました。なので、ほんとあっさりした感じに結果なってしまいましたが、少しでも面白そうだなと思っていただけたらうれしいです。

『壁とアルコールとアイドル』
壁教の女、アルコール依存の女、アイドルファンの女による、アイデンティティを巡るお話です。自分も応援しているアイドルがいるので、アイドルファンの女に共感してしまいます。応援しているアイドルが活動休止中で、テレビやラジオでも活動を見られなくなってしまったことがさみしいし、心配です。でも同時に、彼の活動を見なくても、演劇したり、友だちと遊んだり、恋愛したり、そういうことがたのしくて、想像以上に元気に生きてしまっている自分が嫌になったりもします。出会ってからずっと、彼を応援しない人生なんてわたしの人生じゃない!くらいに思っていたのになあ。

『ななめ島』
島自体が斜めになっているななめ島に引っ越してきたモデル志望のマチコのお話です。ななめ島に生活していると足に筋肉がついて太くなってしまうので、マチコは早く引っ越したくて仕方がありません。安藤はこちらのお話で、足が太いクラスメイト、壁ドン子を演じます。ドン子を演じる上で、生まれたときから壁を背負う宗教に入っているってどんな気持ちなんだろうなとか結構いろいろ考えました。(この結構いろいろ考えたことを書いたらとんでもなくいろいろなことを書いてしまい、それをお芝居で伝えなくてはいけないのでは?となってしまったので全部消しました。)4つの作品の中ではいちばんコント色の強い作品だと思いますが、笑いを産む要素だけではなく、ちゃんとひとりの女の子でいたいなと思っています。

『眠る女とその周辺について』
ある日突然眠りから覚めなくなった美少女が、許嫁の住むシェアハウスに預けられるお話。このお話には、目覚めなくなった女の子以外にも壁教だったり、宇宙人だったり、ちょっと特殊な人が登場します。だけど、人間同士の上手くいかないこととか分かり合えないことって、壁教でなくても宇宙人でなくてもたくさんたくさんあって、いろんな感情に心当たりがある気がしてザワザワします。昔からあんまり物事を要領良く進められなくて、できない事も多くて、常に周りから置いていかれている気持ちで生きてきたので、座談会で國吉さんが、「周りに取り残されてる感覚の人たちのために、ずっと寝ていて周りに置いてかれる人の話を作ろうと思って。」とお話しされててとてもうれしかったです。わたしみたいな人に優しいお話だな。

『壁の人』
壁教の団体居住地に暮らす人々と、そこから出たい人と、壁を信じすぎた人のお話です。こちらの作品にも安藤出演します。タナカさんと永井さんがメインキャストのお話なのですが、とにかくふたりのお芝居が良すぎて、とにかく見てください!という気持ちです。壁を背負って生活する宗教と言われると、なんだ?怪しい!とか思ってしまうと思うけれど、タナカさんや永井さんが感じていることって別に宗教に限った話ではなくて、だから様々な環境に生きている人が共感できるお話なのではと思っています。

くによし組の作品は以前何作品か拝見したことがあり、優しくてすきだなあと思っていたのですがら座談会で『ななめ島』について國吉さんが「人間自体を笑い物にしたくなくて、人と人が関わることで発生する笑いが好きだから、個性的な子たちが一生懸命生きてるだけで、見る人によってはコントにならないかなと思って。」とおっしゃっていたのを見て、わたしがくによし組作品に感じていた優しさの素が分かりました。たくさんの人にくによし組をすきになってもらいたいので、ぜひこまばアゴラ劇場まで足を運んでいただけたらうれしいです。

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