わたしから演劇を取っても

バイトに行かなくなってだいたい1ヶ月が経った。バイトしていないとびっくりするくらい1日何をして過ごしたらいいか分からなくて、バイトがすきだったわけじゃないけど、バイトってひとつのリズムだったんだなあと思うなどしている。

この自粛期間にバイト以外にやらなくなってしまった、というかあんまり考えなくなってしまったことがある。なんとびっくり演劇です。
こんなご時世なのでさまざまな団体が過去作品の配信をしたり、リモートで新作を作ったり、在宅で楽しめるコンテンツが充実している。お気に入りの劇団やすきな役者さんが関わっている作品は気にしていたけど、蓋を開けたらしっかり見たのは片手で数えられるくらいだった。インターネット環境がまじでゴミ(アパートにインターネット回線引いてない)なのでギガが心配とかあるけど、そんなのはわりと言い訳で、正直なんか見る気が起きなかった。ありがたいことにリモートでのお芝居に誘ってくれた方もいて、送ってもらった脚本はちゃんと読みました。でもそれ以外はそもそも物語的なものに触れていなくて、いま読んでいるのは阿佐ヶ谷姉妹のエッセイです。面白い。
バイトや稽古に忙しくしていたときは見たい作品がたくさんあったし、読みたい戯曲とかもリスト作ったりしてた。観劇してからダッシュで劇場向かって舞台に立ったりしていたし、ちょっと高いチケット取ったときは毎食もやしばっかり食っていた。公共料金の督促状がきてもチケットの振込を優先していた。(ガス屋さんや水道屋さんごめんなさい。)お金稼げてないのにどうして続けてるのと言われたときは、すきだからですよ!って笑ったりしてたけど、いまのわたし演劇をすきって言えるのかなって。

NO MUSIC NO LIFE的な、俺から〇〇を取ったら何も残らない!みたいな、〇〇馬鹿みたいなのにすごい憧れがあって、かっこいいって思っていて、でも演劇がなくても全然安藤ズLIFEだったし、わたしから演劇を取っても余裕で50kgくらい残ってるし、みたいな感じだった。残念すぎた。
正直3月入ってからは行きたかったイベントがバンバン中止になって元気なくなったし、夏や秋になっても演劇できなかったらどうしようって思うと悲しかった。だって演劇がすきだから。
でもこうなってみて、芝居を見ない、読まない世界に生きてみて、演劇がすきだなんて、何かの言い訳なんじゃないかって思えてきた。

例えばね、勤めていた会社を辞めてだいたい2年くらい前に東京にやってきたわけだけども、いままでわたしは演劇やりたいから仕事を辞めたと思っていたわけだけども、逆に、仕事を辞めたいから演劇をはじめた、みたいな気もしてきたわけ。演劇をやりたいから東京に引っ越したと思っていたわけだけども、逆に、東京に引っ越したいから演劇をはじめた、みたいな気もしてきたわけ。なんて言うか、現状の自分を肯定するためには演劇をすきでいなきゃいけないと思っていたのかもしれないと。
特に達者なわけでも個性的でもない自分が演劇をするためには、気持ちだけは誰にも負けません!みたいなポーズしなきゃ、みたいな意識がどっかにあったのかもしれない。別に下手でも地味でもやっちゃいけないなんてことないのに。誰ともわからない誰かに向かって、何のためかもわからない言い訳をし続けていたのか?

だからと言って、本当は演劇がすきじゃなかったんです!みたいな話でもなくて、たまに劇団会議をするとやっぱりワクワクするし、リモートのお芝居に誘ってもらえたのも嬉しかったし、部屋整理してて行けなかった公演のフライヤー見つけたりするとちょっと悲しい気持ちになるし、もう一生演劇見れないしやれないよ!と言われたらたぶん泣く。単純に劇場でやる芝居がすき、みたいなそんなことかもしれない。

結局なんの話?みたいな話を書いてしまった。ちなみに、こんな文章を書くのに1週間弱かかっているのでいまはもう阿佐ヶ谷姉妹の本は読んでなくて、この部分を書く5分くらい前にはサリンジャーのライ麦畑でつかまえてを読んでいた。ロミオとジュリエットの話をするところがすごい良くて、というか、だよねーみたいに思った。

今朝、日本テレビのスッキリを見ていたら、スッキリメンバーでバンドをやるという企画をしていて、ハリセンボンの春菜さんがマキシマムザホルモンのナヲさんにドラムを教えてもらっていた。そのときにナヲさんが楽しくなくなったら休め!みたいなこと言っていて元気でた。楽しんで叩こう、みたいな。

毎日ニュースで今日の感染は何人です、みたいのを聞いていて、そう言えばわたし日本の人口が何人とか知らないなと思ってさっき調べたら1億2590万人って書いてあって、わたしって1億2590万分の1なのかって思ったら、わたしが演劇すきとかすきじゃないとかそんなんで病むのあほらし!みたいな壮大な気持ちになってきた!そもそも日本に住むほとんどの人がわたしが生きていることすら知らないし!だから!だからってのもなんか違うけど、また演劇が楽しそうって思ったら摂取して、がんばらなきゃいけないタイミングがきたらがんばればいいやっていまは思っています。

ここまで読んでくださった忍耐強いみなさまに幸運が訪れますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?