5分で学ぶバンクシー -後編-
今や日本でも圧倒的な知名度を誇るようになったとはいえ、いまだに謎に包まれたバンクシー。バンクシーを徹底的に解説する本シリーズ後編では、データとエピソードから、バンクシー人気の秘密を読み解いていきます!
バンクシーが世界的に有名になった経緯
ANDARTでも取り扱っている作品《Bomb Love》(爆弾を抱きしめる少女)などの作品で2003年のイラク戦争の際に抗議したことが世界的から注目されるきっかけとなったといわれています。
ANDARTで販売開始後数秒で完売した《Bomb Love》
さらに、バンクシーは2003年から2005年にかけて世界中の美術館や博物館に作品を無断展示して注目を集めました。中でも特に有名なのは2005年の大英博物館への展示《Peckham Rock》。古代人がショッピングカートを押しているような壁画で、スタッフに気づかれず3日間展示され、バンクシー自身が明かしたために大きな騒ぎとなりました。
バンクシーが日本で有名になった出来事
バンクシーの名を一躍有名にしたあの事件は、ご存じの方も多いはずです。
《Girl With Balloon》(風船と少女)が2018年サザビーズのオークションにて落札直後にシュレッダーで裁断されたという事件。
事件直後にはバンクシー自身のインスタグラムで「いつかオークションに出されるときに備えて、数年前に額縁にこっそりシュレッダーを仕込んでおいた」という犯行声明の動画が公開されました。また、サザビーズとの「やらせ」ではないかとの疑惑に反論し、「当初の計画では途中で止まらずに完全に裁断するはずだった」という声明を、裁断に成功しているリハーサル映像と共に公開しました。
この作品のオリジナルは、2002年ロンドン市内の壁に描かれたものです。その後もパレスチナ自治区ベツレヘムの分離壁(イスラエルが建築しているもの)にも描かれたり、シリア難民支援のキャンペーン「#WithSyria」の画像として使われたりもしています。平和を願う希望の象徴となり、2017年に「イギリス人の好きな芸術作品」で1位に選ばれているほど。
シュレッダー裁断という話題性により、この作品の時価は落札価格の2倍にあがったともいわれており、「アートマーケットとはなにか」という議論を喚起しています。バンクシーは資本主義や巨大化するアート市場を当初から一貫して批判していますが、一方で裁断という過激なパフォーマンスに出ても、価格上昇という形でマーケットに取り込まれてしまったというのは皮肉なことです。
なにはともあれ、この事件はバンクシーの名を普段アートに関わらない層にも広く知らしめ、21世紀前半のアート界のポップスターとしての地位を不動のものとしました。
2020年からは、アーティスト本人未公認ではありますが、横浜や大阪、東京、名古屋、福岡など主要都市で大規模なバンクシー展「天才か反逆者か」が開催されていることからも、日本でのバンクシー人気は不動のものとなりつつあることが感じ取れます。
データで見るバンクシーのアート市場人気
バンクシーは当初から一貫して、作品が高額で取引される現代アートの世界には批判的な態度を取っていますが、皮肉にも近年は落札価格が高騰しています。
2017年の落札総額は約$670万だったのが、2018年は約$1,370万、2019年は約$2,450万、2020年は約$5572万と大幅に伸びています。
2009年以降のオークション落札総額をグラフにすると落札額が急上昇していることが明らかで、セカンダリー市場(オークション市場)からの注目はますます高まっていることが分かります。
現在の歴代最高落札額記録は2019年に落札された《Devolved Parliament》(英国の地方議会)で、約$1,000万(11億円)で落札されました。英国のEU離脱で議会がもめていたタイミングの出品だったことが高額落札された理由の一つだといわれています。
《Devolved Parliament》(2015)
Oil/Canvas
Sotheby's, London
2019年10月3日
サイズ:250 x 420 cm
予想価格:¥193,118,000 - ¥257,500,000
落札価格:¥1,271,940,000 (約12.7億円)
2020年は立て続けに高額落札が続きました。
史上2番目に高額で落札されたのは、《Show me the Monet》。約10億円で落札されました。本作品は印象派を代表するフランスのアーティストであるクロード・モネ《睡蓮の池》をベースに制作された作品です。バンクシーの作品の中でもとても希少な完全に手書きの作品として知られています。
《Show Me the Monet》(2015)
Oil/Canvas
Sotheby's, London
2020年10月21日
サイズ:143.1 x 143.4 cm
予想価格:¥410,885,000 - ¥684,810,000
落札価格:¥1,034,300,000 (約10億円)
史上3番目の高額落札も2020年でした。
本作品はバンクシーの作品の中で最も大きい作品として知られています。《Forgive Us Our Trespassing》(=不法侵入をお許し下さい)というタイトルでひざまずく少年がモチーフの作品は2010年に制作されたもので、バンクシーのモチーフの中でもよく知られているものの一つです。
この巨大な作品は、2011年に「子供たちにアート作品を創作してもらう」ことを目的としたプロジェクトでロサンゼルスの学校の100名以上の生徒と一緒に制作されたものです。
《Forgive Us Our Trespassing》(2015)
Mixed media(acrylic, spray paint and marker pens on wooden panel, in four parts)
Sotheby's, Hong Kong
2020年10月6日
サイズ:655 x 421 cm
予想価格:¥214,706,000 - ¥429,412,000
落札価格:¥860,330,000 (約8.6億円)
ちなみに、2018年のサザビーズオークションで落札直後にシュレッダーで裁断された事件で注目された《Girl With Balloon》(風船と少女)は、約1.4億円で落札されていました。
いかがでしたでしょうか?
バンクシーが有名になったきっかけとなるエピソードをご紹介し、オークション落札額というデータからアート市場で盛り上がり続けるバンクシー人気を読み解いてきました。
前編ではバンクシーとは「誰なのか?」ということを解説しています。まだお読みでない方はぜひ併せてお読みください。
【Banksy Weeks】開催中!
ANDARTでは【Banksy Weeks】と題した「ANDART」と「YOUANDART」の合同キャンペーンを開催中です。
第1弾
3月6日 正午12:00「YOUANDART」バンクシー関連作品期間限定発売
第2弾
3月7日 (日) 正午12:00「ANDART」オーナー間売買開放・バンクシー《Sale Ends (v.2)》
キャンペーン第2弾では、ANDARTで初めて取り扱ったバンクシー作品である《Sale Ends (v.2)》のオーナー間売買を開放します!バンクシーのアメリカでの人気に火をつけた個展のために制作され、ギャラリーPOWの閉店に際し最後のリリースとなった幻の作品です。
この作品の解説はこちらから!
第3弾
3月13日 (土) 正午12:00「YOUANDART」バンクシー関連作品期間限定発売
キャンペーン第3弾では、バンクシーのオフィシャルポートレートとして知られる作品Monkey Mask Session シリーズの作品を販売します。コマ送りの動きとなっている作品《Banksy Monkey Mask Session Enlarged Contact Sheet AP》は作家保存版の貴重なアーティストプルーフとなります。
第4弾
3月14日 (日) 正午12:00「ANDART」オーナー間売買開放・バンクシー《Jack and Jill (Police Kids)》
キャンペーン第4弾では、《Jack and Jill (Police Kids)》のオーナー間売買を開放いたします。こちらはANDARTでの販売開始後7分で売り切れた大人気作品です。鮮やかなスカイブルーから感じられる爽やかさの対局にあるブラックユーモアが効いており、解釈を受け手に委ねるバンクシーらしい風刺作品です。
第5弾
3月20, 21日 (土・日) 「ANDART」ピカソ・バンクシー展示イベント開始日に発表がございます。
内容は当日まで非公開とさせていただきます、、!お楽しみに!
ANDARTとは?
ANDARTのサービスについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧下さい!
ここまで読了いただきありがとうございました!