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slacker[詩集 melancholic children]

生活の雑音で満たされた器、受け止めるだけの余裕はない、しかし渇望する、血となり肉となる詩を、その視線は液晶のみ落とされるべきではない
知ってる、怠惰な奴隷は今日も寝そべる、排水溝にこびりつく髪のように、曇天、俺が俺を見限る

神聖なるもの、恍惚

毒と紙一重の快楽、咲いた花はすぐに枯れる、知ってる、造花は偽物だが咲き続ける、道理だ
カビに喰われても朽ちない屍、時を同じくして病めるものも健やかなるものも、等しく存在し得る可能性の残滓、選択肢は無数にあるのに手のひらは二つ、包み込んで一つ

目を見ろ、目を見ろ、目を見ろ!

  瞳孔を開け、さすれば与えられん
  耳を澄ませ、さすれば与えられん
  柔肌を晒せ、さすれば与えられん
  犠牲を払え、お前は何者でもない

心臓は未だ鳴りやまぬ、使命を全うする、爪も髪も伸び続け、老衰へと歩みを進める、渇望の源も分からずに、荒ぶ風をゆく
眠らず、夢を見ることもなく、口にもしない、失うべきものが多い、懐に入らないから、掴んでも手放すだけだ、尊いものばかりが騒音に搔き消されて、数多ある雑音に紛れて

挿絵〈三界〉

《収録作品》
1.flower bud
2.baby doll
3.Moom
4.idol
5.slacker
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◆全5篇の詩・5枚のイラストを収録
◆商品サイズ 中綴じ製本(A5)
◆2021年発行
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【略歴】
安堂(あんどう)
▶第16・17回「文芸思潮」現代詩賞 佳作 受賞
[Twitter/Instagram]@Andou1126

三界(みさかい)
▶イラストレーター。詩集・小説集の表紙や、音楽のアートワークなど。
[Twitter/Instagram]@__3ski / @mi_sakai

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